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35.社畜サラリーマンはあざとくなる
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サンが外に行ってすぐ大きな聞き覚えのある声がした。
「どうして、兄さんに会わせてくれない。あんた達が兄さんを攫っていったのは知ってるし、自分までこんなところに連れてきやがって!!」
怒声と合わせて何かを蹴ったようなドカッという音がした。
「無理矢理この世界に連れてきたことは謝りましょう。補填も約束しましたが、あなたのご兄弟が召喚された事実はありません。だから、落ち着いて下さい」
「うそだ!!あの日、オレは確かに兄さんを見た。あの美しい人は兄さんだ、間違いない」
その言葉に、私は昔の記憶を思い出す。一部父に似たが私は母に基本的には似ていると言われた。母は大変美しい人だったと言われたが私にはあまりピンとこなかった。
家の中でも特別美しいと言われたことは無かったが……、
『兄さんは綺麗だな、ずっと見てたくなる』
志鶯だけは違った。
志鶯が、私を呼びたがるのはヤツが、私に嫌がらせしたいとかそういうわけではなく顔を眺めていたいとよく言われた。
正直、冗談だと思い続けていた。
「兄さんは誰よりも美しく人なんだ。そんな兄さんに会わせないなんて、ああ、許さない!!」
「グッ、まさか刃物を??そんな物を何処で……」
ドサッと人が倒れたような音がして、体が震えた。
志鶯は何をしたんだ、いや、間違いなくサンを刺したのだ。
「あっ……あっ」
「シヅル、大丈夫、ゆっくり呼吸をして、よし、上手だ」
過呼吸になりかけたのを、竜帝陛下に優しく撫でられて落ち着きを取り戻す。
(大丈夫、竜帝陛下が側に居るから……)
志鶯がこちらに向かう足音がした。
後少しで扉の前というタイミングで聞いたことがない渋い声がした。
「ぼうや、それ以上先には行かせん」
「うるさい、オレは兄さんに会うんだ!!お前も刺し……なんだ、この香りは……」
扉越しでもその隙間から匂いが入り込んだ。それはお気に入りのジャコウリュウコーヒーの香りに似た好きな匂いだった。
「まぁ、落ち着きな。刃物は俺に渡しな」
「……はい」
びっくりするほど素直になった志鶯が、その渋い声の男に従うのが分かった。
「今の声は……」
「ああ、ルアクだ。良い香りのフェロモンを出す竜人だ。特に異世界人が嗅ぐと骨抜きになるフェロモンが出せるジャコウリュウのひとりだ……あ、シヅルまさか香りにあてられて……」
「だいじょうぶ、すきなにおいだけどらみゅさまのにおいのがしゅき」
甘えるように胸に顔を埋める。
「……はぁ、愛しいシヅルそれは反則だ」
「どうして、兄さんに会わせてくれない。あんた達が兄さんを攫っていったのは知ってるし、自分までこんなところに連れてきやがって!!」
怒声と合わせて何かを蹴ったようなドカッという音がした。
「無理矢理この世界に連れてきたことは謝りましょう。補填も約束しましたが、あなたのご兄弟が召喚された事実はありません。だから、落ち着いて下さい」
「うそだ!!あの日、オレは確かに兄さんを見た。あの美しい人は兄さんだ、間違いない」
その言葉に、私は昔の記憶を思い出す。一部父に似たが私は母に基本的には似ていると言われた。母は大変美しい人だったと言われたが私にはあまりピンとこなかった。
家の中でも特別美しいと言われたことは無かったが……、
『兄さんは綺麗だな、ずっと見てたくなる』
志鶯だけは違った。
志鶯が、私を呼びたがるのはヤツが、私に嫌がらせしたいとかそういうわけではなく顔を眺めていたいとよく言われた。
正直、冗談だと思い続けていた。
「兄さんは誰よりも美しく人なんだ。そんな兄さんに会わせないなんて、ああ、許さない!!」
「グッ、まさか刃物を??そんな物を何処で……」
ドサッと人が倒れたような音がして、体が震えた。
志鶯は何をしたんだ、いや、間違いなくサンを刺したのだ。
「あっ……あっ」
「シヅル、大丈夫、ゆっくり呼吸をして、よし、上手だ」
過呼吸になりかけたのを、竜帝陛下に優しく撫でられて落ち着きを取り戻す。
(大丈夫、竜帝陛下が側に居るから……)
志鶯がこちらに向かう足音がした。
後少しで扉の前というタイミングで聞いたことがない渋い声がした。
「ぼうや、それ以上先には行かせん」
「うるさい、オレは兄さんに会うんだ!!お前も刺し……なんだ、この香りは……」
扉越しでもその隙間から匂いが入り込んだ。それはお気に入りのジャコウリュウコーヒーの香りに似た好きな匂いだった。
「まぁ、落ち着きな。刃物は俺に渡しな」
「……はい」
びっくりするほど素直になった志鶯が、その渋い声の男に従うのが分かった。
「今の声は……」
「ああ、ルアクだ。良い香りのフェロモンを出す竜人だ。特に異世界人が嗅ぐと骨抜きになるフェロモンが出せるジャコウリュウのひとりだ……あ、シヅルまさか香りにあてられて……」
「だいじょうぶ、すきなにおいだけどらみゅさまのにおいのがしゅき」
甘えるように胸に顔を埋める。
「……はぁ、愛しいシヅルそれは反則だ」
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