社畜サラリーマン、異世界で竜帝陛下のペットになる

ひよこ麺

文字の大きさ
上 下
61 / 68

57.様子のおかしい義弟の襲来

しおりを挟む
「竜帝陛下と番様へのご報告がございまして……」

ヘイズがなんとも複雑そうな表情でそう言った時、部屋の扉がけたたましい音を立てながら開いた。

「兄さん!!兄さんが結婚なんて許さない!!」

そう聞き覚えのある声、志鶯がドカドカと入ってきたのだ。あまりのことにあんぐりと口を開けていると、志鶯の動きが突然止まった。

「あ、ああ、なんだ、あのハレンチな服は!!ま、まさか、アレを兄さんに着せるつもりなのか??」

よりによって志鶯があのシースルーウエディングドレスを見てしまったことに、絶対着るつもりのない衣装だったが義弟にエロ本を見られたような気分になり顔が真っ赤になる。

「兄さん、可哀そうに、こんなに顔が真っ赤になって……、大丈夫だよ、この変態竜人から守ってみせるから!!」

そう言って志鶯が私に近付いて来ようとした時、誰かが扉から入ってきた。

その人物が誰か私にはあまり記憶がなかったが、その香しい匂いには覚えがあった。

「……ジョコウリュウコーヒー、あ、そうかルアク……」

ちいさくってかわいいタイプに物理的に変わっていた時に嗅いだことのある人間を骨抜きにするタイプの匂いを発する、変わった竜人だっただろうか。

つまり、この匂いに志鶯もまたメロメロになり大人しくなるのだろうと思ったが……、

「ルアク、こんな匂いくらい、兄さんへの強い思いに比べたら……くっ、屈したりしないからなぁ!!」

前回とは違い真っ赤な顔になりながらもルアクの香りに耐える志鶯だが、その瞳からは涙が零れているようで、明らかに無理をしているのがわかる。

「ははは、そうかい小鳥ちゃん。けれど、そんな風にいってもだいぶ限界じゃあないのか??」

そう言って、ルアクは志鶯の項にフーッと息を吹きかけた。

「あっ……やめっ、卑怯らぞっ」

「小鳥ちゃんこそ、そんな強情をはらないで、俺にあの日みたいにいいじゃないか??」

元々、ルアクはどこかセクシーな雰囲気のある竜人で、今もはだけた筋骨隆々の弾ける雄っぱいからフェロモンが溢れているのだが、何故だろう、志鶯に話しかける時はそこに何とも言いがたい甘さ、まるで私に竜帝陛下が話している時のような、恋人に相対しているような感じが加わっているような気がした。

「あんらのぉ……むりやりれ……」

「ははは、その割には沢山濡らしていたじゃないか??ああ、今もこんなにいやらしい顔をして、いけない小鳥ちゃんだ」

そう言って、既にだいぶ足腰が立たなくなっている、志鶯をルアクがお姫様抱っこする。

「竜帝陛下、番様とのお時間中申し訳ございません。うちの可愛い小鳥がどうしてもおふたりを祝福したいと言っていたので連れてきたのですが少し興奮してしまったようで」

「ちがう、にぃさんはわたさな……ぃ」

ルアクの腕の中で暴れる志鶯だが、ルアクは「ははは、かわいいかわいい」とまるで私が竜帝陛下に捕まった時くらい意味がない状態になっていた。

そこで、この国にそろそろ毒されてきた私は、志鶯はルアクの番の魂の一部を持っているのだと本能的に悟った。

「志鶯……、ルアクとお幸せに」
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...