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レイラの薔薇
クライヴとチャールズ
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クライヴはリラを見かけた頃の話を管理小屋の長テーブルに腰掛け紅茶を飲みながら話した。
リラはクライヴの隣に座りで目を丸くしながら、その話を食い入るように聞いていた。
やっとクライヴがどういう経緯で自分について知ることができたのに、安堵するどころか四年前の何とも身の程知らずな自分の痴態をひけらかされることになってしまったのだった。
(なんとも世間知らずな子供だったのだろう…。)
いくらハンナが体調不良のため、その看病と子守に忙しいからと、一国の皇子の面会要請を断るとは若気の至りとは恐ろしい…。
さぞリラの父であるチャールズ・アリエスも肝が冷えたことだろうと、リラは身震いした。
「えっと…。色々大変失礼いたしました!」
リラはあまりの痴態に謝らずにはいられなかった。
リラは耳まで顔を紅らめ、頭を下げた。
「ははは。勘違いしているようだが、俺が一方的にリラに逢いたかっただけで、リラは何一つ悪いことはしていない。」
そう言われてもリラは肩身が狭く安易に顔を上げることはできなかった。
クライヴはそんな様子を見て愉しそうにクスクスと笑いながらリラの頭を優しく撫でるのだった。
そんなふたりのやりとりを正面の席で行儀悪く頬杖をつきながらサムは眺めていた。
(何が俺が勝手に逢いに来ただけだ。来る度に何故リラがいないと大騒ぎしていたじゃないか。)
「ところで、サム。リラはこの通り俺と婚約したんだ。これからはより一層みのほどを弁えてもらえないか。」
クライヴはチラリとサムを横目で見るとニヤリと笑って、リラの左手に輝く婚約指輪をサムに見せつけるように高らかと上げるとそこに口付けした。
「えっと。このようなところで…。」
未だに慣れないリラは慌てて手をひっこめた。
「もう何度目だというのだ。」
クライヴはいつもの調子で意地悪く笑うのだった。
そんなふたりの様子がサムは一向に面白くもなく、睨みつけるようにふたりを眺め貧乏ゆすりをしていた。
(どんな手を使ってリラちゃんを騙したのだ。)
そんななんとも言えない微妙な空気を破壊するように、勢いよく管理小屋の扉が開いた。
「リラ、クライヴ様。ここにいらっしゃったのですか。」
「お兄様!」
そう言いながら、ズカズカと入ってくるのはリラの兄であるルーカス・アリエスだった。
「昼過ぎには帰ってくるとのお話でしたのに、なかなか戻ってこないので心配しましたよ。」
「すまない、ルーカス。」
ルーカスは頬を染め上げたリラの顔をじっと見つめるなりニヤリと笑った。
「クライヴ様。遂にリラとの出逢いを遂にお話されましたか。」
(お兄様。なんでそんなに察しがよろしいのかしら…。)
リラは無意識に頭を抱え込み溜息を吐いた。
「ああ。まあな。」
「あー。悔しいな。リラの反応を見たいと言ったじゃないですか。」
ルーカスは口元はニヤニヤしながらも眉間に皺を寄せて、さぞ残念そうな声色でクライヴに訴えたが、すぐに何か閃いたのか目を輝かせて自分の執務机に向かい何やらガサゴソと探し始めた。
「あったあった。以前ここでワインを飲もうと思って持ってきていたんですよ!」
その言葉にリラは絶句した。
(まさか、まさかね…。)
「もし良ければ飲みながらもう一度話しませんか。」
(えーーーーーー。)
リラは今にも白目を剥いて倒れそうだが、ルーカスは嬉しそうに今度は簡易台所の棚からワイングラスを取り出し始めているではないか。
「ちょっと!お兄様!(あの失態をもう一度聞くなどありえない…。)」
