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30〔限界〕
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「ふ、ぅ……ん、うぅ……っあ、ああ」
「すごい、締め付けてくる……っ、はぁ、やっぱりここも好きなんですね……っ」
胸元を揉んだ後、ぐりぐり先端を捏ねるように挟んでくる。その衝撃で開いていた足をぎゅっと閉じてしまうと、もっと中にあるものの質感が伝わってきた。今ならこいつの形を当てられそうだ。
「……っ、は……っあ、あ」
ちゃんと息できているか分からない。自分の声も遠くなってくる。
ぴったりと隙間なく収まっているものを、動かなくても感じてしまう。次動かされたら、もうやばいかもしれない。
「あ……気持ちいい。このままでもいいかもしれないな。ふーっ、貴方がこんなに喜んでくれるなら、この部屋にして良かった」
うなじや首元に、後ろから軽く口付けられる。そんな小さな刺激も確実にじわじわと蓄積していって、いつ自分でコントロールできなくなるか分からない。
「……っふー、ふーっ……」
「あれ、そんなに俯いてちゃ、景色見えないんじゃないですか。ふふ、限界ですかね……っ、僕も、そろそろ」
がっちりと固定する為に後ろから腕が回されて、脳内で白旗を上げた。もう降参だ。俺はきっと次の瞬間、理性を無くす。
「……っ――」
外れそうなほど引いた後、ぐんっと奥まで入ってきた。ぱんと肉同士がぶつかる音がして、まるで花火のようだと思った次の瞬間には、目の前にちかちかと火花が舞った。
ぶわっと全身が震えるような快楽に包まれて、口が開きっぱなしになっていた。そこから聞こえる人語を話さない声は、本当に自分なのだろうか。
「っあ、ひぁ……あっ、あは、あー……っお、く……っ」
「すみません、達したばかりで辛いとは、っ……思うんですけど、もう少し、だけ……っはぁ」
もう景色なんて見ている余裕はなかった。なんとか崩れないように前に縋り付く。その手の上から包み込むように重ねると、想像よりも熱くなっていた。
やけに顔が近い。頬はもうくっついている。後ろからの、のぼせそうな体温を全身に感じながら仰け反った。
あ、まずい――。さっきめちゃくちゃ飲みまくった。シャンパンを家と、ここに来てからもかなり消費した。
トイレは何回か行ったはず……なのに募っていく良からぬ快感が、まとわりつくように広がり始めた。
ばかばか、それだけはまずい。汚すっていっても限度があるだろ。
「あ、あ……っ、だめ、どまって……っう」
「も、いきますから……っはぁ、貴方も、何回いってもいいですよ」
「ぞぉ、いうことじゃ、なぐって……っ、ほんと、とまっ」
「はは、何でこうされるの好きなくせに、いやいやって言うんですか。まぁそうところも、好きですけど、ね!」
突然動きが止まって、一番深い部分に到達した。そこで溢れているのか、どくどくと相手の心音を感じる。
息が吸えなくなって、呼吸が止まった。涙が勝手に溢れて、奥の方から声が漏れ出す。喉が開くと、ようやく空気が中に入ってきた。
「……っ! ……っ、は、はっ……ん、……んんぅ、あ、ああ! あああ……っ」
止めようと思っても、勝手に流れ出す暖かい感触。ぐったりと力が抜けて、床にそのまま座り込んだ。
「……だから、言ったのに……っ止まれって……!」
もうおしまいだ。自分の家ならまだしも、人の家で、しかもこんな高そうな場所で粗相をするなんて。
「ごめ……、ごめん……うぅ……っ、ごめんなさいぃ……」
「まぁ下半身を刺激している訳ですし、そういうこともありますよね」
「はぁ? なに冷静に、言ってんだよ! もう……ああ! ああ!」
恥ずかしさと申し訳なさが入り混じり、頭を抱える。こういうところのプライドはちゃんとあるのだ、この下等生物にも。
「別に構いませんよ。色んな貴方が見られて良かったですし。まぁ対して好きでもない相手にされていたら、ちょっと苛つく程度はあったかもしれませんけど……はは、あれだけ飲んだし、仕方ないことでしょ」
「クソ! さっさと拭くぞ、もう俺の服でいいっ」
「落ち着いてくださいよ。貴方の恥ずかしさの基準が分からないなー。なんでおしっこだけダメなんです? あれ、これって潮ってやつ?」
「いいから! 拭くんだっつーの!」
「窓に張り付いて見られたいとか言ってたのに……まだまだ不思議がいっぱいだなぁ」
