37 / 38
34
しおりを挟む
「お茶会にまで来て下さるなんて、本当にサラは愛されてるわね~」
「愛されてるだなんて!ルイ様が優しいだけだよ」
「そうだとしても、サラ様が羨ましいですわ」
「私にもあんな素敵な男性が現れないかしら」
お茶会が始まって早々、ルイ様の話で持ち切り。
お茶会をする温室の前まで送ってくれたから、そうなっても仕方ないとは思うけど。
「あっ、あの、今日は皆さんに聞きたいことがあるんですが……」
「あら、何でしょうか」
「私たちがお答えできることかしら」
「その……“好き”って、何なのでしょう?」
「魔法使い様のことで悩んでいるの?」
「うん。ルイ様に“好き”ってどういうことか、って聞かれて、そう言われると私もよくわからなかったから、みんなの意見も聞いてみたいなって」
「そうね。
例えば魔法使い様がこのお茶会にいるとするじゃない?」
「うん」
「そしてエラ嬢とマリア嬢の間に座って、おふたりと楽しそうに話していたらどうかしら?」
「どう……。綺麗な方々が楽しそうに話しているのは、目の保養ですね」
リーシアはもちろんだけど、エラ嬢もマリア嬢もタイプは違えど美しい方々だから。
「……そうね。サラはそうかもしれないわね。
それなら、マリア嬢と肩が触れるくらいの距離で話していたら?」
肩が触れるくらい……。
今の状態だとお互いに人がひとり入れるくらいの間があるし、4人から5人になったところで、そんなに近づくことあるかな?
「マリア嬢を名前で読んでいたらどう?」
「っそれは……」
私だってあまり名前で呼んでもらえないのに。
「魔法使い様は名前を知っていても、サラ以外を名前では呼ばないものね」
「私も普段は君って呼ばれることが多いけど……」
「あら、じゃああの日名前を呼んでいたのは、サラは特別ってアピールしたかったのかしら」
「そんなこと……」
「あったらどう?嬉しい?
魔法使い様がサラだけを特別視してたら?」
私だけ特別……。
「……嬉しい、と思う」
「そんなものじゃない?好きって。
だって私、サラが私よりも魔法使い様との方が仲が良くても、嫌だなって思わないもの」
「……なるほど」
確かに、この3人にそれぞれ特別な人がいたとて、嫌な感情はわいてこない。
けどそれがルイ様だったら、そうもいかないと思う。
「魔法使い様はサラ様以外に名前を教えることもないですよね。
少しご挨拶したけれど、美しい笑顔を見せてくれただけでしたわ」
「私もよ」
「御祖父様も名前は知らないと言ってたわ。だからサラが名前を呼んでいて驚いたの」
「ルイ様にとって名前は特別なものだから、呼べないしあまり伝えないみたいです」
「あら。それなのに他の方もいる場でサラが魔法使い様を呼ぶことは構わないなんて、特別だとしか思えないわ。ねぇ?」
「えぇ、そうですわ。
それに、魔法使い様がサラ様を見る目はとても優しいですもの」
「そうね。
穏やかで優しい方だと噂で聞いていたけれど、サラ様と接する時は甘さも加わってましたわ」
「……本当ですか?」
ルイ様はみんなに優しいから、全然そんなふうに思ったことは無かった。
「本当よ」
リーシアの言葉に、ふたりが何度も頷く。
「お茶会が終わったあとにでも聞いてみるのはどう?さっきの例え話みたいに。
あの方がサラと同じ答えを出したら、同じ気持ちってことじゃない?」
「さすがリーシア様。名案ですわ」
「……そうだね。頑張って聞いてみる」
「愛されてるだなんて!ルイ様が優しいだけだよ」
「そうだとしても、サラ様が羨ましいですわ」
「私にもあんな素敵な男性が現れないかしら」
お茶会が始まって早々、ルイ様の話で持ち切り。
お茶会をする温室の前まで送ってくれたから、そうなっても仕方ないとは思うけど。
「あっ、あの、今日は皆さんに聞きたいことがあるんですが……」
「あら、何でしょうか」
「私たちがお答えできることかしら」
「その……“好き”って、何なのでしょう?」
「魔法使い様のことで悩んでいるの?」
「うん。ルイ様に“好き”ってどういうことか、って聞かれて、そう言われると私もよくわからなかったから、みんなの意見も聞いてみたいなって」
「そうね。
例えば魔法使い様がこのお茶会にいるとするじゃない?」
「うん」
「そしてエラ嬢とマリア嬢の間に座って、おふたりと楽しそうに話していたらどうかしら?」
「どう……。綺麗な方々が楽しそうに話しているのは、目の保養ですね」
リーシアはもちろんだけど、エラ嬢もマリア嬢もタイプは違えど美しい方々だから。
「……そうね。サラはそうかもしれないわね。
それなら、マリア嬢と肩が触れるくらいの距離で話していたら?」
肩が触れるくらい……。
今の状態だとお互いに人がひとり入れるくらいの間があるし、4人から5人になったところで、そんなに近づくことあるかな?
「マリア嬢を名前で読んでいたらどう?」
「っそれは……」
私だってあまり名前で呼んでもらえないのに。
「魔法使い様は名前を知っていても、サラ以外を名前では呼ばないものね」
「私も普段は君って呼ばれることが多いけど……」
「あら、じゃああの日名前を呼んでいたのは、サラは特別ってアピールしたかったのかしら」
「そんなこと……」
「あったらどう?嬉しい?
魔法使い様がサラだけを特別視してたら?」
私だけ特別……。
「……嬉しい、と思う」
「そんなものじゃない?好きって。
だって私、サラが私よりも魔法使い様との方が仲が良くても、嫌だなって思わないもの」
「……なるほど」
確かに、この3人にそれぞれ特別な人がいたとて、嫌な感情はわいてこない。
けどそれがルイ様だったら、そうもいかないと思う。
「魔法使い様はサラ様以外に名前を教えることもないですよね。
少しご挨拶したけれど、美しい笑顔を見せてくれただけでしたわ」
「私もよ」
「御祖父様も名前は知らないと言ってたわ。だからサラが名前を呼んでいて驚いたの」
「ルイ様にとって名前は特別なものだから、呼べないしあまり伝えないみたいです」
「あら。それなのに他の方もいる場でサラが魔法使い様を呼ぶことは構わないなんて、特別だとしか思えないわ。ねぇ?」
「えぇ、そうですわ。
それに、魔法使い様がサラ様を見る目はとても優しいですもの」
「そうね。
穏やかで優しい方だと噂で聞いていたけれど、サラ様と接する時は甘さも加わってましたわ」
「……本当ですか?」
ルイ様はみんなに優しいから、全然そんなふうに思ったことは無かった。
「本当よ」
リーシアの言葉に、ふたりが何度も頷く。
「お茶会が終わったあとにでも聞いてみるのはどう?さっきの例え話みたいに。
あの方がサラと同じ答えを出したら、同じ気持ちってことじゃない?」
「さすがリーシア様。名案ですわ」
「……そうだね。頑張って聞いてみる」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる