34 / 60
執務室のふたり
ロイドの羨望
しおりを挟む
「ちなみに、どうだっかお伺いしても良いだろうか。」
俯き項垂れるロイドを他所にレナルドは拳を力一杯握りしめながら尋ねた。
リラの表情を見るに、以前より増してクライヴに傾倒しているようだった。
一体この二日間でクライヴと何があったのだろうか。
もうロイドがリラに付け入る隙は僅かでもないのだろうか。
レナルドは祈るような思いだった。
その言葉にリラはドキリとし、目を泳がせた。
思い出されるのは、ふたりきりでダンスをしたこと、恋人になったこと、口付けをしたことだった。
そんな恥ずかしいことをとても自分の口からふたりに伝えることはできなかった。
リラは、思い出すだけで蕩けそうな頭をフル回転させて、なんとか誤魔化す方法はないかと模索しいた。
ロイドは目の前のリラがあからさまに動揺した様子を直視することなどできなかった。
普段のリラは気丈で、どんなときでも冷静沈着であり、時折見せるあどけない笑顔がロイドの心を鷲掴みにしていた。
それが、今はか弱い乙女のように終始頬を紅らめているのだ。
そんな初めて見るリラにロイドは冷や汗をかかずにはいられなかった。
「えっと。クライヴ様の事業については、ちょっと…。」
「いや、そうではなく、申立てについてです。」
レナルドは、間髪入れずにリラに突っ込みをいれた。
リラは一瞬にして自分の勘違いに気づき、乾笑いした。
((一体何があったのだ!?))
ふたりは困惑の表情を浮かべた。
「え、えっと。申立てについては、以前おふたりに話したことをお伝えしました。」
「「…。」」
リラは軽く咳払いをして、気持ちを整えるとふたりにそう告げた。
ふたりは、その続きを聞こうと暫く何も話さなかったが、リラから言葉は放たれなかった。
「あの…。リラ嬢。それだけでしょうか…。」
レナルドは思わず尋ねるも、リラは意味がわからないのか、きょとんっとしていた。
「はい。それだけです。」
「その…。アクイラ国皇子はその申し出に対するお返事はどのようなものだったか、お聞きしてもよろしいでしょうか…。」
「…。あ!!」
レナルドが、そうリラに尋ねるとリラが少し考え込み、重大なことに気づき声を発し蒼ざめた。
それは、クライヴから何も返事も受けていない事実に気づいたのだった。
ただ、『恋人』になることを提案されただけだった。
意表を突かれたその提案にリラは返答を聞くことを今の今まですっかり忘れていたのだ。
「す、すいません…。」
リラは思わずふたりに謝った。
(これでは、せっかく相談させていただいたのに、おふたりへの報告が不十分ですわ。)
リラは不甲斐ない自分が恥ずかしかった。
ふたりは、何がなんだかわからないがリラの表情から察するに、やはり『婚約』したのではないかという疑念が確信に変わっていくのを感じ、ロイドの心臓は壊れんばかりに早鐘を打った。
(身がもたん。)
今にも、そんな弱音を吐露し、泡を吹いて倒れそうな中、ロイドは必死でその場に静止していた。
(耐えろ!)