一気に甘い空気はどこかへ吹っ飛んでいったけど、それもどこか俺達らしいと、一通り掃除し終わった後に思った。
もうクリスマスなんてすっかり頭から消えていて、自棄気味に飲み干したシャンパンのおかげで、縦か横かも分からずベッドにダイブした。
こいつの用意していたプランはきっと全然消化されていないのだろうと考えると、少し可哀想ではあったが、くらくらの頭ではもう何も考えられなかった。
20
柔らかな陽の中で誰かが囁いた。何と言っているのかは分からない。ただそれが暖かく、優しいものだとなんとなく伝わってくる。
それを追いかけようか迷っているうちに、また意識が途絶えた。
起きた時に不思議な夢を見たと思ったけど、多分あいつが何かを俺に言ったに違いない。
スマホを手に取ると、長文が来ていたので驚いた。メッセージには食事や鍵の事、何時に一度帰ってくるとか、そういうことが細かく書いてある。
「……あー、あったけぇなぁ」
広くて真っ白なベッド。そこに斜めに横たわっていても、何も邪魔するものはない。カーテンは一部だけ開かれていて、そこから空が見える。
しばらくそのままじっとしていたけど、暇なので起き上がった。
人の家に一人というのは落ち着かない。あまり状態を崩さないようにして、身支度を整えた。
一応例の窓をチェックしてから(ちゃんと綺麗になってた)、昨日の残りっぽい料理を黙々と食べた。
こんなに広くて綺麗だからなのか、どこか寂しさを感じる。憧れていたけど、俺にはやっぱり似合わないのかもしれない。
「どこか行くか? ……うーん」
テレビとかも勝手に弄る気にならないので、カーペットの上でごろごろ回る。
街を見たいのと、あいつが来るまで待っていたいのと、このままだらだらしていたい気分がせめぎ合って、結局何もできないでいた。
このいつの間にか着せられていた肌触りのいいパジャマを脱いで、安いスーツに着替えるかどうか。娯楽品の類いがない部屋で一日過ごすか。
「……決められないならサイコロでも振るか? いやコインを投げるまでもないよな、こんな些細な事」
一度外に出てみることにした。もう一回店を覗いて、働いている姿を見るのもいいかもしれない。そう思うと愉快な気分になってきた。
「でもあんな店員がいたらもっと騒ぎになっているはず……俺が知らないだけで有名人なのか?」
「すごい、締め付けてくる……っ、はぁ、やっぱりここも好きなんですね……っ」
胸元を揉んだ後、ぐりぐり先端を捏ねるように挟んでくる。その衝撃で開いていた足をぎゅっと閉じてしまうと、もっと中にあるものの質感が伝わってきた。今ならこいつの形を当てられそうだ。
「……っ、は……っあ、あ」
ちゃんと息できているか分からない。自分の声も遠くなってくる。
ぴったりと隙間なく収まっているものを、動かなくても感じてしまう。次動かされたら、もうやばいかもしれない。
「あ……気持ちいい。このままでもいいかもしれないな。ふーっ、貴方がこんなに喜んでくれるなら、この部屋にして良かった」
うなじや首元に、後ろから軽く口付けられる。そんな小さな刺激も確実にじわじわと蓄積していって、いつ自分でコントロールできなくなるか分からない。
「……っふー、ふーっ……」
「あれ、そんなに俯いてちゃ、景色見えないんじゃないですか。ふふ、限界ですかね……っ、僕も、そろそろ」
がっちりと固定する為に後ろから腕が回されて、脳内で白旗を上げた。もう降参だ。俺はきっと次の瞬間、理性を無くす。
「……っ――」
外れそうなほど引いた後、ぐんっと奥まで入ってきた。ぱんと肉同士がぶつかる音がして、まるで花火のようだと思った次の瞬間には、目の前にちかちかと火花が舞った。
ぶわっと全身が震えるような快楽に包まれて、口が開きっぱなしになっていた。そこから聞こえる人語を話さない声は、本当に自分なのだろうか。
「っあ、ひぁ……あっ、あは、あー……っお、く……っ」
「すみません、達したばかりで辛いとは、っ……思うんですけど、もう少し、だけ……っはぁ」
もう景色なんて見ている余裕はなかった。なんとか崩れないように前に縋り付く。その手の上から包み込むように重ねると、想像よりも熱くなっていた。
やけに顔が近い。頬はもうくっついている。後ろからの、のぼせそうな体温を全身に感じながら仰け反った。
あ、まずい――。さっきめちゃくちゃ飲みまくった。シャンパンを家と、ここに来てからもかなり消費した。
