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ただ髪だけあってもどうしようもない。でも絶対に必要な投資だったはずだ。……高かったけど。
汚したくなかったので、体に巻きつけるようなプレイはしなかった。代わりにそっと、ブラッシングするだけだ。
「髪……シャンプー、匂い。あ、天才だわ。香りが足りんかったんだわ。ジンに似合う支配者の匂いを探そう」
デパートでそれをする勇気はなかったので、近場のドラッグストアなどを回って、満足するまで嗅ぎまくった。通報されなくて良かった。
ジンはこんな安いものをつけないと思うけど、そこは俺があげたとか、そんな理由でアリってことにする。結局支配者の匂いは良く分からなかったので、自分好みの匂いにした。大丈夫、スーツ眼鏡に似合う感じだから。多分。
髪にワンプッシュ。なかなかそれっぽい。
自分にも匂いを移したいから、クローゼットの中全部にかけておこう。部屋にも撒いておこう。
「うっ、きっつい……さすがにきつい」
くすくすとジンが笑っている気がした。
「はは、俺……アホだよねぇ」
窓を開けると寒かったけど、胸の中は暖かかった。
4
「ああっ、そこぉ……擦ったら……っ」
ジンは胸にそれを当てるのが好きだ。乳首は前より大きくなった気がする。まぁ俺が好きなだけなんだけど。
胸を執拗に弄った後、体をひっくり返される。うつ伏せになって、尻を持ち上げられて、焦らすように指をなぞらせた。
「は、はぁ……意地悪しないで。んんっ、ごめんなさ……っ。あ、お願いします……ほ、欲しいっ」
ジンがやっているという設定なので、腕を限界まで伸ばしてそれを尻に近づける。キツい体勢だけど、焦らしが好きなのでなんとか耐えている。
まだ全ては入らないけど、ちょっとだけ飲み込めるようになった。吸い付くように先端が中へ入ってこようとする。このままやっていけば入りそうな気がするけど、怖くなって止めてしまう。
早く欲しいのに。もう少し小さいのを買えば良かったかな。ジンが見栄っ張りなのが悪い。だって絶対このサイズだって、頑なに言うから。
「ごめ、ん。今日もダメだった……。こんなんじゃまだ、俺の所に来てくれないよね」
想像の中のジンが何かを言った。聞こえなかったけど、優しい言葉をかけてくれたみたいだ。
「ジン……。もう最初の設定とかなんだったのかな。俺たちの初対面っていつになるんだろね、はは……」
やりたいことが沢山ある。首に腕を巻きつけると、背中に熱い手が触れて、上を向くと美しい顔がある。目を閉じると柔らかい感触が触れて、口の中の温度は熱くて、頭の中の不安を全て溶かしていく。
「分かってるよ。さすがに想像だけじゃどうにもならない。感触が分からないんだから……だからって買えないだろ。いくらだと思ってるんだ? その辺の玩具とは訳が違うんだぞ。これ買ったら俺死ぬかもしれないよ!」
怪訝そうな目で見られる。動かした口から言葉が予測できた。
「大袈裟って……自分は常にゼロ円だから言えるんだよ。そりゃ俺だって欲しいよ。めちゃくちゃ今すぐ欲しいよ……でも値段も大きさもビッグすぎるよ! 金が尽きて、死んで、部屋に入った誰かが見たらどうするんだよ。借金したら何て言えばいいんだよ。男の人形買う為に金が無くなりましたって? ……え、それでも買え? お前の為になるからって……初めて君のこと恨めしく感じるよ。はあ? そりゃ嫌いにはならないけど……っふん、ほんと酷い奴だ」
一日中ネットを眺めていた。この間の倍はクリックしている。
顔や値段はピンキリで、かなりバラバラだ。それにカスタマイズ代や維持費やらで、他にも金がかかりそうだ。
「こ、これは……」
高いことは高いが、長い間付き合えるのなら良いのかもしれない。ジンとは違うタイプだけどカッコいい。体もかなりリアルだ。細身なのに筋肉質なそれを見てるだけで、どきゅんきゅんする。手元に来るまで何ヶ月もかかるらしいけど、これしかない。ウィッグを被せて顔を隠せばいいだろうか。ちょっともったいないけど。
「う、浮気じゃないから。ジンの為の器だから」
他の趣味が無くて良かった。貯めてきたお金をかなり使うことになるけど、他に欲しいものもない。
「これで恋人が買えるなら、安いもんだ」
あああーどうしよう。押しちゃった。買っちゃった、買っちゃったよ~。ついに等身大ドール、しかも男を買っちゃったよ……。
「やばい。全然後悔してない。わくわくが止まらない」
5
期待に胸を膨らませて経った数ヶ月。ピンポンの音が鳴るたびに、ドキドキと鼓動が高鳴った。高鳴りすぎて疲れた。
玄関を開けた瞬間に、あれこんなでかいのどうやって運ぶんだ? と気がついた。くそでかダンボールが、お兄さんの手によって室内へ運ばれる。最後までお兄さんと目は合わなかった。
「バレたのかな。まぁ買ってたとしても女の子だと思うよね。俺的には小さい女の子のがヤバイなって思うんだけど、どっちもどっちかな」
まずはダンボールを撫でる。こんなに愛しく撫でたのは初めてだ。どっちが頭だろう。
汚したくなかったので、体に巻きつけるようなプレイはしなかった。代わりにそっと、ブラッシングするだけだ。
