お師匠様は自由すぎる

星野 夜空

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お師匠様と国関係

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 皆さまこんにちは、いえこんばんは、ミリーです。遅くなりましたのは国の方々へお呼ばれしたからです。
 というのも先日ありました要請を無視し、あげく呼び出しに来てくれたサルカさんですら無視した為騎士の面々が「来てくれないと自由に研究出来ないようにする」と脅してきたからです。それでようやく、渋々、嫌々行ってやろうという態度になるお師匠様もどうかと思いますが。
 話を戻しまして、何があったか簡潔に申しますと獣人化する薬をもう一度作れないか、あわよくば軍用化出来ないか、とのことでした。この国は内乱がまだまだ絶えないそうで、だからこそでしょう。

「出来なくはないだろうが、国家予算のほとんどがこれに食われるぞ。維持力もないから赤字国家になることまっしぐらだな」

 お師匠様のお言葉にやはりか、といった様子に首を傾げます。普通期待を持って呼び出したのなら怒りそうなものですが、一切その素振りがありません。意外です。
 後でお師匠様に聞けばいつものことだと言われ、ああそういうことかと合点がいきました。いつものごとく研究(趣味)だと役に立たない、もとい、使い道が分からないものを作っている変人と思われたのでしょう。変人というか、変態というか。まあそこは言及しません。

「お師匠様、なぜ研究を深めれば安価かつ維持が可能なものが出来上がると言わなかったのですか? そうすれば予算ももらえたのでしょうに」
「あの研究には飽きた。別の研究に手を出してるしな。何ならお前がやるか?」
「勘弁してください。私には無理ですよ……」

 戦争への使用へは何も思われないのですね。それらしいといえばらしいですが。ええ、実にらしいです。
 というわけで今しがた帰ってきたのですが、戻り次第お師匠様は部屋に篭ってしまいました。夕食も食べずに。このまま寝ずの研究になるのでしょうね。
 その犠牲は私か、はたまた別の誰かか。それはお師匠様の気分次第、でしょう。はあ。
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