トイレは何回か行ったはず……なのに募っていく良からぬ快感が、まとわりつくように広がり始めた。
ばかばか、それだけはまずい。汚すっていっても限度があるだろ。
「あ、あ……っ、だめ、どまって……っう」
「も、いきますから……っはぁ、貴方も、何回いってもいいですよ」
「ぞぉ、いうことじゃ、なぐって……っ、ほんと、とまっ」
「はは、何でこうされるの好きなくせに、いやいやって言うんですか。まぁそうところも、好きですけど、ね!」
突然動きが止まって、一番深い部分に到達した。そこで溢れているのか、どくどくと相手の心音を感じる。
息が吸えなくなって、呼吸が止まった。涙が勝手に溢れて、奥の方から声が漏れ出す。喉が開くと、ようやく空気が中に入ってきた。
「……っ! ……っ、は、はっ……ん、……んんぅ、あ、ああ! あああ……っ」
止めようと思っても、勝手に流れ出す暖かい感触。ぐったりと力が抜けて、床にそのまま座り込んだ。
「……だから、言ったのに……っ止まれって……!」
もうおしまいだ。自分の家ならまだしも、人の家で、しかもこんな高そうな場所で粗相をするなんて。
「ごめ……、ごめん……うぅ……っ、ごめんなさいぃ……」
「まぁ下半身を刺激している訳ですし、そういうこともありますよね」
「はぁ? なに冷静に、言ってんだよ! もう……ああ! ああ!」
恥ずかしさと申し訳なさが入り混じり、頭を抱える。こういうところのプライドはちゃんとあるのだ、この下等生物にも。
「別に構いませんよ。色んな貴方が見られて良かったですし。まぁ対して好きでもない相手にされていたら、ちょっと苛つく程度はあったかもしれませんけど……はは、あれだけ飲んだし、仕方ないことでしょ」
「クソ! さっさと拭くぞ、もう俺の服でいいっ」
「落ち着いてくださいよ。貴方の恥ずかしさの基準が分からないなー。なんでおしっこだけダメなんです? あれ、これって潮ってやつ?」
「いいから! 拭くんだっつーの!」
「窓に張り付いて見られたいとか言ってたのに……まだまだ不思議がいっぱいだなぁ」
一気に甘い空気はどこかへ吹っ飛んでいったけど、それもどこか俺達らしいと、一通り掃除し終わった後に思った。
もうクリスマスなんてすっかり頭から消えていて、自棄気味に飲み干したシャンパンのおかげで、縦か横かも分からずベッドにダイブした。
こいつの用意していたプランはきっと全然消化されていないのだろうと考えると、少し可哀想ではあったが、くらくらの頭ではもう何も考えられなかった。
20
柔らかな陽の中で誰かが囁いた。何と言っているのかは分からない。ただそれが暖かく、優しいものだとなんとなく伝わってくる。
それを追いかけようか迷っているうちに、また意識が途絶えた。
起きた時に不思議な夢を見たと思ったけど、多分あいつが何かを俺に言ったに違いない。
スマホを手に取ると、長文が来ていたので驚いた。メッセージには食事や鍵の事、何時に一度帰ってくるとか、そういうことが細かく書いてある。
「……あー、あったけぇなぁ」
広くて真っ白なベッド。そこに斜めに横たわっていても、何も邪魔するものはない。カーテンは一部だけ開かれていて、そこから空が見える。
しばらくそのままじっとしていたけど、暇なので起き上がった。
人の家に一人というのは落ち着かない。あまり状態を崩さないようにして、身支度を整えた。
一応例の窓をチェックしてから(ちゃんと綺麗になってた)、昨日の残りっぽい料理を黙々と食べた。
こんなに広くて綺麗だからなのか、どこか寂しさを感じる。憧れていたけど、俺にはやっぱり似合わないのかもしれない。
「どこか行くか? ……うーん」
テレビとかも勝手に弄る気にならないので、カーペットの上でごろごろ回る。
街を見たいのと、あいつが来るまで待っていたいのと、このままだらだらしていたい気分がせめぎ合って、結局何もできないでいた。
このいつの間にか着せられていた肌触りのいいパジャマを脱いで、安いスーツに着替えるかどうか。娯楽品の類いがない部屋で一日過ごすか。
「……決められないならサイコロでも振るか? いやコインを投げるまでもないよな、こんな些細な事」
一度外に出てみることにした。もう一回店を覗いて、働いている姿を見るのもいいかもしれない。そう思うと愉快な気分になってきた。
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