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4《笑顔》

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そんなことを考えていたからか、次の土曜日は本当にデートのようだった。ずっと幸せな時間が続いていて、何をしても楽しかった。
特に嬉しかったのは、ゲームセンターで春樹が気に入ったというぬいぐるみを取れた時だ。春樹があんなに苦戦していたのに、自分でも驚くほどすんなりと取れてしまった。それをもう一つとってほしいというのでゲットすると、二つとも自分の袋の中に入れた。春樹が欲しいなら僕は満足だ。色違いが欲しいほど気に入ったのかと思っていたら、帰りに青と黄色のクマを取り出した。両手に持って、どっちがいいと聞いてくる。
青の方が似合うと言われたけど、春樹に似合う黄色のが欲しいと言った。一瞬驚いていたけど、青の方を手に取ると嬉しそうに笑った。
「ありがとう」
「もーう、取ったのは純なのに。こっちこそ、ありがと」
ふと、春樹の笑顔を見るのはこれが最後の気がした。なんでそう思ったのかは分からないけど。いや、分かっていたんだ。きっと近いうちに僕は全部を告白する。そしてその結果は……。
だから春樹の笑顔を目に焼き付けた。見えなくなってもその方向を見続けた。顔を拭って、嫌いな帰り道を歩く。次に言えるチャンスはあの日だ。あの日に、僕は……人生を賭けた勝負をする。

















……
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……ってなことを思っているハズなのだ。純は。
美しくて可愛い、皮肉屋でネガティヴな世界一愛おしい彼は。
こちらと過ごしている時は隠しているつもりだろうけど、純が考えていることは手に取るように分かる。本人は気づいていない。自分のことを駄目な人間のように評価しているけど、名前の通りここまで純粋で素直な人は見たことがない。
純はきっと、もうすぐ。毎年夏休みに二人で行くキャンプでようやく、自分の気持ちを伝えるのだろう。どれだけ、この時を待っていたと思う? ああ、待ちきれない。とびきりのサプライズをお返しとして用意しているよ。

……というわけで、順調にキャンプ当日になった。昔は家族ぐるみで行っていたけど、年が上がるに連れて、自分達だけで来るようになっていた。一応目的は星座の観察ということになっている。
毎年寝転がって何度も見ているのに、初めて見たかのようにキラキラと輝いている瞳を盗み見る。自分でもちょっと、いや大分歪んでいると思う。
純のことをここまで耐えながら待つよりも、自分から言ってしまえばよかったのだ。純以上の狂った濃い愛情が渦巻いているくせに隠して、隠し通して、純の反応を楽しんでいる。
初めは笑顔が可愛かったのに、困ったり泣きそうな顔をすると、胸の奥がどくりと動くようになった。ぞくっとも似ている。そのせいでこんな計画を思いついてしまった。
ごめんね、もう少しだから。もう少しで俺たちは晴れて恋人同士だよ。好きな人から好きって言われたら嬉しいでしょ? 純。
こちらも隠し通すのは大変だったのにバレなかったのは、純の方が既にいっぱいいっぱいだったからだと思う。こちらのことを見ているようで見ていない。純の頭の中は自分の言動や行動を振り返って後悔したりと、そんなことで詰まっていたはずだ。
思っていた通り、純は待ち合わせからなんだかぎこちなかった。ぼうっとどこかを見ているし、話しかけても上の空で。その一つ一つに心が湧き踊った。早く早く、早く純に伝えたい。その口から聞きたい。ずっと望んでいた言葉を──。
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