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62.社畜サラリーマンと竜帝陛下らしいラム様と本心
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(……どうしたものか)
上様の着物が持つ持つ神々しさにより完全に謝罪とは違うベクトル、まるで放送禁止になったあのCM、いまや伝説でもあるスポンジ・ボ⚪︎のおもちゃを前に異常なテンションになった子供みたいな錯乱を起こすふたりに私は完全にドン引きしていた。
「ラム様、あれどうすれば良いんですか??」
最早、僕が止められるレベルではないため横で、上様のような高貴なオーラーを出すラム様に意見を求めた。
「うむ、余にアイデアがある」
「……では、お任せします」
正直、発狂する竜人ふたりを抑える方法など浮かばないため、ラム様に任せることにした。すると物凄く聞き覚えがある長いイントロが急に流れ、そして……。
「叩け……」
「ストップです、ラム様。それ以上はだめだ。ここで歌うとJASRACがお金を徴収しにきます」
危なく諸々の著作権に触れそうになったのでラム様をなんとか止める。
「とりあえずふたりとも落ち着いてください。私はここには謝罪をしたいという話をきいてきたのです。それなのにそんなに錯乱していたら話にならない」
言うべきことを告げるとずっと発狂していたふたりの動きが止まる。そして、今まで私をいつ会っても嫌悪感丸出しの目で見ていたリュカの様子が狼狽えるのが分かった。
「そうだ。リュカ、そしてアヴェルよ。お前たちの悪い癖だが見た目にすぐに騙されて人や物事を軽率に判断してしまっている。シヅルに謝罪したいということだが、そのことにまだ気づいていないなら意味がないだろう」
正直いつも悪ふざけばかりしているため忘れそうになっていたが、ラム様は偉大なる竜帝陛下なのだとその言葉で思い出した。
「……その通りです」
シュンとした様子で素直に答えるリュカ殿下は新鮮だった。私が知る彼はいつも話を全く聞かない美少年だが尊大なイメージだったから。
「……番い様、申し訳ありませんでした。僕は、アナイスを信用するあまりちゃんと周囲が見えていませんでした。本当に本当にごめんなさい」
涙を流す美少年のリュカ殿下にきっと周りは優しいのだろう。しかし、やはり私は今までのことが頭を過り彼が反省して改めたいと思っていても今すぐには許せなかった。
だから……、
「私も、私の中のルゼルもリュカ殿下のことが嫌いです。貴方は一度も私の話を聞かずに容姿で判断し勝手に忌み嫌い嫌がらせや暴力、さらには命まで奪いました。だから『自分が悪かったごめんなさい』といまさら言われても許せませんし、こういう風に謝りたいから来て欲しいという呼ばれ方をするの正直不快です。だから、今は許しません。謝罪されても受け入れません」
胸の裡をひとつひとつ言葉にしていけば、リュカ殿下は泣きそうな顔で俯いてけれど真剣に聞いているのが分かった。その隣でアヴェルも同じように聞いている。
「……でも、これから私はラム様と婚姻して長い時を過ごします。もし貴方が私やラム様が苦しんだ年月、罪を償い続け、真に自身の悪かったところを理解して再度謝罪をするならば、その時は変わるかもしれません。だから死ぬ気で償って下さい」
上様の着物が持つ持つ神々しさにより完全に謝罪とは違うベクトル、まるで放送禁止になったあのCM、いまや伝説でもあるスポンジ・ボ⚪︎のおもちゃを前に異常なテンションになった子供みたいな錯乱を起こすふたりに私は完全にドン引きしていた。
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最早、僕が止められるレベルではないため横で、上様のような高貴なオーラーを出すラム様に意見を求めた。
「うむ、余にアイデアがある」
「……では、お任せします」
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「叩け……」
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「そうだ。リュカ、そしてアヴェルよ。お前たちの悪い癖だが見た目にすぐに騙されて人や物事を軽率に判断してしまっている。シヅルに謝罪したいということだが、そのことにまだ気づいていないなら意味がないだろう」
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「……その通りです」
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「……番い様、申し訳ありませんでした。僕は、アナイスを信用するあまりちゃんと周囲が見えていませんでした。本当に本当にごめんなさい」
涙を流す美少年のリュカ殿下にきっと周りは優しいのだろう。しかし、やはり私は今までのことが頭を過り彼が反省して改めたいと思っていても今すぐには許せなかった。
だから……、
「私も、私の中のルゼルもリュカ殿下のことが嫌いです。貴方は一度も私の話を聞かずに容姿で判断し勝手に忌み嫌い嫌がらせや暴力、さらには命まで奪いました。だから『自分が悪かったごめんなさい』といまさら言われても許せませんし、こういう風に謝りたいから来て欲しいという呼ばれ方をするの正直不快です。だから、今は許しません。謝罪されても受け入れません」
胸の裡をひとつひとつ言葉にしていけば、リュカ殿下は泣きそうな顔で俯いてけれど真剣に聞いているのが分かった。その隣でアヴェルも同じように聞いている。
「……でも、これから私はラム様と婚姻して長い時を過ごします。もし貴方が私やラム様が苦しんだ年月、罪を償い続け、真に自身の悪かったところを理解して再度謝罪をするならば、その時は変わるかもしれません。だから死ぬ気で償って下さい」
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