レナルドは横目に明らかに具合の悪そうなロイドが目に入り、思わず心の中でそう叫んだ。
そんなハラハラしたふたりの気持ちを全く知らないリラは、ようやく重たい口を開いた。
「実は、クライヴ様からお返事を聞くのを忘れてました。」
(もう、ダメだ…。そうか、婚約してしまったのか…。)
緊張の限界のロイドは、リラの言葉が発するや否やソファに崩れ落ち、先ほどリラが発した言葉が脳裏を木霊した。
「ロイド様…!!」
一方のレナルドは崩れいくロイドを慌てて支えながら、リラの発した言葉を理解するべくその言葉を脳内で反芻した。
「「へ?」」
ふたりはリラの言葉の意味がわからず、思わず間の抜けた声を発した。
「それはどういう…。」
一拍置いて、レナルドは言葉の意味を正確に確かめようと、思わず前のめりになりながらリラに尋ねた。
(婚約の申し立ての返答を行わない、そんなことあるのだろうか。)
婚約の申し込みがあり申立てがあったのだ。
どんな貴族であろうと、その内容に受理もしくは棄却あるいは保留など何らかの返答はあって当然だ。
「そ、そうですね。そのお伝えして終わりました。その後も色々忙しかったので。」
リラは俯き耳まで真っ紅になりながら言葉を濁した。
まさか、その後クライヴから『恋人』になることを提案され、口付けをしたことなど言えるはずもなかった。
「つまり、まだ婚約していないのでしょうか。」
念押しでレナルドが確認するとリラは静かに頷いた。
「はい。お恥ずかしながら私に決心がつかず承諾はしておりません。」
その言葉にロイドはむくりっと起き上がり、先ほどまでの痴態が何事もなかったかのうに姿勢を正した。
「口約束もしていないのか」
ロイドは思わず聞き返した。
「は、はい…。」
リラのその言葉に、ふたりは少しばかり表情が綻んだ。
一筋の光が差し込んだように思えた。
リラとクライヴがまだ婚約していないなら、なんとかして、こちらが先に成立させてしまえばいいのだ。
まず、ロイドの父である国皇と母である皇后にこのことを話して、早急に婚約証書を作成する。
それからアリエス伯爵家に向かいリラの父であるアリエス伯爵に挨拶し、サインを求める。
しかし、たったそれだけなら、なぜクライヴは、こんなにも苦戦しているのだろうか。
レナルドに疑問が過った。
クライヴはリラの兄であるルーカスと既に知り合い、おそらく父のアリエス伯爵とも多少の面識はあるのだろう。
それなのに、リラ本人の承諾に拘っていることが気になった。
その日の授業終わり。
帰り支度を整えるリラの席にロイドは近づいた。
「リラ、今から帰るのか。もし良かったら正門まで一緒に行かないか。」
リラはにっこり笑って頷いた。
リラは未だ婚約していない、ロイドが行動を起こすなら今が最後の機会だろう。
ロイドにリラを口説く具体的な案が浮かぶわけでもないが、何かせずにはいられなかった。
正門まではふたりは他愛無い話をした。
クライヴのことを話題にしなければ、いつものリラだった。
リラの優しい横顔を見つめながらロイドは胸の奥が苦しくなった。
リラのクライヴの前だけ見せるか弱い乙女のような表情が思い出された。
今のリラが決して偽物なわけではないが、明らかにロイドとクライヴの差を感じてしまう。
(私の力でどうすればこの表情を崩せるのだろう…。)
ロイドは、そんなことばかりを考えてしまっていた。
正門の近くまでくると、そこには見覚えのある黒塗りの四等立ての馬車が待機していた。
リラはその馬車が目に入ると少し頬を綻ばせているのをロイドは感じた。
ふたりが馬車までほんの数メートルのところで、ガチャリと扉は開き、クライヴが静かに降りてきた。
リラは一瞬にして頬を紅く染め、顔を綻ばせた。
「リラ、迎えにきたよ。」
クライヴは、当たり前のようにリラの手を取りいつも通りに口付けをした。
「クライヴ様。わざわざ、お迎えに上がらなくても、こちらからお伺いするとあれほど申し上げたではございませんか。」
リラは、あどけなくも少し不貞腐れたような表情を浮かべた。
ロイドは、その場から動くこともできず、呆然と見つめることしかできなかった。
こんなにも仲睦まじいふたり、これを今から自分の手で壊すことなどできるのか。
ロイドの胸は締め付けられて痛いほどだった。
「恋人に早く逢いたくて。」
そう呟くとクライヴはリラの頬に手を当て、ゆっくりリラに顔が近づいた。
「人前では、ちょっと…。」
リラは慌ててクライヴを押し退けた。
「こ、『恋人』…。」
ロイドは思わず口にした。
皇族であるロイドにも、もちろん無縁の言葉だが、その響きはやけに羨ましく思えた。
ふたりは、未だ婚約者ではないものの、関係が明確に進展していることを意味していた。
それに『恋人』とは、ふたりが想い合っている関係を意味している。
ロイドは婚約よりも余程、甘美なものを感じずにはいられなかった。
俯き項垂れるロイドを他所にレナルドは拳を力一杯握りしめながら尋ねた。
リラの表情を見るに、以前より増してクライヴに傾倒しているようだった。
一体この二日間でクライヴと何があったのだろうか。
もうロイドがリラに付け入る隙は僅かでもないのだろうか。
レナルドは祈るような思いだった。
その言葉にリラはドキリとし、目を泳がせた。
思い出されるのは、ふたりきりでダンスをしたこと、恋人になったこと、口付けをしたことだった。
そんな恥ずかしいことをとても自分の口からふたりに伝えることはできなかった。
リラは、思い出すだけで蕩けそうな頭をフル回転させて、なんとか誤魔化す方法はないかと模索しいた。
ロイドは目の前のリラがあからさまに動揺した様子を直視することなどできなかった。
普段のリラは気丈で、どんなときでも冷静沈着であり、時折見せるあどけない笑顔がロイドの心を鷲掴みにしていた。
それが、今はか弱い乙女のように終始頬を紅らめているのだ。
そんな初めて見るリラにロイドは冷や汗をかかずにはいられなかった。
「えっと。クライヴ様の事業については、ちょっと…。」
「いや、そうではなく、申立てについてです。」
レナルドは、間髪入れずにリラに突っ込みをいれた。
リラは一瞬にして自分の勘違いに気づき、乾笑いした。
((一体何があったのだ!?))
