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お師匠様と国王様
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こんばんは、ミリーです。留守番を任されたその日、お師匠様は遅くに帰ってこられました。後ろに威厳溢れる方を連れて。聞けば先日聴取する為に呼ばれた人の、一番お偉い方──つまりは国王様にあたる方だそうで、私は目眩で倒れるかと思いました。何故そういう大事な方を連れてくると教えてくださらなかったのでしょう、恨みます。
そもそもそんな雲上人がここに来て大丈夫なのでしょうか。駄目なのではないですか。
素直に心配事を尋ねれば、影武者さんが対応してくださっているので問題ないのだとか。まだまだこの国も戦争におわれてますからね、表舞台に立っているのも影武者さんが多く、ほぼ、この方が王なのは知られていないのだとか。良いのでしょうか、それで。
「まあ、ここに来たのには訳があってな。そのついでに送ってもらえたら早いと思っての」
好好爺、という言葉がぴったりのように笑う国王様への反応に困っていると、いい音を立ててお師匠様に叩かれました。ってお師匠様──⁉︎ 何をされているのですか⁉︎ 一国の王にあるまじきことですよ、それは! 流石の私にも分かります!
痛いとさする国王様にハラハラしていると追撃とばかりに弟子を困らせたのが悪いと弁明してます。ですからあの、不敬ですよ!
心臓に悪い時間が過ぎ去る頃には私の精神力のような何かがごっそりと取られていました。お師匠様と国王様の親密さには驚きましたが、それ以上に精神的なものが削られます。
さて、改めて何の御用なのかお師匠様に問えば明日この辺りの領主様へご挨拶へ行くのだとか。主に悪い意味で。悪い意味? それよりも国王様は認識されていないのでは……と首を傾げますが、政治的理由に首を突っ込むと余計なことになるというお師匠様の助言? 格言? を思い出してスルーすることにしました。ええ、人間関わってはいけないものは関わらないのが一番です。
そんなわけで一晩泊まらせてもらえないかということなので、客間へご案内することに。こっちなのかという言葉にはて? となりますが、まあ、昔に色々あったのかもしれません。無駄な詮索はしないことです。
夜も更けてきましたので退室しようとすると、少し話をしないかと声をかけられました。了承の返事をしますが、内心びびりまくっています。一国の王と会話するなんて、庶民にあるまじきことなんですからね。
「そなた、ミリーと申したか。あやつと一緒にいて大変ではないか?」
「……ええ、まあ。多少は」
「どうだ、王宮の魔法士になる気はないか?」
「それは……ありがたいお話ですが、辞退させていただきます」
何故、と問われて言葉に窮します。自分でも分かりませんが、あの一度だけ行った場所には戻りたくないと思ってしまうのです。
自分でも分かりませんが、と前置きして失礼のないよう本音を語るとあそこは魔窟だからの、と何やら得心のいった顔をされました。納得されてホッとしたのは内緒です。
退室して強張った筋肉をほぐします。無意識に緊張していたようですね。
明日の朝も早そうですし、早めに寝るとしましょう。
そもそもそんな雲上人がここに来て大丈夫なのでしょうか。駄目なのではないですか。
素直に心配事を尋ねれば、影武者さんが対応してくださっているので問題ないのだとか。まだまだこの国も戦争におわれてますからね、表舞台に立っているのも影武者さんが多く、ほぼ、この方が王なのは知られていないのだとか。良いのでしょうか、それで。
「まあ、ここに来たのには訳があってな。そのついでに送ってもらえたら早いと思っての」
好好爺、という言葉がぴったりのように笑う国王様への反応に困っていると、いい音を立ててお師匠様に叩かれました。ってお師匠様──⁉︎ 何をされているのですか⁉︎ 一国の王にあるまじきことですよ、それは! 流石の私にも分かります!
痛いとさする国王様にハラハラしていると追撃とばかりに弟子を困らせたのが悪いと弁明してます。ですからあの、不敬ですよ!
心臓に悪い時間が過ぎ去る頃には私の精神力のような何かがごっそりと取られていました。お師匠様と国王様の親密さには驚きましたが、それ以上に精神的なものが削られます。
さて、改めて何の御用なのかお師匠様に問えば明日この辺りの領主様へご挨拶へ行くのだとか。主に悪い意味で。悪い意味? それよりも国王様は認識されていないのでは……と首を傾げますが、政治的理由に首を突っ込むと余計なことになるというお師匠様の助言? 格言? を思い出してスルーすることにしました。ええ、人間関わってはいけないものは関わらないのが一番です。
そんなわけで一晩泊まらせてもらえないかということなので、客間へご案内することに。こっちなのかという言葉にはて? となりますが、まあ、昔に色々あったのかもしれません。無駄な詮索はしないことです。
夜も更けてきましたので退室しようとすると、少し話をしないかと声をかけられました。了承の返事をしますが、内心びびりまくっています。一国の王と会話するなんて、庶民にあるまじきことなんですからね。
「そなた、ミリーと申したか。あやつと一緒にいて大変ではないか?」
「……ええ、まあ。多少は」
「どうだ、王宮の魔法士になる気はないか?」
「それは……ありがたいお話ですが、辞退させていただきます」
何故、と問われて言葉に窮します。自分でも分かりませんが、あの一度だけ行った場所には戻りたくないと思ってしまうのです。
自分でも分かりませんが、と前置きして失礼のないよう本音を語るとあそこは魔窟だからの、と何やら得心のいった顔をされました。納得されてホッとしたのは内緒です。
退室して強張った筋肉をほぐします。無意識に緊張していたようですね。
明日の朝も早そうですし、早めに寝るとしましょう。
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