26 / 68
23.社畜サラリーマンは人間としての尊厳を放棄する
しおりを挟む
「しかし、その……ペット様にお聞かせすべきか迷う話で……グフっ、だめだ、ペット様は本当に神々しい……見るだけで血が止まらぬ」
私を直視するたびに出血多量になりそうなレベルの鼻血を噴き出すセシルに、なんらかのヤバい神格に自身がなってしまったのではと心配になる。
セシルが鼻を抑えるのに使用している先ほどヘイズが渡したハンカチもまるで最初から赤かったのかと疑うレベルで真っ赤になっている。
「シヅルは話を聞きたいか??」
竜帝陛下が私を抱き寄せて髪を撫でながら聞いた。
正直この人外の世界のゴタゴタした話はあまり聞いてもよく分からないと思うので聞いても聞かなくても良いと思ってしまう。
「どちらでも私は大丈夫です。話を聞いた場合、守秘義務については社会人経験者ですのでもちろん守りますし、別室に移動した方がよければ移動します」
「そうか。なら、シヅルを余が離したくないからそのまま膝の上で話を聞いていておくれ」
と言われて膝の上にのせられた。以前は抵抗したが、抵抗するだけ無駄なのと最近はそれが心地良くなり始めている事実に驚きを隠せない。
「あわわ、ペット様が竜帝陛下の膝の上に、ううっ、神の化身たるお姿を直視するのは不敬なためこの体制にて失礼いたします」
となぜか床に平伏したセシルは、そのままの体制で話を始めた。
「実は、我が愚従兄弟のアヴェルから、信じ難い話を聞き、事実かは分かりませんが、調査が必要かと思われるますためこちらに参りました」
「ほぅ、あのリュカに忠義を持つ騎士がか」
その場が凍るような笑みを浮かべた竜帝陛下だが、五体投地スタイルのセシルは知る由もなく続けた。
「僕も正直、聞く必要のない愚かなことに思いましたが万が一事実なら竜帝陛下やペット様にまで危害が及びかねないことでしたので、念のためお伝え出来ればと。実は、あくらもといリュカ殿下はある人物により操られていた可能性があるとのことなのです」
「ある人物とは誰だ??」
シーンとしたシリアスなシーンだが、私は地味にピンチに陥っていた。
(トイレに行きたい……)
「それが……スタガー卿をご存知でしょうか??王妃様の側近であり、番い様に元は仕えていた人物で、あくらもといリュカ殿下とは幼なじみの関係でもあります」
「スタガーなら知っている。リュカの乳母の息子だからな。しかし、なぜスタガーがそのようなことを……」
沈黙が流れる中、私は竜帝陛下に小さく耳打ちする。
「あの‥‥トイレに行くので離して下さい」
「そうか、分かった」
てっきり手を離してくれると思ったが、竜帝陛下は姫抱きにして私を持ち上げた。
「シヅルと用を足しに行く。話の続きはしばし待て」
「いや、ひとりでいけます、離して下さい」
流石に排尿時にそばにいて欲しくなくて逃げようとしたが、腹部を圧迫しうっすら漏らしかけて動きを止める。
「大丈夫だ。ただ見守るだけだ」
慈愛に満ちた瞳で言われて私はそれ以上争うことが出来なかった。
私を直視するたびに出血多量になりそうなレベルの鼻血を噴き出すセシルに、なんらかのヤバい神格に自身がなってしまったのではと心配になる。
セシルが鼻を抑えるのに使用している先ほどヘイズが渡したハンカチもまるで最初から赤かったのかと疑うレベルで真っ赤になっている。
「シヅルは話を聞きたいか??」
竜帝陛下が私を抱き寄せて髪を撫でながら聞いた。
正直この人外の世界のゴタゴタした話はあまり聞いてもよく分からないと思うので聞いても聞かなくても良いと思ってしまう。
「どちらでも私は大丈夫です。話を聞いた場合、守秘義務については社会人経験者ですのでもちろん守りますし、別室に移動した方がよければ移動します」
「そうか。なら、シヅルを余が離したくないからそのまま膝の上で話を聞いていておくれ」
と言われて膝の上にのせられた。以前は抵抗したが、抵抗するだけ無駄なのと最近はそれが心地良くなり始めている事実に驚きを隠せない。
「あわわ、ペット様が竜帝陛下の膝の上に、ううっ、神の化身たるお姿を直視するのは不敬なためこの体制にて失礼いたします」
となぜか床に平伏したセシルは、そのままの体制で話を始めた。
「実は、我が愚従兄弟のアヴェルから、信じ難い話を聞き、事実かは分かりませんが、調査が必要かと思われるますためこちらに参りました」
「ほぅ、あのリュカに忠義を持つ騎士がか」
その場が凍るような笑みを浮かべた竜帝陛下だが、五体投地スタイルのセシルは知る由もなく続けた。
「僕も正直、聞く必要のない愚かなことに思いましたが万が一事実なら竜帝陛下やペット様にまで危害が及びかねないことでしたので、念のためお伝え出来ればと。実は、あくらもといリュカ殿下はある人物により操られていた可能性があるとのことなのです」
「ある人物とは誰だ??」
シーンとしたシリアスなシーンだが、私は地味にピンチに陥っていた。
(トイレに行きたい……)
「それが……スタガー卿をご存知でしょうか??王妃様の側近であり、番い様に元は仕えていた人物で、あくらもといリュカ殿下とは幼なじみの関係でもあります」
「スタガーなら知っている。リュカの乳母の息子だからな。しかし、なぜスタガーがそのようなことを……」
沈黙が流れる中、私は竜帝陛下に小さく耳打ちする。
「あの‥‥トイレに行くので離して下さい」
「そうか、分かった」
てっきり手を離してくれると思ったが、竜帝陛下は姫抱きにして私を持ち上げた。
「シヅルと用を足しに行く。話の続きはしばし待て」
「いや、ひとりでいけます、離して下さい」
流石に排尿時にそばにいて欲しくなくて逃げようとしたが、腹部を圧迫しうっすら漏らしかけて動きを止める。
「大丈夫だ。ただ見守るだけだ」
慈愛に満ちた瞳で言われて私はそれ以上争うことが出来なかった。
67
お気に入りに追加
592
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます


【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる