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観劇
ロイドの調査報告
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翌日の昼過ぎ、デイビッドはリラの屋敷を訪れた。
「一昨日の一件で、調査内容のご報告がございます。よろしければ、リラ様もいらっしゃっていただけますでしょうか。」
デイビッドの言葉を受けてリラは急いで支度をしクライヴの元に向かった。
クライヴの元に着くと、サロンに案内された。
そこには既にロイドとレナルドがおり少し俯き緊張した表情を浮かべながらも、クライヴの傍らに姿勢正しく立っていた。
一方のクライヴはというと、ふたりの様子に気にした様子もなくソファに腰掛け優雅に紅茶を飲んでいた。
「皆様、お待たせして申し訳ございません。」
リラが挨拶をしながらサロンに入ると、ロイドはリラの穏やかな表情を見て少し緊張が解けたようだった。
「リラ嬢、わざわざ出向いていただき感謝する。」
「いえ、とんでもございません。その、当事者でもない私も調査内容をお伺いしてよろしいのでしょうか…。」
実際、リラは今回の件に関して、ただの野次馬のひとりでしかないのだ。
この不祥事のあらましを聞いても問題ないのかと躊躇った。
そんな言葉をひとつも気にしないクライヴは、リラの姿を見るなり立ち上がり、当たり前のように口付けをし、そのままソファに座るようにエスコートした。
「ああ。問題ない。俺がお願いしたのだ。あの女は俺の恋人を罵った。リラににも聞く権利はあるだろう。」
リラは恋人という言葉に少しこそばゆくなり、頬を染めていた。
「一応、まだ調査段階であることをご留意いただけると有り難い。」
ロイドは前置きをすると、レナルドが調査報告について話始めた。
「昨日、アクイラ国皇子からご提出いただいた、ユングフラウ侯爵とのやり取りの書状を確認させていただきました。確かに、アクイラ国皇子がおっしゃる通り、ユングフラウ侯爵との食事会は極力簡素なものを要求されてました。再三、ユングフラウ侯爵は娘であるレベッカの縁談を持ちかけてもおりましたが、アクイラ国皇子が正式にお断りしているのも確認されております。ユングフラウ侯爵も最終的には合意するような文面も確認ができております。」
リラはその言葉を聞き、クライヴとレベッカの見合いは嘘だったのかと安堵と共に、クライヴを疑った自分を情けなく思え顔を曇らせた。
「つまり、今回、ユングフラウ侯爵がアクイラ国皇子を観劇にお誘いした、というよりもアクイラ国皇子を拉致する目的だったと考えております。それを裏付けるように、レベッカ嬢のスカートのポケットから睡眠薬が発見されました。未だ本人は所持していた事実を否定しておりますが、我々は確固たる証拠と考えております。」
リラは、拉致、睡眠薬という言葉に驚きのあまり息を飲んだ。
あのときロイドやレナルドがいなければクライヴは今頃どうなっていたのだろうと不安が押し寄せた。
また、恋人の危機を目の前に動揺して言葉も出ず涙を流し走り去る自分が情けなくて仕方がなかった。
クライヴは、そんな俯くリラの手を優しく握りしめた。
「また、大変申し訳にくいのですが、昨日、ユングフラウ侯爵邸を調査した際にレベッカ嬢の寝室から媚薬も発見されました。こちらも本人は所持していた事実を否定していおります。」
「この状況証拠から推察するに、ふたりの計画は、観劇中に睡眠薬入りのワインをアクイラ国皇子に飲ませ、酔ったアクイラ国皇子を介抱する口実で侯爵邸に連れ去り霰もないことを行う予定だったのでしょう。」
レナルドはそれ以上のことを話さなかったが、計画の目的はクライヴの子をレベッカが身籠り、クライヴとの婚姻を成立させようとしたのだろう。
(なんとも悪質な…。)
リラは身震いした。
