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41.社畜サラリーマンは王妃とブラコン弟と対峙する

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鬼気迫る叫びに体が震えたが竜帝陛下が優しく庇うように抱きしめた。

しばらくすると、その声と同じ位けたたましい叫び声がもうひとつ響いた。

「離せ!!竜帝陛下にお話があるだけだと言っているではありませんか!!」

先ほどの罵詈雑言とは違いあからさまに感情的な叫びではないのだが、あからさま焦っているのが分かった。

「シヅル、呪印をシヅルに放った者があぶりだせたようだ」

そう言った竜帝陛下の表情は限りなく無に近いものでいつもの表情とは違う威厳を感じて本能的に私は体が震えたてしまった。

その私に様子に気付いたのか、竜帝陛下は優しく私の髪を撫でる。

「心配ない。呪印に対して『』を使用したが出た者がいたのだろう」

声自体は普段のような穏やかなものだったが、底知れないなにかを竜帝陛下から久々に感じた時、扉が無遠慮に開いた。

そこには志鶯と、夢の中では見たことがあるが現実では見た覚えのない美しい人が立っていた。

(夢の中の人物が現れるとは……確かあの夢の人物の弟だったよな……)

そんなことを考えながらぼんやりとふたりと見つめていると、志鶯が大きな声で叫んだ。

「兄さん、そのデカい人は誰??なんで兄さんを抱きしめた上に膝の上にのせてるの??ってかそもそもなんで兄さんバスローブ姿なの??ちゃんと布面積のある服着ないとだめだ!!変な奴が兄さんを狙っちゃう」

想像と違う発言に思わず某宇宙の猫のような顔になるが、それを気にせず志鶯は今にも襲い掛からんばかりにこちらに向かってきた、が……。

「竜帝陛下に、これ以上は近づいてはいけません」

そう言ってヘイズが手を上げると向かってきた志鶯が何かに跳ね飛ばされるのが分かった。どうやら見えないがバリアが張られているらしい。

「なんだ、なんだこれ!!兄さん、兄さんと話したいだけなのに!!」

ガンガンと見えない壁を叩く志鶯と、それを呆然と見つめている夢の中の視点の人の弟……。

(この人は一体誰だ??)

「そこの異世界人の客はどうやら我が愛しい婚約者に会いに来たらしいが、王妃、汝は何用だ??」

淡々と話す竜帝陛下に、明らかに気圧されたように王妃は目を逸らした。王妃の体は震えていて儚げな佇まいもあり庇護欲を掻き立てた。

私に優しい竜帝陛下だ。王妃なら、たとえ情を通わせていなくってもこんなに儚げなら優しく抱きしめたりするのではないかと心がざわついた。

しかし、予想に反して竜帝陛下の表情は相変わらず変わらない。

「……それは」

「シヅルに呪印を刻んだのは汝であろう??」
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