ふたりは困惑の表情を浮かべた。
「え、えっと。申立てについては、以前おふたりに話したことをお伝えしました。」
「「…。」」
リラは軽く咳払いをして、気持ちを整えるとふたりにそう告げた。
ふたりは、その続きを聞こうと暫く何も話さなかったが、リラから言葉は放たれなかった。
「あの…。リラ嬢。それだけでしょうか…。」
レナルドは思わず尋ねるも、リラは意味がわからないのか、きょとんっとしていた。
「はい。それだけです。」
「その…。アクイラ国皇子はその申し出に対するお返事はどのようなものだったか、お聞きしてもよろしいでしょうか…。」
「…。あ!!」
レナルドが、そうリラに尋ねるとリラが少し考え込み、重大なことに気づき声を発し蒼ざめた。
それは、クライヴから何も返事も受けていない事実に気づいたのだった。
ただ、『恋人』になることを提案されただけだった。
意表を突かれたその提案にリラは返答を聞くことを今の今まですっかり忘れていたのだ。
「す、すいません…。」
リラは思わずふたりに謝った。
(これでは、せっかく相談させていただいたのに、おふたりへの報告が不十分ですわ。)
リラは不甲斐ない自分が恥ずかしかった。
ふたりは、何がなんだかわからないがリラの表情から察するに、やはり『婚約』したのではないかという疑念が確信に変わっていくのを感じ、ロイドの心臓は壊れんばかりに早鐘を打った。
(身がもたん。)
今にも、そんな弱音を吐露し、泡を吹いて倒れそうな中、ロイドは必死でその場に静止していた。
(耐えろ!)
レナルドは横目に明らかに具合の悪そうなロイドが目に入り、思わず心の中でそう叫んだ。
そんなハラハラしたふたりの気持ちを全く知らないリラは、ようやく重たい口を開いた。
「実は、クライヴ様からお返事を聞くのを忘れてました。」
(もう、ダメだ…。そうか、婚約してしまったのか…。)
緊張の限界のロイドは、リラの言葉が発するや否やソファに崩れ落ち、先ほどリラが発した言葉が脳裏を木霊した。
「ロイド様…!!」
一方のレナルドは崩れいくロイドを慌てて支えながら、リラの発した言葉を理解するべくその言葉を脳内で反芻した。
「「へ?」」
ふたりはリラの言葉の意味がわからず、思わず間の抜けた声を発した。
「それはどういう…。」
一拍置いて、レナルドは言葉の意味を正確に確かめようと、思わず前のめりになりながらリラに尋ねた。
(婚約の申し立ての返答を行わない、そんなことあるのだろうか。)
婚約の申し込みがあり申立てがあったのだ。
どんな貴族であろうと、その内容に受理もしくは棄却あるいは保留など何らかの返答はあって当然だ。
「そ、そうですね。そのお伝えして終わりました。その後も色々忙しかったので。」
リラは俯き耳まで真っ紅になりながら言葉を濁した。
まさか、その後クライヴから『恋人』になることを提案され、口付けをしたことなど言えるはずもなかった。
「つまり、まだ婚約していないのでしょうか。」
念押しでレナルドが確認するとリラは静かに頷いた。
「はい。お恥ずかしながら私に決心がつかず承諾はしておりません。」
その言葉にロイドはむくりっと起き上がり、先ほどまでの痴態が何事もなかったかのうに姿勢を正した。
「口約束もしていないのか」
ロイドは思わず聞き返した。
「は、はい…。」
リラのその言葉に、ふたりは少しばかり表情が綻んだ。
一筋の光が差し込んだように思えた。
リラとクライヴがまだ婚約していないなら、なんとかして、こちらが先に成立させてしまえばいいのだ。
まず、ロイドの父である国皇と母である皇后にこのことを話して、早急に婚約証書を作成する。
それからアリエス伯爵家に向かいリラの父であるアリエス伯爵に挨拶し、サインを求める。
しかし、たったそれだけなら、なぜクライヴは、こんなにも苦戦しているのだろうか。
レナルドに疑問が過った。
クライヴはリラの兄であるルーカスと既に知り合い、おそらく父のアリエス伯爵とも多少の面識はあるのだろう。
それなのに、リラ本人の承諾に拘っていることが気になった。
その日の授業終わり。
帰り支度を整えるリラの席にロイドは近づいた。