「今回の騒動でアクイラ国皇子の御身が危険にさらされたことは間違いございません。この度は大変失礼いたしました。」
そういうとロイドとレナルドは深々と頭を下げた。
リラの隣に座るクライヴは平然と紅茶を飲んでいるが、リラはレナルドの報告に信じがたい気持ちだった。
レベッカは自分に対して当たりは強いが、それでも侯爵家の人間だ。
それに、ロイドの婚約者候補である。
レベッカはリラよりも遥かに教養のある人間だと思っていた。
しかし、実際はこのように非常な行いができる人間だったのだ。
クライヴに万が一の事態があったら、そう想像するだけでもリラは恐ろしくて仕方がなかった。
もし本当にそんな事態になったら、リラは胸が張り裂け心が壊れてしまうだろう。
そんなリラの心情を察したのかクライヴはそんなリラの頭を優しく撫でた。
「大丈夫。」
リラにだけ聞こえる声で小さく囁いた。
「ロイド殿下、レナルド殿。迅速な調査に感謝する。」
クライヴは短く礼を言った。
「いえ、とんでもございません。ユングフラウ侯爵およびレベッカ嬢の処遇については、まだ協議中ですが、爵位の剥奪は免れないでしょう。また決まりましたら、追ってご報告させていただきます。」
レナルドがそういうと、ふたりは深々と頭を下げて部屋から出ていった。
リラはクライヴとふたりきりになり、リラは重たい口を開いた。
「クライヴ様。その、あのときクライヴ様がレベッカ様とお見合いをしていると疑って申し訳ございません。」
「いや、迂闊な行動をした俺が悪かった。」
リラはクライヴが優しく微笑みかけるので、少しばかり罪悪感が薄れていった。
「それにしても、睡眠薬に媚薬なんて恐ろしいですね。」
「それなら問題ない。」
間髪入れずに平然と答えるクライヴにリラは目を丸くした。
「こんなこと初めてではない。もちろん、すべて未遂だが。」
クライヴのその言葉にリラの胸は締め付けられた。
確かにこのような美貌に加え皇族という不動の地位の持ち主だ。
幾人もの令嬢がクライヴに恋焦がれたことだろう。
時にはライバルを蹴落とすために行きすぎたな手段を取るものいたにちがいない。
それでも、薬を使って望まぬ行為をしようとするなど浅ましいにもほどがある。
リラはクライヴの苦労を想い目を潤ませると、クライヴはリラの肩を持ち引き寄せた。
リラはクライヴの胸をギュッと掴んだ。
そんな愛らしいリラの頭にクライヴは優しく口付けを贈り苦笑した。
「はは。そんな顔しないでくれ」
「けれど…。」
リラがクライヴを潤んだ青緑色の瞳で見つめると、クライヴはニヤリと意地悪く笑った。
「それに媚薬なら多少身体に慣れさせているんだ。飲まされたところで何とかなるだろう。」
リラはクライヴの言葉に驚きのあまりこれでもかと目を丸くした。
媚薬を慣らすとは一体どういうことなのか。
頭の中を疑問符が埋め尽くしていった。
「こういう事態に備えて、主治医と相談して慣らすことにしたんだ。もちろん、中和剤も持ち歩いている。」
「そうなんですか…。」
リラはポツリとそう呟いた。
今まで自分が心配したことは然程大事ではなかったらしい。
それにしても、それならもっと早く教えてくれてもいいではないか。
なんだかもやもやして損した気分でもあった。
リラはバツが悪そうにムッとした表情をすると、クライヴは愉しそうにクスクスと笑い出した。
「ははは。今度試してみようか。」
クライヴの突拍子も無い発言に、リラは媚薬を飲み干し本能が剥き出しになったクライヴを妄想し、一瞬にして身体が真っ紅になった。
(なんて、恥ずかしい妄想を…。)
「そ、そんなことしなくても、媚薬に慣れているかなんて、ひとつも疑ってないです!」
そんな妄想を誤魔化すようにリラは慌ててクライヴに慌てて訴えた。
「はは。リラが相手なら媚薬に慣れている証明にはならないか。」
そう言うと、クライヴは情欲に満ちた紅い瞳を揺らしながら、リラの唇に噛み付くような口付けをした。
「ん…、もう!」
不意にリラは、クライヴのこの妙にダダ漏れの色気は、慣らしている媚薬の所為なのではないかと思えた。
「一昨日の一件で、調査内容のご報告がございます。よろしければ、リラ様もいらっしゃっていただけますでしょうか。」
デイビッドの言葉を受けてリラは急いで支度をしクライヴの元に向かった。
クライヴの元に着くと、サロンに案内された。
そこには既にロイドとレナルドがおり少し俯き緊張した表情を浮かべながらも、クライヴの傍らに姿勢正しく立っていた。
一方のクライヴはというと、ふたりの様子に気にした様子もなくソファに腰掛け優雅に紅茶を飲んでいた。
「皆様、お待たせして申し訳ございません。」
リラが挨拶をしながらサロンに入ると、ロイドはリラの穏やかな表情を見て少し緊張が解けたようだった。
「リラ嬢、わざわざ出向いていただき感謝する。」
「いえ、とんでもございません。その、当事者でもない私も調査内容をお伺いしてよろしいのでしょうか…。」
実際、リラは今回の件に関して、ただの野次馬のひとりでしかないのだ。
この不祥事のあらましを聞いても問題ないのかと躊躇った。
そんな言葉をひとつも気にしないクライヴは、リラの姿を見るなり立ち上がり、当たり前のように口付けをし、そのままソファに座るようにエスコートした。
「ああ。問題ない。俺がお願いしたのだ。あの女は俺の恋人を罵った。リラににも聞く権利はあるだろう。」
リラは恋人という言葉に少しこそばゆくなり、頬を染めていた。
「一応、まだ調査段階であることをご留意いただけると有り難い。」
ロイドは前置きをすると、レナルドが調査報告について話始めた。
「昨日、アクイラ国皇子からご提出いただいた、ユングフラウ侯爵とのやり取りの書状を確認させていただきました。確かに、アクイラ国皇子がおっしゃる通り、ユングフラウ侯爵との食事会は極力簡素なものを要求されてました。再三、ユングフラウ侯爵は娘であるレベッカの縁談を持ちかけてもおりましたが、アクイラ国皇子が正式にお断りしているのも確認されております。ユングフラウ侯爵も最終的には合意するような文面も確認ができております。」
リラはその言葉を聞き、クライヴとレベッカの見合いは嘘だったのかと安堵と共に、クライヴを疑った自分を情けなく思え顔を曇らせた。
「つまり、今回、ユングフラウ侯爵がアクイラ国皇子を観劇にお誘いした、というよりもアクイラ国皇子を拉致する目的だったと考えております。それを裏付けるように、レベッカ嬢のスカートのポケットから睡眠薬が発見されました。未だ本人は所持していた事実を否定しておりますが、我々は確固たる証拠と考えております。」
リラは、拉致、睡眠薬という言葉に驚きのあまり息を飲んだ。
あのときロイドやレナルドがいなければクライヴは今頃どうなっていたのだろうと不安が押し寄せた。
また、恋人の危機を目の前に動揺して言葉も出ず涙を流し走り去る自分が情けなくて仕方がなかった。
クライヴは、そんな俯くリラの手を優しく握りしめた。
「また、大変申し訳にくいのですが、昨日、ユングフラウ侯爵邸を調査した際にレベッカ嬢の寝室から媚薬も発見されました。こちらも本人は所持していた事実を否定していおります。」
「この状況証拠から推察するに、ふたりの計画は、観劇中に睡眠薬入りのワインをアクイラ国皇子に飲ませ、酔ったアクイラ国皇子を介抱する口実で侯爵邸に連れ去り霰もないことを行う予定だったのでしょう。」
レナルドはそれ以上のことを話さなかったが、計画の目的はクライヴの子をレベッカが身籠り、クライヴとの婚姻を成立させようとしたのだろう。
(なんとも悪質な…。)
リラは身震いした。
「今回の騒動でアクイラ国皇子の御身が危険にさらされたことは間違いございません。この度は大変失礼いたしました。」
そういうとロイドとレナルドは深々と頭を下げた。
リラの隣に座るクライヴは平然と紅茶を飲んでいるが、リラはレナルドの報告に信じがたい気持ちだった。