「いいじゃないか。減るもんでもないし、第一、ネタバラシをするときは混ぜてほしいとお願いしていたんだ。」
(やめてーーーーー。)
リラは頭を抱え、今にも叫び出しそうな悲痛な表情を浮かべていた。
一方のルーカスは全く気にした様子もなくグラスを入念に拭いているのだった。
リラはルーカスに何を言っても無駄だとわかると、クライヴの腕をがっしりと握りしめ、潤んだ瞳で懇願するようにクライヴの顔を覗き込んだ。
「クライヴ様!お父様も帰宅されているかもしれません!か、帰りましょう!」
「ルーカス。そういうことだ。ワインはまた後にしよう。」
リラに手を引かれクライヴは立ち上がった。
ふたりは屋敷に帰宅すると、裏庭に向った。
何でもリラの父であるチャールズ・アリエスはすでに帰宅しており裏庭にいるとのことだった。
「クライヴ様、裏庭はご覧になったことございますか。」
リラは、裏庭へクライヴを案内しながら尋ねた。
この裏庭は、リラの母のためにチャールズが用意したので、亡き母の後はチャールズも暇さえあれば自ら鋏を握り手入れを行うようになったのであった。
ふたりが裏庭に着くと、そこには以前リラに連れられた薔薇園に引けを取らないほどの様々な種類の薔薇が植えられた、とても見事な庭だった。
「これは、すごい。」
クライヴは思わず近くの薔薇を優しく手に取り香りを香った。
優しい薔薇の香りが全身を包んでいった。
「ありがとうございます。亡き母ほどではございませんが、私たちも一生懸命に世話をした甲斐がございましたわ。」
そんな話をしていると、チャールズは手に革手袋をして、奥から歩いてくるではないか。
どうやら薔薇の手入れの真っ只中だったようだ。
「お父様、ここにいらっしゃったんですね。」
「クライヴ様。よくいらっしゃいました。」
チャールズはふたりの前に来ると一礼した。
「リラ、少し席を外してもらえないだろうか。」
「わかりましたわ。」
リラはチャールズと普段と異なり何処となく元気のない様子に不安を抱えながらも、ふたりに一礼しその場を後にした。
チャールズは裏庭の端にあるテラスにクライヴを案内した。
「良かったら、こちらにおかけください。」
クライヴが腰掛けるとチャールズは正面の席に腰掛けた。
「リラから話を聞いたかもしれませんが、この中庭は元々リラの母であるレイラのために用意した庭でした。彼女は、まだ何もないところから、楽しそうに雑草を抜きながら、どんな種を植えようかと考えておりました。」
「リラが小さい頃はレイラの手伝いで薔薇の手入れをしたり、ルーカスが駆けっこをしたりと、この庭は家族の思い出がたくさん詰まった場所なんです。」
「全部、昨日のことのようなのですが…。」
チャールズはそこまで言うと言葉を詰まらせた。
チャールズの脳裏にレイラと過ごした出来事、家族で過ごした出来事、様々な場面が走馬灯のように浮かんでいた。
チャールズにとっては、時が経つのは早すぎた。
愛らしいリラがまだ幼かったのは、昨日のことのようであった。
人一倍結婚に関心がなく、領地経営を楽しんいたのに、まさかこんなにも早くお嫁に行くとは、誰が予想できただろうか。
知らぬ土地である隣国に嫁ぐのだ。
それも、国の責務を背負う皇太子妃となるのだ。
父として娘の身を案じないわけがなかった。
もちろん、どこの誰に嫁ごうと不安はつきないものであるが、まさか皇太子妃になるなど夢にも思わなかった。
初めてクライヴから縁談の話をされたときに、こんな大きな決断は自分ひとりではできず、クライヴにある条件を出したのだった。
『この婚約にあの子を納得させてください。』
(あの子が決断した定めならば、私も受け入れよう。)
チャールズは自分は何ともずるい親である、そう思いながら今日の今まで過ごしていた。
