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64.社畜サラリーマンは結婚式について考える
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リュカ殿下との諸々についてもとりあえず解決したのでいよいよラム様との結婚式について考えないといけないのだが、現在やはりあの点で問題が起きていた。
「ヘイズ、私は絶対全裸ウェディングも公開性交も嫌だとラム様に話したのですがどうしてウェディングドレスと思われるソレらが全部明らかにアダルトショップに売られているシースルータイプのドスケベウェアばかりなのですか??」
その言葉にヘイズが不思議そうに首を傾げた。
「竜帝陛下から特に衣装に関する話は聞いていないのですが……それに、番い様の綺麗な体のラインが良く出る良いドレスばかりだと思うのですが……」
「体のラインどころか下着が透けます。僕はボクサーパンツをみんなに見られるのは嫌です」
「ははは、ご冗談を。番い様、下着など着ないのでちゃんと番い様の番い様が見え……」
「社畜の場合、ポロりでも公然わいせつなのに、モロは完全に犯罪です。ラム様にも相談したはずなのですが……」
明かに私の要望が反映されていないことに少しがっかりしていた時だった。最早何度目か分からないが勢い良く扉が開けられたのだ。
「……志鶯とかですか??今は取り込み中で……」
「シヅル、すまない。準備が遅れてしまった!!」
珍しくラム様が慌てた様子で中に入ってきたので目を見開くが、その手にはある物が大切そうに持たれていた。
「それは……」
「シヅルの世界の日本の花嫁衣装だ。白無垢と確か綿帽子というものかと思うのだが……」
ラム様は私の言葉を覚えてくれていたらしい。本当は三十路の男が白無垢を着るのもどうかと思うが、この国で私が花嫁として式を挙げるとして、シースルードスケベ衣装よりは何億倍も良いと思う。
そして、何よりラム様がしっかり私達の文化を学んで考えて持ってきてくれたと思うと先ほどのがっかりした気持ちからあたたかく幸せな気持ちに変わるのが分かった。
「……ラム様が準備されたのですか??」
「ああ、この白無垢は特別にシヅルの世界で作らせたのだが、シヅルの名前にも入っている鶴が羽ばたく姿の柄を入れてもらったのだ。これからのふたりの門出が幸せになるように想いを込めて……」
(……ああ、この人は私がこの国の婚礼衣装を嫌がったあの日から忙しい中ちゃんと考えてくれていたのか……)
ラム様の気遣いに自然と涙が零れ落ちる。そう言えば誰かに心から気遣われたことはずっとなかった。いつだって私の想いも意見も反映されない。
だから、自分で意見を出すか、もしくはすべてを受け入れるしかなかった。
「すごく、素敵です」
「気に入ってくれてよかった。後、もちろん性行為の公開もしないから安心して大丈夫だ。シヅルの国の伝統にしたがいつつこの国の結婚式をしよう」
「ヘイズ、私は絶対全裸ウェディングも公開性交も嫌だとラム様に話したのですがどうしてウェディングドレスと思われるソレらが全部明らかにアダルトショップに売られているシースルータイプのドスケベウェアばかりなのですか??」
その言葉にヘイズが不思議そうに首を傾げた。
「竜帝陛下から特に衣装に関する話は聞いていないのですが……それに、番い様の綺麗な体のラインが良く出る良いドレスばかりだと思うのですが……」
「体のラインどころか下着が透けます。僕はボクサーパンツをみんなに見られるのは嫌です」
「ははは、ご冗談を。番い様、下着など着ないのでちゃんと番い様の番い様が見え……」
「社畜の場合、ポロりでも公然わいせつなのに、モロは完全に犯罪です。ラム様にも相談したはずなのですが……」
明かに私の要望が反映されていないことに少しがっかりしていた時だった。最早何度目か分からないが勢い良く扉が開けられたのだ。
「……志鶯とかですか??今は取り込み中で……」
「シヅル、すまない。準備が遅れてしまった!!」
珍しくラム様が慌てた様子で中に入ってきたので目を見開くが、その手にはある物が大切そうに持たれていた。
「それは……」
「シヅルの世界の日本の花嫁衣装だ。白無垢と確か綿帽子というものかと思うのだが……」
ラム様は私の言葉を覚えてくれていたらしい。本当は三十路の男が白無垢を着るのもどうかと思うが、この国で私が花嫁として式を挙げるとして、シースルードスケベ衣装よりは何億倍も良いと思う。
そして、何よりラム様がしっかり私達の文化を学んで考えて持ってきてくれたと思うと先ほどのがっかりした気持ちからあたたかく幸せな気持ちに変わるのが分かった。
「……ラム様が準備されたのですか??」
「ああ、この白無垢は特別にシヅルの世界で作らせたのだが、シヅルの名前にも入っている鶴が羽ばたく姿の柄を入れてもらったのだ。これからのふたりの門出が幸せになるように想いを込めて……」
(……ああ、この人は私がこの国の婚礼衣装を嫌がったあの日から忙しい中ちゃんと考えてくれていたのか……)
ラム様の気遣いに自然と涙が零れ落ちる。そう言えば誰かに心から気遣われたことはずっとなかった。いつだって私の想いも意見も反映されない。
だから、自分で意見を出すか、もしくはすべてを受け入れるしかなかった。
「すごく、素敵です」
「気に入ってくれてよかった。後、もちろん性行為の公開もしないから安心して大丈夫だ。シヅルの国の伝統にしたがいつつこの国の結婚式をしよう」
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良い…❤めっちゃ好きな作品でしたˊᵕˋ
初めまして、ご感想頂きありがとうございます。とても嬉しいです。
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