とても快適な生贄?ライフ

九 一

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「お茶会にまで来て下さるなんて、本当にサラは愛されてるわね~」


「愛されてるだなんて!ルイ様が優しいだけだよ」


「そうだとしても、サラ様が羨ましいですわ」


「私にもあんな素敵な男性が現れないかしら」


お茶会が始まって早々、ルイ様の話で持ち切り。
お茶会をする温室の前まで送ってくれたから、そうなっても仕方ないとは思うけど。


「あっ、あの、今日は皆さんに聞きたいことがあるんですが……」


「あら、何でしょうか」


「私たちがお答えできることかしら」


「その……“好き”って、何なのでしょう?」


「魔法使い様のことで悩んでいるの?」


「うん。ルイ様に“好き”ってどういうことか、って聞かれて、そう言われると私もよくわからなかったから、みんなの意見も聞いてみたいなって」


「そうね。
例えば魔法使い様がこのお茶会にいるとするじゃない?」


「うん」


「そしてエラ嬢とマリア嬢の間に座って、おふたりと楽しそうに話していたらどうかしら?」


「どう……。綺麗な方々が楽しそうに話しているのは、目の保養ですね」


リーシアはもちろんだけど、エラ嬢もマリア嬢もタイプは違えど美しい方々だから。


「……そうね。サラはそうかもしれないわね。
それなら、マリア嬢と肩が触れるくらいの距離で話していたら?」


肩が触れるくらい……。

今の状態だとお互いに人がひとり入れるくらいの間があるし、4人から5人になったところで、そんなに近づくことあるかな?


「マリア嬢を名前で読んでいたらどう?」


「っそれは……」


私だってあまり名前で呼んでもらえないのに。


「魔法使い様は名前を知っていても、サラ以外を名前では呼ばないものね」


「私も普段は君って呼ばれることが多いけど……」


「あら、じゃああの日名前を呼んでいたのは、サラは特別ってアピールしたかったのかしら」


「そんなこと……」


「あったらどう?嬉しい?
魔法使い様がサラだけを特別視してたら?」


私だけ特別……。


「……嬉しい、と思う」


「そんなものじゃない?好きって。
だって私、サラが私よりも魔法使い様との方が仲が良くても、嫌だなって思わないもの」


「……なるほど」


確かに、この3人にそれぞれ特別な人がいたとて、嫌な感情はわいてこない。
けどそれがルイ様だったら、そうもいかないと思う。


「魔法使い様はサラ様以外に名前を教えることもないですよね。
少しご挨拶したけれど、美しい笑顔を見せてくれただけでしたわ」


「私もよ」


「御祖父様も名前は知らないと言ってたわ。だからサラが名前を呼んでいて驚いたの」


「ルイ様にとって名前は特別なものだから、呼べないしあまり伝えないみたいです」


「あら。それなのに他の方もいる場でサラが魔法使い様を呼ぶことは構わないなんて、特別だとしか思えないわ。ねぇ?」


「えぇ、そうですわ。
それに、魔法使い様がサラ様を見る目はとても優しいですもの」


「そうね。
穏やかで優しい方だと噂で聞いていたけれど、サラ様と接する時は甘さも加わってましたわ」


「……本当ですか?」


ルイ様はみんなに優しいから、全然そんなふうに思ったことは無かった。


「本当よ」


リーシアの言葉に、ふたりが何度も頷く。


「お茶会が終わったあとにでも聞いてみるのはどう?さっきの例え話みたいに。
あの方がサラと同じ答えを出したら、同じ気持ちってことじゃない?」


「さすがリーシア様。名案ですわ」


「……そうだね。頑張って聞いてみる」
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