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37.社畜サラリーマンはデジャヴを覚える
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竜帝陛下の優しい体温に抱かれて私は幼い子供の体だったこともあり眠ってしまった。
その日、私は幼い頃の夢を見ていた。家族4人で囲んでいる食卓、志鶯に無理やり連れて来られたそこに居るのが辛くてたまらなかったのを思い出す。
両親は志鶯としか話さず、私はいない者のように扱われているのに、志鶯だけが私に何度も話しかけてきた。
「兄さん、これ美味しいね」
そう言われるけれど、正直、気まずい食卓では私は何の味も感じることはできなかった。むしろ胃液が逆流しそうな中、なんとか曖昧に微笑む。
どう足掻いても美味しいなどという言葉は口から出なかった。まるで砂でも食べているような食卓の中で、志鶯はにこにこしながら私に何かを話し続ける。
けれどどんな会話をしたのか覚えていない。ただ、熱っぽい目で見つめる志鶯の姿に何か見覚えがあるような奇妙な感覚があった。その正体がずっと分からなかった。
(なんだろう、この奇妙な感覚……)
デジャヴというものなのかもしれないが、それにしてははっきりとしないそのもやもやした感覚のせいかもしれない。
また、あの黄金の髪の人になる夢を見た。
ただ、前のような処刑されたりするような酷い夢ではなく、その人の部屋に誰かがやってきてお茶をしているという夢だった。
その人は、プラチナブロンドというのだろうか、とても美しい髪の色に、容姿も端麗な少年だった。どこか庇護欲を掻き立てるような儚げな雰囲気で私の視点となっている美しい小公爵に話しかけている。
けれど、その言葉を小公爵は聞いていない。それよりもこの状況に対してひどく憤りを覚えていた。
(なぜ、父上も母上も私生児を引き取り、弟として接するようになどというのだ??)
苛立ちに満ちたその心の声と、状況は違うが先ほど私が見た記憶のように対して目の前のお茶の味がしない状況の中で、それでもその綺麗な、小公爵の義弟は話し続けていた。
そこで、私は気付いた。
その少年の少し熱っぽい視線がまるで、志鶯が私に向けていたそれにそっくりだということに。そこまで考えた時、突然体全体を酷い寒気が襲った。
それと同じタイミングで夢の中の情景が真っ黒なものに代わり、突然そいつは現れた。
『おにいちゃん』
そう私を呼んだのは、まるで影が人間の形をしているような真っ黒な何かだった。
「やっ、やだぁ!!」
そいつから逃げようと走る、が、全く距離が開かずむしろ徐々に近づいてきている。
『おにいちゃん』
男とも女ともとれないその声は妙にねっとりとしていて聞いているだけで心がざわついた。
「くるな!!いやだーーーーっ!!」
しかし、そう叫んだ時、いままでの運動不足が祟って足がもたれて転んでしまった。それをチャンスと思ったようでそいつは私にその黒い手を伸ばした。
『おにいちゃやあああああああん』
(もうだめだ……)
その日、私は幼い頃の夢を見ていた。家族4人で囲んでいる食卓、志鶯に無理やり連れて来られたそこに居るのが辛くてたまらなかったのを思い出す。
両親は志鶯としか話さず、私はいない者のように扱われているのに、志鶯だけが私に何度も話しかけてきた。
「兄さん、これ美味しいね」
そう言われるけれど、正直、気まずい食卓では私は何の味も感じることはできなかった。むしろ胃液が逆流しそうな中、なんとか曖昧に微笑む。
どう足掻いても美味しいなどという言葉は口から出なかった。まるで砂でも食べているような食卓の中で、志鶯はにこにこしながら私に何かを話し続ける。
けれどどんな会話をしたのか覚えていない。ただ、熱っぽい目で見つめる志鶯の姿に何か見覚えがあるような奇妙な感覚があった。その正体がずっと分からなかった。
(なんだろう、この奇妙な感覚……)
デジャヴというものなのかもしれないが、それにしてははっきりとしないそのもやもやした感覚のせいかもしれない。
また、あの黄金の髪の人になる夢を見た。
ただ、前のような処刑されたりするような酷い夢ではなく、その人の部屋に誰かがやってきてお茶をしているという夢だった。
その人は、プラチナブロンドというのだろうか、とても美しい髪の色に、容姿も端麗な少年だった。どこか庇護欲を掻き立てるような儚げな雰囲気で私の視点となっている美しい小公爵に話しかけている。
けれど、その言葉を小公爵は聞いていない。それよりもこの状況に対してひどく憤りを覚えていた。
(なぜ、父上も母上も私生児を引き取り、弟として接するようになどというのだ??)
苛立ちに満ちたその心の声と、状況は違うが先ほど私が見た記憶のように対して目の前のお茶の味がしない状況の中で、それでもその綺麗な、小公爵の義弟は話し続けていた。
そこで、私は気付いた。
その少年の少し熱っぽい視線がまるで、志鶯が私に向けていたそれにそっくりだということに。そこまで考えた時、突然体全体を酷い寒気が襲った。
それと同じタイミングで夢の中の情景が真っ黒なものに代わり、突然そいつは現れた。
『おにいちゃん』
そう私を呼んだのは、まるで影が人間の形をしているような真っ黒な何かだった。
「やっ、やだぁ!!」
そいつから逃げようと走る、が、全く距離が開かずむしろ徐々に近づいてきている。
『おにいちゃん』
男とも女ともとれないその声は妙にねっとりとしていて聞いているだけで心がざわついた。
「くるな!!いやだーーーーっ!!」
しかし、そう叫んだ時、いままでの運動不足が祟って足がもたれて転んでしまった。それをチャンスと思ったようでそいつは私にその黒い手を伸ばした。
『おにいちゃやあああああああん』
(もうだめだ……)
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