「リラ、今から帰るのか。もし良かったら正門まで一緒に行かないか。」
リラはにっこり笑って頷いた。
リラは未だ婚約していない、ロイドが行動を起こすなら今が最後の機会だろう。
ロイドにリラを口説く具体的な案が浮かぶわけでもないが、何かせずにはいられなかった。
正門まではふたりは他愛無い話をした。
クライヴのことを話題にしなければ、いつものリラだった。
リラの優しい横顔を見つめながらロイドは胸の奥が苦しくなった。
リラのクライヴの前だけ見せるか弱い乙女のような表情が思い出された。
今のリラが決して偽物なわけではないが、明らかにロイドとクライヴの差を感じてしまう。
(私の力でどうすればこの表情を崩せるのだろう…。)
ロイドは、そんなことばかりを考えてしまっていた。
正門の近くまでくると、そこには見覚えのある黒塗りの四等立ての馬車が待機していた。
リラはその馬車が目に入ると少し頬を綻ばせているのをロイドは感じた。
ふたりが馬車までほんの数メートルのところで、ガチャリと扉は開き、クライヴが静かに降りてきた。
リラは一瞬にして頬を紅く染め、顔を綻ばせた。
「リラ、迎えにきたよ。」
クライヴは、当たり前のようにリラの手を取りいつも通りに口付けをした。
「クライヴ様。わざわざ、お迎えに上がらなくても、こちらからお伺いするとあれほど申し上げたではございませんか。」
リラは、あどけなくも少し不貞腐れたような表情を浮かべた。
ロイドは、その場から動くこともできず、呆然と見つめることしかできなかった。
こんなにも仲睦まじいふたり、これを今から自分の手で壊すことなどできるのか。
ロイドの胸は締め付けられて痛いほどだった。
「恋人に早く逢いたくて。」
そう呟くとクライヴはリラの頬に手を当て、ゆっくりリラに顔が近づいた。
「人前では、ちょっと…。」
リラは慌ててクライヴを押し退けた。
「こ、『恋人』…。」
ロイドは思わず口にした。
皇族であるロイドにも、もちろん無縁の言葉だが、その響きはやけに羨ましく思えた。
ふたりは、未だ婚約者ではないものの、関係が明確に進展していることを意味していた。
それに『恋人』とは、ふたりが想い合っている関係を意味している。
ロイドは婚約よりも余程、甘美なものを感じずにはいられなかった。
10
お気に入りに追加
206
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!


追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

順番を待たなくなった側室と、順番を待つようになった皇帝のお話 〜陛下!どうか私のことは思い出さないで〜
白猫
恋愛
主人公のレーナマリアは、西の小国エルトネイル王国の第1王女。エルトネイル王国の国王であるレーナマリアの父は、アヴァンジェル帝国との争いを避けるため、皇帝ルクスフィードの元へ娘を側室として差し出すことにした。「側室なら食べるに困るわけでもないし、痛ぶられるわけでもないわ!」と特別な悲観もせず帝国へ渡ったレーナマリアだが、到着してすぐに己の甘さに気付かされることになる。皇帝ルクスフィードには、既に49人もの側室がいたのだ。自分が50番目の側室であると知ったレーナマリアは呆然としたが、「自分で変えられる状況でもないのだから、悩んでも仕方ないわ!」と今度は割り切る。明るい性格で毎日を楽しくぐうたらに過ごしていくが、ある日…側室たちが期待する皇帝との「閨の儀」の話を聞いてしまう。レーナマリアは、すっかり忘れていた皇帝の存在と、その皇帝と男女として交わることへの想像以上の拒絶感に苛まれ…そんな「望んでもいない順番待ちの列」に加わる気はない!と宣言すると、すぐに自分の人生のために生きる道を模索し始める。そして月日が流れ…いつの日か、逆に皇帝が彼女の列に並ぶことになってしまったのだ。立場逆転の恋愛劇、はたして二人の心は結ばれるのか?
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる