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4話 アルケミストと女子会
03.買い物の同行者達
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***
午後3時半。
女子会メンバーと別れたメイヴィスは商店街を歩いていた。武器屋やら骨董品屋、アクセサリーショップなどが所狭しと並ぶ往来をゆっくりと歩いて行く。
さて、問題の布だが、まずは布生地を購入する為にそういった類の店へ行こう。黒い布を買い足しておいて損は無いはずだ。布なんて錬金術で使うのは日常茶飯事。本当は布から錬成してグレードの高い布を作った方が良いのだが、原材料は馬鹿にならない値段が付いている。
しかし、布を1ロール買ってしまえば身動きが取れなくなるかもしれない。ならば、どちらかは明日に回すか? いや、アイテムショップに魔力生地があるとは限らない――
「メヴィ?」
「えっ」
名前を呼ばれたような気がして勢いよく顔を上げる。と、目の前にアロイスとヒルデガルトの姿があった。
どちらも大荷物なのだが、涼しい顔をして運搬している。
――2人で出掛けてたのかな……。
先程、女子会で散々ガールズトークを聞かされたせいだろうか。少しだけ釈然としないような、羨望のような感情が湧き上がる。
しかし、一瞬だけ覗かせた感情の片鱗は他でもないアロイスその人が口を開いたお陰で霧散した。
「今日は見掛けないと思っていたが、休みだったか。何か買い物か?」
「え、え……え、あ、はい。ちょっと布を買いに……あと、アイテムショップにも寄ろうと思って」
「そうか。俺達はギルドへ戻る途中だが、荷物持ちが必要なら手伝うぞ」
「え!? いや、いいですよ! 今も十分重そうだし……」
大量の荷物を抱えている相手に対し、更に荷物を持たせるなどという酷な事は出来ない。しかもヒルデは女性。そんな彼女もいると言うのに、そこからもっと荷物を持たせるなど正気では無い。
が、ヒルデはというと人の良さそうな笑みを浮かべた。
「そうですね! 錬金術師と言いますし、きっとたくさん買う物があるのでしょう。我々で良ければ荷物持ちくらいしますよ! ふふ、魔道職の方々って何を買い物するのか、少しだけわくわくします」
「えぇ……」
本人の意志そっちのけで着いてくる気満々だし、そもそも断られる事を想定していないかのような発言。これを突っぱねてまで一人で買い物に行くなどと言える訳もない。悲しそうな顔をするのが見えるようだ。
ちら、とアロイスの顔色を伺う。彼もまたヒルデ同様に未知への期待に溢れた顔をしていた。この人達、体力とかどうなっているんだろう。
――いいや、荷物は自分で持って、手を煩わせないようにしよう。それが一番だ。
楽しげな空気を壊すのは憚られたので、メイヴィスは引き攣った笑みを浮かべる。
「えーっと、じゃあ、お願いします」
「よし。まずはどこへ行けばいい? そもそも、アイテムショップというのはどこにあるんだ?」
「先にアイテムショップとやらへ行った方が効率的だと思います。確か、私達はその店の前を通ってここに来たはずですから」
「成る程な。ヒルデ、お前は記憶力が良い」
「いえ、街並みを覚えるのが、仕事上得意になっただけですから」
2つとも店に寄る事が決まった以上、確実に売っている普通の黒布は後回しだ。ヒルデの言う通り、先にアイテムショップへ行った方が効率的だろう。
「あの、私、お店にはよく行くんですよ。こっちです!」
声を掛けると荷物のせいで道幅を多く取っている騎士2人がゾロゾロと着いてきた。何て豪華なカルガモ達なのだろうか
午後3時半。
女子会メンバーと別れたメイヴィスは商店街を歩いていた。武器屋やら骨董品屋、アクセサリーショップなどが所狭しと並ぶ往来をゆっくりと歩いて行く。
さて、問題の布だが、まずは布生地を購入する為にそういった類の店へ行こう。黒い布を買い足しておいて損は無いはずだ。布なんて錬金術で使うのは日常茶飯事。本当は布から錬成してグレードの高い布を作った方が良いのだが、原材料は馬鹿にならない値段が付いている。
しかし、布を1ロール買ってしまえば身動きが取れなくなるかもしれない。ならば、どちらかは明日に回すか? いや、アイテムショップに魔力生地があるとは限らない――
「メヴィ?」
「えっ」
名前を呼ばれたような気がして勢いよく顔を上げる。と、目の前にアロイスとヒルデガルトの姿があった。
どちらも大荷物なのだが、涼しい顔をして運搬している。
――2人で出掛けてたのかな……。
先程、女子会で散々ガールズトークを聞かされたせいだろうか。少しだけ釈然としないような、羨望のような感情が湧き上がる。
しかし、一瞬だけ覗かせた感情の片鱗は他でもないアロイスその人が口を開いたお陰で霧散した。
「今日は見掛けないと思っていたが、休みだったか。何か買い物か?」
「え、え……え、あ、はい。ちょっと布を買いに……あと、アイテムショップにも寄ろうと思って」
「そうか。俺達はギルドへ戻る途中だが、荷物持ちが必要なら手伝うぞ」
「え!? いや、いいですよ! 今も十分重そうだし……」
大量の荷物を抱えている相手に対し、更に荷物を持たせるなどという酷な事は出来ない。しかもヒルデは女性。そんな彼女もいると言うのに、そこからもっと荷物を持たせるなど正気では無い。
が、ヒルデはというと人の良さそうな笑みを浮かべた。
「そうですね! 錬金術師と言いますし、きっとたくさん買う物があるのでしょう。我々で良ければ荷物持ちくらいしますよ! ふふ、魔道職の方々って何を買い物するのか、少しだけわくわくします」
「えぇ……」
本人の意志そっちのけで着いてくる気満々だし、そもそも断られる事を想定していないかのような発言。これを突っぱねてまで一人で買い物に行くなどと言える訳もない。悲しそうな顔をするのが見えるようだ。
ちら、とアロイスの顔色を伺う。彼もまたヒルデ同様に未知への期待に溢れた顔をしていた。この人達、体力とかどうなっているんだろう。
――いいや、荷物は自分で持って、手を煩わせないようにしよう。それが一番だ。
楽しげな空気を壊すのは憚られたので、メイヴィスは引き攣った笑みを浮かべる。
「えーっと、じゃあ、お願いします」
「よし。まずはどこへ行けばいい? そもそも、アイテムショップというのはどこにあるんだ?」
「先にアイテムショップとやらへ行った方が効率的だと思います。確か、私達はその店の前を通ってここに来たはずですから」
「成る程な。ヒルデ、お前は記憶力が良い」
「いえ、街並みを覚えるのが、仕事上得意になっただけですから」
2つとも店に寄る事が決まった以上、確実に売っている普通の黒布は後回しだ。ヒルデの言う通り、先にアイテムショップへ行った方が効率的だろう。
「あの、私、お店にはよく行くんですよ。こっちです!」
声を掛けると荷物のせいで道幅を多く取っている騎士2人がゾロゾロと着いてきた。何て豪華なカルガモ達なのだろうか
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