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49.社畜サラリーマンは錯乱した父を相対する
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「あの写真……まさか父さんはアナイスと僕を結婚させようとしているというのか??でも一体どんな意味が……」
正直ムサカリ絵馬や冥婚とは遺族が故人、若くして失った自分の子のために執り行う鎮魂の意味合いの強い儀式だと私は認識している。
だからこそ、竜帝陛下の言葉の意味がわからなかったが、次の言葉で凍り付くことになった。
『例の儀式は、魂に繋がりを作るものだ。同じ次元の魂同士ならそこまで問題にはならないが、アナイスはこちらの世界の存在のため魂のサイズが大きいが『魂欠け』だ。その魂の欠けのサイズとシヅルの魂のサイズが同じ状態になっている場合、そのまま魂同士が融合してしまうのだ』
つまり、このままムサカリ絵馬や冥婚をされる訳にはいかないということだ。
私は急いで父の手にある写真を奪おうとした、しかし……、
バチッ!!
父と私の間に何か結界のようなものがあるようで、伸ばした手が弾かれた。
「なんで……」
あまりのことに驚いた私に対して、竜帝陛下が唸る様に答えた。
『呪印の影響か……、しかし、あの写真で儀式を行わせるわけにはいかない、なんとか止めねば」
ドン!!
竜帝陛下がそう叫んだ時、背後からまるで何かが壊れるような大きな音が響いた。驚いて振り返った私は思わず目を見開いた。
「『聖根』……」
それは竜帝陛下の『聖根』だった。それが突如押し入れから生えたのだ。その様子は当然この世界ではありえない光景なわけでいままでずっと正気を失ってぼんやりとしていた父がその異変を目にして動作を止めた。
「なっ……なんだ、なんで……」
いきなり押し入れから長くて白いモノが生えてきたのだからそれは誰だってびっくりすると思う。
私はその異常さに慣れてしまったので何も感じないが、今、父はこの出来事が夢か現実か分からないはずだ。そして、私はてっきり竜帝陛下の『聖根』で写真を奪ってくれるとおもったのもあってぼんやりその様子を見ていたのだが、『聖根』は思いもよらない動きをした。
なぜか、私の体に巻き付いたのだ。
「志鶴!!な、なんで、化け物、志鶴から離れろ!!」
そう言って父は近くに転がっていた棒、具体的には孫の手を振り上げた。
(流石に孫の手で竜帝陛下に挑むのは無理がある……)
『聖根』を相手に孫の手で応戦はちょっとシュール過ぎる。
「いや、孫の手では流石に勝てないかと……」
父に対して無駄なことをやめるようにいったが、孫の手を構えた父はそれを振り上げて『聖根』に襲い掛かった。大きく振りかぶった孫の手はそのまま我々の体を通過した。
つまり、まるで実態がないようにすり抜けたのだ。
「なっ、なぜ??」
あまりの出来事にリアルに正気度が減っている父を無視して、『聖根』が急に私の服の中に入り込んで脇腹を撫でた。
「なっ……竜帝陛下!?」
『ラム様だ、シヅル。こやつに余とシヅルの関係を認めさせようではないか……』
正直ムサカリ絵馬や冥婚とは遺族が故人、若くして失った自分の子のために執り行う鎮魂の意味合いの強い儀式だと私は認識している。
だからこそ、竜帝陛下の言葉の意味がわからなかったが、次の言葉で凍り付くことになった。
『例の儀式は、魂に繋がりを作るものだ。同じ次元の魂同士ならそこまで問題にはならないが、アナイスはこちらの世界の存在のため魂のサイズが大きいが『魂欠け』だ。その魂の欠けのサイズとシヅルの魂のサイズが同じ状態になっている場合、そのまま魂同士が融合してしまうのだ』
つまり、このままムサカリ絵馬や冥婚をされる訳にはいかないということだ。
私は急いで父の手にある写真を奪おうとした、しかし……、
バチッ!!
父と私の間に何か結界のようなものがあるようで、伸ばした手が弾かれた。
「なんで……」
あまりのことに驚いた私に対して、竜帝陛下が唸る様に答えた。
『呪印の影響か……、しかし、あの写真で儀式を行わせるわけにはいかない、なんとか止めねば」
ドン!!
竜帝陛下がそう叫んだ時、背後からまるで何かが壊れるような大きな音が響いた。驚いて振り返った私は思わず目を見開いた。
「『聖根』……」
それは竜帝陛下の『聖根』だった。それが突如押し入れから生えたのだ。その様子は当然この世界ではありえない光景なわけでいままでずっと正気を失ってぼんやりとしていた父がその異変を目にして動作を止めた。
「なっ……なんだ、なんで……」
いきなり押し入れから長くて白いモノが生えてきたのだからそれは誰だってびっくりすると思う。
私はその異常さに慣れてしまったので何も感じないが、今、父はこの出来事が夢か現実か分からないはずだ。そして、私はてっきり竜帝陛下の『聖根』で写真を奪ってくれるとおもったのもあってぼんやりその様子を見ていたのだが、『聖根』は思いもよらない動きをした。
なぜか、私の体に巻き付いたのだ。
「志鶴!!な、なんで、化け物、志鶴から離れろ!!」
そう言って父は近くに転がっていた棒、具体的には孫の手を振り上げた。
(流石に孫の手で竜帝陛下に挑むのは無理がある……)
『聖根』を相手に孫の手で応戦はちょっとシュール過ぎる。
「いや、孫の手では流石に勝てないかと……」
父に対して無駄なことをやめるようにいったが、孫の手を構えた父はそれを振り上げて『聖根』に襲い掛かった。大きく振りかぶった孫の手はそのまま我々の体を通過した。
つまり、まるで実態がないようにすり抜けたのだ。
「なっ、なぜ??」
あまりの出来事にリアルに正気度が減っている父を無視して、『聖根』が急に私の服の中に入り込んで脇腹を撫でた。
「なっ……竜帝陛下!?」
『ラム様だ、シヅル。こやつに余とシヅルの関係を認めさせようではないか……』
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