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21〔君は〕
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言葉にしていないのに、同じタイミングで唇を合わせた。遠慮なんてしていない音が、間から聞こえる。普段はヘッドホンからしか聞こえてこない音が、自分の口から鳴っている。
舌を触れ合わせてなぞられると、思わず腰が揺れてしまう。反射的にそれが起こるのに、揺れると中に響くから困る。ぐりぐりと先っぽが奥に当たって、くねらせる度に気持ちいいところが刺激される。
上も下も封じ込められて逃げ出せないと、力の加減が分からなくなる。
疲れたのか力が抜けると、支えている体重が落ちて、更に奥に入ってきた。逆に力を込めるとぎゅっと締め付けて、その存在を嫌でも分からせられてしまう。
「あぁあ……っ、なんらこれっ、やばぁ……っし、んじゃ、……いき、れきらっ、し、ぬ」
「……は、はぁっ。凄い締め付けてくる……っ、ちょっと揺らしてるだけなのに、もう出そう」
どっちがどう動いているかが、もう分からない。舌先はとにかく奥へ向かおうとして、めちゃくちゃに絡み合った。唾液が流れるのも気にしている余裕がなく、止められない。
少しずつ体勢がずれてきて、繋がったままベッドに背中が触れた。一度唇が離れて、あっちが姿勢を立て直す。今まではこっちが上だったけど、これは相手のペースになるんじゃないかと、ぼうっとした頭で考えられるのはそこまでだった。
「……っ!」
声にならずに、息だけ漏れた。一度半分までゆっくり抜かれた後、一気に戻ってきた。
それがぱんぱんと音を立てて、休みなく行われる。引いて戻ってくる度に、好きな、弱いところを通り過ぎていく。これ以上されたら限界が来てしまう。先にイったらダメだ。だって……。
「あっ、あ、まって……! だ、だめだめ……っんぅぅ……あ、やだっ、はやい……んっ、はげしっ」
動きが早くなってきた。中の硬さを感じる。伸ばした手を捕まえられて、ぎゅっと握った。
その温かさに一瞬、彼が重なった。ああ、もしかしてジン……君は。
――彼と会わせる為に、自分から消えたの?
気を失ったように逃避したのは一瞬で、必死そうな目と合った。それがどこか寂しそうだったから、笑って引き寄せる。
「余裕、ありそうですね……っ」
「ないって……おい、そこ、握んなっ! っあ、んん、やめっ……」
さすがに同時は無理だ。擦られて呆気なく出してしまうと、ぐいっと足を掴み直した。
「ま、待てっ、今、イッた、からぁ」
ラストスパートとばかりに、がんがん奥まで攻められる。だから先にイキたくなかったんだ。体が敏感になってる時にこんなことをされては、おかしくなってしまう。
一人でするときは自然と強すぎないように、セーブしているはずだ。だから止めようと思うのに、その力が入らない。
「ばかっ、とま、とまれ、ってぇ! ……っは、あぁっ、あーっ、う……うぅぅっ」
「はぁっ……凄い、ぎゅうぎゅうって動けなくなりそうなほど、きつくなってる」
ひたすらに揺さぶられて、頭がぼうっとしてくる。その中で、もっと奥へ入ろうとねじ込んでくる硬い感触だけが、研ぎ澄まされたかのように突き刺さってくる。
「っ、はぁっ……あ、あっ」
息が吸えなくて、ひたすら口を開けていても、僅かな空気しか入ってこない。それよりも、悲鳴混じりの声が喉の奥から勝手に出てくる。
突然停止して、一番深いところで止まった。何かと思って上を見ると、目を閉じて、荒い息を吐いていた。
じんわりと腹の奥が温かくなっているような感覚が広がり、それが全身へ伝わってくる。
びくびくと震える中から、ずるりと抜けていく。それがなくなっても、そこはひくひくと動き続けていた。
「はぁ、凄い……。こんな刺激が強いの、初めてだ」
水の中へ入った時のように、音が遠く聞こえる。力が抜けて、ふわふわと気持ちいいのが全身に回ってきた。
「……はっ、あ……ぅ、んんぅ」
「大丈夫ですか? あれ、焦点あってないかも……おーい、聞こえてますか」
「……れ、らぁ、……らい、ろう、らか、あ」
「ヤバい、何言ってんのか分かんない。……はぁ、ちょっと放っておくかぁ。あー……あっつ。はは、顔めちゃくちゃ熱くなってる。恥ずかしいなぁ……絶対赤くなってるよね」
隣に寝そべって、指先で頬を突いてきた。深いところに意識が飛んでいきそうで気持ち良かったのに、微妙に現実に戻される。
「ふ、ぁあー……あー、すごぉ……っ」
「あ、良かった。人語を取り戻した」
「……あー、……その」
何か言おうとしたけど、微睡みに飲まれて言葉が出てこない。
「……ふぅー。水飲んだらちょっと落ち着いた。ほら、貴方も飲んでください。新しいの開けたから冷えてますよ」
背中をちょっと起こすと、やけに冷えた水が喉を通り過ぎていく。その刺激に鳥肌が立った。
「……はぁーっ、あーやべぇ、なんだこれ。まだなんか続いてんだけど……っ」
汗をかいた髪を避けられるのでさえ心地良い。相手の膝に頭を乗っけて、天井を見つめた。
「動くのってやばくね……皆こんな刺激に耐えられてる訳? 自分の意思とは別に突かれんの、死ぬだろこれぇ」
「すいません、途中からなんか楽しくなってきちゃって」
「楽しい? 楽しいはなんかちげーだろ、お前」
「そうですか?」
「そうだよ」
起き上がって、相手の髪を戯れるようにくしゃっと掴んだ。そのままちょっと後ろに流してみる。こうやって前髪上げても似合うかも。
「……はは、ずれてるっていうか。ちょっとバカ?」
「貴方には負けますよ」
「そういうとこが、バカなんだよ」
頭を引き寄せて、頬に口を付けた。随分可愛らしい音が鳴る。
すぐにこっちを向いて、首を伸ばしてきた。手で固定せずに口を寄せ合ったから、少しズレた。でもそれを直さないまま、また息を上がらせた。
何も言ってないのに二人で笑って、子供みたいに隣に寝転んだ。適当に体にぺたぺた触ると、まだ熱さが残っているのを指先に感じる。
舌を触れ合わせてなぞられると、思わず腰が揺れてしまう。反射的にそれが起こるのに、揺れると中に響くから困る。ぐりぐりと先っぽが奥に当たって、くねらせる度に気持ちいいところが刺激される。
上も下も封じ込められて逃げ出せないと、力の加減が分からなくなる。
疲れたのか力が抜けると、支えている体重が落ちて、更に奥に入ってきた。逆に力を込めるとぎゅっと締め付けて、その存在を嫌でも分からせられてしまう。
「あぁあ……っ、なんらこれっ、やばぁ……っし、んじゃ、……いき、れきらっ、し、ぬ」
「……は、はぁっ。凄い締め付けてくる……っ、ちょっと揺らしてるだけなのに、もう出そう」
どっちがどう動いているかが、もう分からない。舌先はとにかく奥へ向かおうとして、めちゃくちゃに絡み合った。唾液が流れるのも気にしている余裕がなく、止められない。
少しずつ体勢がずれてきて、繋がったままベッドに背中が触れた。一度唇が離れて、あっちが姿勢を立て直す。今まではこっちが上だったけど、これは相手のペースになるんじゃないかと、ぼうっとした頭で考えられるのはそこまでだった。
「……っ!」
声にならずに、息だけ漏れた。一度半分までゆっくり抜かれた後、一気に戻ってきた。
それがぱんぱんと音を立てて、休みなく行われる。引いて戻ってくる度に、好きな、弱いところを通り過ぎていく。これ以上されたら限界が来てしまう。先にイったらダメだ。だって……。
「あっ、あ、まって……! だ、だめだめ……っんぅぅ……あ、やだっ、はやい……んっ、はげしっ」
動きが早くなってきた。中の硬さを感じる。伸ばした手を捕まえられて、ぎゅっと握った。
その温かさに一瞬、彼が重なった。ああ、もしかしてジン……君は。
――彼と会わせる為に、自分から消えたの?
気を失ったように逃避したのは一瞬で、必死そうな目と合った。それがどこか寂しそうだったから、笑って引き寄せる。
「余裕、ありそうですね……っ」
「ないって……おい、そこ、握んなっ! っあ、んん、やめっ……」
さすがに同時は無理だ。擦られて呆気なく出してしまうと、ぐいっと足を掴み直した。
「ま、待てっ、今、イッた、からぁ」
ラストスパートとばかりに、がんがん奥まで攻められる。だから先にイキたくなかったんだ。体が敏感になってる時にこんなことをされては、おかしくなってしまう。
一人でするときは自然と強すぎないように、セーブしているはずだ。だから止めようと思うのに、その力が入らない。
「ばかっ、とま、とまれ、ってぇ! ……っは、あぁっ、あーっ、う……うぅぅっ」
「はぁっ……凄い、ぎゅうぎゅうって動けなくなりそうなほど、きつくなってる」
ひたすらに揺さぶられて、頭がぼうっとしてくる。その中で、もっと奥へ入ろうとねじ込んでくる硬い感触だけが、研ぎ澄まされたかのように突き刺さってくる。
「っ、はぁっ……あ、あっ」
息が吸えなくて、ひたすら口を開けていても、僅かな空気しか入ってこない。それよりも、悲鳴混じりの声が喉の奥から勝手に出てくる。
突然停止して、一番深いところで止まった。何かと思って上を見ると、目を閉じて、荒い息を吐いていた。
じんわりと腹の奥が温かくなっているような感覚が広がり、それが全身へ伝わってくる。
びくびくと震える中から、ずるりと抜けていく。それがなくなっても、そこはひくひくと動き続けていた。
「はぁ、凄い……。こんな刺激が強いの、初めてだ」
水の中へ入った時のように、音が遠く聞こえる。力が抜けて、ふわふわと気持ちいいのが全身に回ってきた。
「……はっ、あ……ぅ、んんぅ」
「大丈夫ですか? あれ、焦点あってないかも……おーい、聞こえてますか」
「……れ、らぁ、……らい、ろう、らか、あ」
「ヤバい、何言ってんのか分かんない。……はぁ、ちょっと放っておくかぁ。あー……あっつ。はは、顔めちゃくちゃ熱くなってる。恥ずかしいなぁ……絶対赤くなってるよね」
隣に寝そべって、指先で頬を突いてきた。深いところに意識が飛んでいきそうで気持ち良かったのに、微妙に現実に戻される。
「ふ、ぁあー……あー、すごぉ……っ」
「あ、良かった。人語を取り戻した」
「……あー、……その」
何か言おうとしたけど、微睡みに飲まれて言葉が出てこない。
「……ふぅー。水飲んだらちょっと落ち着いた。ほら、貴方も飲んでください。新しいの開けたから冷えてますよ」
背中をちょっと起こすと、やけに冷えた水が喉を通り過ぎていく。その刺激に鳥肌が立った。
「……はぁーっ、あーやべぇ、なんだこれ。まだなんか続いてんだけど……っ」
汗をかいた髪を避けられるのでさえ心地良い。相手の膝に頭を乗っけて、天井を見つめた。
「動くのってやばくね……皆こんな刺激に耐えられてる訳? 自分の意思とは別に突かれんの、死ぬだろこれぇ」
「すいません、途中からなんか楽しくなってきちゃって」
「楽しい? 楽しいはなんかちげーだろ、お前」
「そうですか?」
「そうだよ」
起き上がって、相手の髪を戯れるようにくしゃっと掴んだ。そのままちょっと後ろに流してみる。こうやって前髪上げても似合うかも。
「……はは、ずれてるっていうか。ちょっとバカ?」
「貴方には負けますよ」
「そういうとこが、バカなんだよ」
頭を引き寄せて、頬に口を付けた。随分可愛らしい音が鳴る。
すぐにこっちを向いて、首を伸ばしてきた。手で固定せずに口を寄せ合ったから、少しズレた。でもそれを直さないまま、また息を上がらせた。
何も言ってないのに二人で笑って、子供みたいに隣に寝転んだ。適当に体にぺたぺた触ると、まだ熱さが残っているのを指先に感じる。
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