「髪……シャンプー、匂い。あ、天才だわ。香りが足りんかったんだわ。ジンに似合う支配者の匂いを探そう」
デパートでそれをする勇気はなかったので、近場のドラッグストアなどを回って、満足するまで嗅ぎまくった。通報されなくて良かった。
ジンはこんな安いものをつけないと思うけど、そこは俺があげたとか、そんな理由でアリってことにする。結局支配者の匂いは良く分からなかったので、自分好みの匂いにした。大丈夫、スーツ眼鏡に似合う感じだから。多分。
髪にワンプッシュ。なかなかそれっぽい。
自分にも匂いを移したいから、クローゼットの中全部にかけておこう。部屋にも撒いておこう。
「うっ、きっつい……さすがにきつい」
くすくすとジンが笑っている気がした。
「はは、俺……アホだよねぇ」
窓を開けると寒かったけど、胸の中は暖かかった。
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「ああっ、そこぉ……擦ったら……っ」
ジンは胸にそれを当てるのが好きだ。乳首は前より大きくなった気がする。まぁ俺が好きなだけなんだけど。
胸を執拗に弄った後、体をひっくり返される。うつ伏せになって、尻を持ち上げられて、焦らすように指をなぞらせた。
「は、はぁ……意地悪しないで。んんっ、ごめんなさ……っ。あ、お願いします……ほ、欲しいっ」
ジンがやっているという設定なので、腕を限界まで伸ばしてそれを尻に近づける。キツい体勢だけど、焦らしが好きなのでなんとか耐えている。
まだ全ては入らないけど、ちょっとだけ飲み込めるようになった。吸い付くように先端が中へ入ってこようとする。このままやっていけば入りそうな気がするけど、怖くなって止めてしまう。
早く欲しいのに。もう少し小さいのを買えば良かったかな。ジンが見栄っ張りなのが悪い。だって絶対このサイズだって、頑なに言うから。
「ごめ、ん。今日もダメだった……。こんなんじゃまだ、俺の所に来てくれないよね」
想像の中のジンが何かを言った。聞こえなかったけど、優しい言葉をかけてくれたみたいだ。
「ジン……。もう最初の設定とかなんだったのかな。俺たちの初対面っていつになるんだろね、はは……」
やりたいことが沢山ある。首に腕を巻きつけると、背中に熱い手が触れて、上を向くと美しい顔がある。目を閉じると柔らかい感触が触れて、口の中の温度は熱くて、頭の中の不安を全て溶かしていく。
「分かってるよ。さすがに想像だけじゃどうにもならない。感触が分からないんだから……だからって買えないだろ。いくらだと思ってるんだ? その辺の玩具とは訳が違うんだぞ。これ買ったら俺死ぬかもしれないよ!」
怪訝そうな目で見られる。動かした口から言葉が予測できた。
「大袈裟って……自分は常にゼロ円だから言えるんだよ。そりゃ俺だって欲しいよ。めちゃくちゃ今すぐ欲しいよ……でも値段も大きさもビッグすぎるよ! 金が尽きて、死んで、部屋に入った誰かが見たらどうするんだよ。借金したら何て言えばいいんだよ。男の人形買う為に金が無くなりましたって? ……え、それでも買え? お前の為になるからって……初めて君のこと恨めしく感じるよ。はあ? そりゃ嫌いにはならないけど……っふん、ほんと酷い奴だ」
一日中ネットを眺めていた。この間の倍はクリックしている。
顔や値段はピンキリで、かなりバラバラだ。それにカスタマイズ代や維持費やらで、他にも金がかかりそうだ。
「こ、これは……」
高いことは高いが、長い間付き合えるのなら良いのかもしれない。ジンとは違うタイプだけどカッコいい。体もかなりリアルだ。細身なのに筋肉質なそれを見てるだけで、どきゅんきゅんする。手元に来るまで何ヶ月もかかるらしいけど、これしかない。ウィッグを被せて顔を隠せばいいだろうか。ちょっともったいないけど。
「う、浮気じゃないから。ジンの為の器だから」
他の趣味が無くて良かった。貯めてきたお金をかなり使うことになるけど、他に欲しいものもない。
「これで恋人が買えるなら、安いもんだ」
あああーどうしよう。押しちゃった。買っちゃった、買っちゃったよ~。ついに等身大ドール、しかも男を買っちゃったよ……。
「やばい。全然後悔してない。わくわくが止まらない」
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期待に胸を膨らませて経った数ヶ月。ピンポンの音が鳴るたびに、ドキドキと鼓動が高鳴った。高鳴りすぎて疲れた。
玄関を開けた瞬間に、あれこんなでかいのどうやって運ぶんだ? と気がついた。くそでかダンボールが、お兄さんの手によって室内へ運ばれる。最後までお兄さんと目は合わなかった。
「バレたのかな。まぁ買ってたとしても女の子だと思うよね。俺的には小さい女の子のがヤバイなって思うんだけど、どっちもどっちかな」
まずはダンボールを撫でる。こんなに愛しく撫でたのは初めてだ。どっちが頭だろう。
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