レベッカは自分に対して当たりは強いが、それでも侯爵家の人間だ。
それに、ロイドの婚約者候補である。
レベッカはリラよりも遥かに教養のある人間だと思っていた。
しかし、実際はこのように非常な行いができる人間だったのだ。
クライヴに万が一の事態があったら、そう想像するだけでもリラは恐ろしくて仕方がなかった。
もし本当にそんな事態になったら、リラは胸が張り裂け心が壊れてしまうだろう。
そんなリラの心情を察したのかクライヴはそんなリラの頭を優しく撫でた。
「大丈夫。」
リラにだけ聞こえる声で小さく囁いた。
「ロイド殿下、レナルド殿。迅速な調査に感謝する。」
クライヴは短く礼を言った。
「いえ、とんでもございません。ユングフラウ侯爵およびレベッカ嬢の処遇については、まだ協議中ですが、爵位の剥奪は免れないでしょう。また決まりましたら、追ってご報告させていただきます。」
レナルドがそういうと、ふたりは深々と頭を下げて部屋から出ていった。
リラはクライヴとふたりきりになり、リラは重たい口を開いた。
「クライヴ様。その、あのときクライヴ様がレベッカ様とお見合いをしていると疑って申し訳ございません。」
「いや、迂闊な行動をした俺が悪かった。」
リラはクライヴが優しく微笑みかけるので、少しばかり罪悪感が薄れていった。
「それにしても、睡眠薬に媚薬なんて恐ろしいですね。」
「それなら問題ない。」
間髪入れずに平然と答えるクライヴにリラは目を丸くした。
「こんなこと初めてではない。もちろん、すべて未遂だが。」
クライヴのその言葉にリラの胸は締め付けられた。
確かにこのような美貌に加え皇族という不動の地位の持ち主だ。
幾人もの令嬢がクライヴに恋焦がれたことだろう。
時にはライバルを蹴落とすために行きすぎたな手段を取るものいたにちがいない。
それでも、薬を使って望まぬ行為をしようとするなど浅ましいにもほどがある。
リラはクライヴの苦労を想い目を潤ませると、クライヴはリラの肩を持ち引き寄せた。
リラはクライヴの胸をギュッと掴んだ。
そんな愛らしいリラの頭にクライヴは優しく口付けを贈り苦笑した。
「はは。そんな顔しないでくれ」
「けれど…。」
リラがクライヴを潤んだ青緑色の瞳で見つめると、クライヴはニヤリと意地悪く笑った。
「それに媚薬なら多少身体に慣れさせているんだ。飲まされたところで何とかなるだろう。」
リラはクライヴの言葉に驚きのあまりこれでもかと目を丸くした。
媚薬を慣らすとは一体どういうことなのか。
頭の中を疑問符が埋め尽くしていった。
「こういう事態に備えて、主治医と相談して慣らすことにしたんだ。もちろん、中和剤も持ち歩いている。」
「そうなんですか…。」
リラはポツリとそう呟いた。
今まで自分が心配したことは然程大事ではなかったらしい。
それにしても、それならもっと早く教えてくれてもいいではないか。
なんだかもやもやして損した気分でもあった。
リラはバツが悪そうにムッとした表情をすると、クライヴは愉しそうにクスクスと笑い出した。
「ははは。今度試してみようか。」
クライヴの突拍子も無い発言に、リラは媚薬を飲み干し本能が剥き出しになったクライヴを妄想し、一瞬にして身体が真っ紅になった。
(なんて、恥ずかしい妄想を…。)
「そ、そんなことしなくても、媚薬に慣れているかなんて、ひとつも疑ってないです!」
そんな妄想を誤魔化すようにリラは慌ててクライヴに慌てて訴えた。
「はは。リラが相手なら媚薬に慣れている証明にはならないか。」
そう言うと、クライヴは情欲に満ちた紅い瞳を揺らしながら、リラの唇に噛み付くような口付けをした。
「ん…、もう!」
不意にリラは、クライヴのこの妙にダダ漏れの色気は、慣らしている媚薬の所為なのではないかと思えた。
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