とても快適な生贄？ライフ

30.5

【ルイside】


パーティーに行くかと軽率に提案してしまったのは良くなかったかもしれない……。

普段から綺麗ではあるが、今日の彼女はいつもに増して綺麗だった。

そんな格好をしてパーティー会場なんかに居れば、大勢の視線を集めてしまうのも仕方ない。


「話なんてもう済んでいるじゃないか」


「あぁ。けど、私がいない方が話しやすいかと思って」


「魔法使い殿は彼女を想っているのだろう？
あんな綺麗な方をうちの孫とふたりにするなんて、悪い虫が寄り放題だがいいのか？」


「……分からない。大切であることは間違いないが」


「そうだろうね。彼女が他の男を褒めるくらいであんな顔するんだから」


「そんなに顔に出ていただろうか」


「私がわかるくらいにはね」


「彼女の隣にいるのが自分であればいいとは思いつつ、彼女にとっては私じゃなく普通の人間がいいのではないかと思ってしまう。
私は彼女の世界を狭めてしまっている気がするんだ」


「そう思うならあそこから出たらいいじゃないか。
あの森を任せられる者もいるだろう？」


「あぁ」


「貴殿が誰かのことで悩む日が来るとはな」


「……本当にな」


「私に言わせてみれば、その時点で答えは出ていると思うがね」


「それはどういう意味だ？」


「自分で考えるといいよ。
それよりいいのかい？彼女」


そう言われて視線を移すと、サラのそばに見知らぬ男が居るのが見える。

……誰だあの男は。
サラのことをそんな目で見るなんて。


「話は終わりだ」


「そんなものとっくに終わっているだろう？」


リーシアの兄で、オスカーと名乗ったその男は、どう見てもサラに惚れた顔をしていた。
まあこの見た目だ。一目惚れするのもわかる。

このオスカーという男も、サラの好きな美形ではあると思うが、サラはどう思っただろうか。

どちらにしろ私がとやかく言う筋合いはないが。


「……サラに惚れるのは勝手だが、サラを傷つけることは許さないからな」