「あの子はもう大人になったんですね。」
チャールズは俯き唇を震わせていた。
「クライヴ様。あの子をどうか、どうか、よろしくお願いします。」
チャールズは立ち上がると深々とクライヴに頭を下げた。
リラはクライヴの隣に座りで目を丸くしながら、その話を食い入るように聞いていた。
やっとクライヴがどういう経緯で自分について知ることができたのに、安堵するどころか四年前の何とも身の程知らずな自分の痴態をひけらかされることになってしまったのだった。
(なんとも世間知らずな子供だったのだろう…。)
いくらハンナが体調不良のため、その看病と子守に忙しいからと、一国の皇子の面会要請を断るとは若気の至りとは恐ろしい…。
さぞリラの父であるチャールズ・アリエスも肝が冷えたことだろうと、リラは身震いした。
「えっと…。色々大変失礼いたしました!」
リラはあまりの痴態に謝らずにはいられなかった。
リラは耳まで顔を紅らめ、頭を下げた。
「ははは。勘違いしているようだが、俺が一方的にリラに逢いたかっただけで、リラは何一つ悪いことはしていない。」
そう言われてもリラは肩身が狭く安易に顔を上げることはできなかった。
クライヴはそんな様子を見て愉しそうにクスクスと笑いながらリラの頭を優しく撫でるのだった。
そんなふたりのやりとりを正面の席で行儀悪く頬杖をつきながらサムは眺めていた。
(何が俺が勝手に逢いに来ただけだ。来る度に何故リラがいないと大騒ぎしていたじゃないか。)
「ところで、サム。リラはこの通り俺と婚約したんだ。これからはより一層みのほどを弁えてもらえないか。」
クライヴはチラリとサムを横目で見るとニヤリと笑って、リラの左手に輝く婚約指輪をサムに見せつけるように高らかと上げるとそこに口付けした。
「えっと。このようなところで…。」
未だに慣れないリラは慌てて手をひっこめた。
「もう何度目だというのだ。」
クライヴはいつもの調子で意地悪く笑うのだった。
そんなふたりの様子がサムは一向に面白くもなく、睨みつけるようにふたりを眺め貧乏ゆすりをしていた。
(どんな手を使ってリラちゃんを騙したのだ。)
そんななんとも言えない微妙な空気を破壊するように、勢いよく管理小屋の扉が開いた。
「リラ、クライヴ様。ここにいらっしゃったのですか。」
「お兄様!」
そう言いながら、ズカズカと入ってくるのはリラの兄であるルーカス・アリエスだった。
「昼過ぎには帰ってくるとのお話でしたのに、なかなか戻ってこないので心配しましたよ。」
「すまない、ルーカス。」
ルーカスは頬を染め上げたリラの顔をじっと見つめるなりニヤリと笑った。
「クライヴ様。遂にリラとの出逢いを遂にお話されましたか。」
(お兄様。なんでそんなに察しがよろしいのかしら…。)
リラは無意識に頭を抱え込み溜息を吐いた。
「ああ。まあな。」
「あー。悔しいな。リラの反応を見たいと言ったじゃないですか。」
ルーカスは口元はニヤニヤしながらも眉間に皺を寄せて、さぞ残念そうな声色でクライヴに訴えたが、すぐに何か閃いたのか目を輝かせて自分の執務机に向かい何やらガサゴソと探し始めた。
「あったあった。以前ここでワインを飲もうと思って持ってきていたんですよ!」
その言葉にリラは絶句した。
(まさか、まさかね…。)
「もし良ければ飲みながらもう一度話しませんか。」
(えーーーーーー。)
リラは今にも白目を剥いて倒れそうだが、ルーカスは嬉しそうに今度は簡易台所の棚からワイングラスを取り出し始めているではないか。
「ちょっと!お兄様!(あの失態をもう一度聞くなどありえない…。)」
「いいじゃないか。減るもんでもないし、第一、ネタバラシをするときは混ぜてほしいとお願いしていたんだ。」
(やめてーーーーー。)
リラは頭を抱え、今にも叫び出しそうな悲痛な表情を浮かべていた。
一方のルーカスは全く気にした様子もなくグラスを入念に拭いているのだった。
リラはルーカスに何を言っても無駄だとわかると、クライヴの腕をがっしりと握りしめ、潤んだ瞳で懇願するようにクライヴの顔を覗き込んだ。
「クライヴ様!お父様も帰宅されているかもしれません!か、帰りましょう!」
「ルーカス。そういうことだ。ワインはまた後にしよう。」
リラに手を引かれクライヴは立ち上がった。
ふたりは屋敷に帰宅すると、裏庭に向った。
何でもリラの父であるチャールズ・アリエスはすでに帰宅しており裏庭にいるとのことだった。
「クライヴ様、裏庭はご覧になったことございますか。」
リラは、裏庭へクライヴを案内しながら尋ねた。
この裏庭は、リラの母のためにチャールズが用意したので、亡き母の後はチャールズも暇さえあれば自ら鋏を握り手入れを行うようになったのであった。
ふたりが裏庭に着くと、そこには以前リラに連れられた薔薇園に引けを取らないほどの様々な種類の薔薇が植えられた、とても見事な庭だった。
「これは、すごい。」
クライヴは思わず近くの薔薇を優しく手に取り香りを香った。
優しい薔薇の香りが全身を包んでいった。
「ありがとうございます。亡き母ほどではございませんが、私たちも一生懸命に世話をした甲斐がございましたわ。」
そんな話をしていると、チャールズは手に革手袋をして、奥から歩いてくるではないか。
どうやら薔薇の手入れの真っ只中だったようだ。
「お父様、ここにいらっしゃったんですね。」
「クライヴ様。よくいらっしゃいました。」
チャールズはふたりの前に来ると一礼した。
「リラ、少し席を外してもらえないだろうか。」
「わかりましたわ。」
リラはチャールズと普段と異なり何処となく元気のない様子に不安を抱えながらも、ふたりに一礼しその場を後にした。
チャールズは裏庭の端にあるテラスにクライヴを案内した。
「良かったら、こちらにおかけください。」
クライヴが腰掛けるとチャールズは正面の席に腰掛けた。
「リラから話を聞いたかもしれませんが、この中庭は元々リラの母であるレイラのために用意した庭でした。彼女は、まだ何もないところから、楽しそうに雑草を抜きながら、どんな種を植えようかと考えておりました。」
「リラが小さい頃はレイラの手伝いで薔薇の手入れをしたり、ルーカスが駆けっこをしたりと、この庭は家族の思い出がたくさん詰まった場所なんです。」
「全部、昨日のことのようなのですが…。」
チャールズはそこまで言うと言葉を詰まらせた。
チャールズの脳裏にレイラと過ごした出来事、家族で過ごした出来事、様々な場面が走馬灯のように浮かんでいた。
チャールズにとっては、時が経つのは早すぎた。
愛らしいリラがまだ幼かったのは、昨日のことのようであった。
人一倍結婚に関心がなく、領地経営を楽しんいたのに、まさかこんなにも早くお嫁に行くとは、誰が予想できただろうか。
知らぬ土地である隣国に嫁ぐのだ。
それも、国の責務を背負う皇太子妃となるのだ。
父として娘の身を案じないわけがなかった。
もちろん、どこの誰に嫁ごうと不安はつきないものであるが、まさか皇太子妃になるなど夢にも思わなかった。
初めてクライヴから縁談の話をされたときに、こんな大きな決断は自分ひとりではできず、クライヴにある条件を出したのだった。
『この婚約にあの子を納得させてください。』
(あの子が決断した定めならば、私も受け入れよう。)
チャールズは自分は何ともずるい親である、そう思いながら今日の今まで過ごしていた。
「あの子はもう大人になったんですね。」
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