社畜サラリーマン、異世界で竜帝陛下のペットになる

ひよこ麺

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22.社畜サラリーマンは狂信者と迎合する

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「あっ……きもちぃ……そこっ!!」

「シヅル、ここか??こんなに硬くして、余が柔らかくしないとな」

「もぅ……らめぇっ」

「あの、おふたりともーっ」

竜帝陛下に聖竜式マッサージを施されているとヘイズが糸目でも分かるくらいにジトっとした眼差しを向けてきた。

「なんだ、余とシヅルの触れ合いの邪魔をしにきたのか??」

「邪魔も何も竜帝陛下はお仕事してくださいーっ、そうしたら触れ合いでもくんずほぐれつでも好きにすればよいのでーっ」

その言葉にくんずほぐれつは容認しないがと思いつつ、起き上がる。

バスローブを身につけているのだが、何故か起き上がった瞬間にヘイズが少し頬を赤らめて目を逸らしたのが分かった。

竜帝陛下により甘やかされて艶々の健康体になりつつある私は鏡を見てびっくりしたくらいに美青年化していた。

(……それでも美形揃いの竜人には及ばないと思っているんだが……)

「シヅルは可愛い、美しい、息をしているだけで可愛い」

「竜帝陛下、あんまりお世辞を言わないでください、恥ずかしいので」

何かで「可愛い」と言われ続けると男も可愛くなると聞いたことがあるがまさに竜帝陛下に可愛いと言われすぎて自分の価値観がおかしくなってないか心配になってきている。

「ペット様、竜帝陛下の仰ることは事実ですーっ、最近のペット様には狂信的なファンまでついてますしーっ」

ヘイズの言葉に首を傾げる。自分は非常に遺憾だがこの世界に来て最初に会ったリュカと近衛騎士以外なら竜帝陛下とヘイズにしか会っていない。それなのになぜファンがいるのか理解できない。

「ファンって私は引きこもりなのですが……」

そう口にした時、竜帝陛下がそれはそれは良い笑顔でとんでもない発言をした。

「あまりにもシヅルが可愛いのでDにシヅル専用の投稿アカウントを作った。そのアカウントが気づいたら異常なフォロー数になっているのだ」

悪びれることもなく微笑みながら見せられたスマフォみたいな端末には某XみたいなSNSアカウントがあり、私が眠る姿や、食事をする姿の映像がアップされていた。

「な、なんてことしているのですか!!削除を要請します!!」

あんな恥ずかしいアカウントは消し去らないといけない。だから竜帝陛下からなんとかスマフォを奪おうとした時、異常に大きなノックがされた。

「誰だ??」

先ほどまでの和やかさは消えて竜帝陛下は冷たい声を出した。

その様子と覇気に思わず体が震える。

「我が帝国の偉大なる聖竜にご挨拶を、メジェド辺境伯家が長男、セシル・シャハト・メジェドでございます。陛下に伝えたいことがあり謁見に参りました」

竜帝陛下の覇気にも負けない大きな声でのハキハキと返答した人物はまだ見ては居ないがしっかりした人物に思えた。

「入れ」

短い許可を与えられると、扉が丁寧に開かれて声の主が姿を現した。

元の世界では見たことのない深緑の髪をしっかりオールバックにして、黄緑みがかった黄色の瞳をした凛々しい青年、セシルが立っていた。

どこか、リュカに付き従っていた黒髪の騎士に面差しが似ているが、彼の方が意思が強そうな雰囲気がする。

「竜帝陛下、お耳に挟みたいことが……グフっ!!」

ずっと凛々しい顔をしていたセシルがいきなり鼻を抑えて蹲った。

あまりの出来事に硬直していると、ヘイズが呆れた様子で彼に歩み寄った。

「セシル小辺境伯殿、確かに刺激は強かったですが、鼻血をいきなり噴き出すのはウブ過ぎませんか??」

そう言って、ハンカチを彼に手渡す。

「申し訳ない。後で新しいものをかえそう。竜帝陛下、御前で申し訳ございません」

「許す。シヅルは麗しいから仕方ない」

竜帝陛下の発言にセシルが私を俯きながら見つめているのがわかった。

「お許し頂き感謝いたします。本当にペット様は麗しいお方です。普段画面越しに五体投地にて拝見しているご尊顔が突如眼前に降臨なされたのでこのようにお目汚しをしてしまいこのセシル一生の不覚にございます」

どうやら、セシルは私の姿を見て鼻血を拭いて倒れたらしい。

そもそも、ご尊顔など生まれて初めて言われた言葉に驚き過ぎて声も出ない。

「シヅルはこの世のものとは思えないほど可愛いくて美しいのだから仕方ない」

「まさにまさに、ペット様はこの世に降臨された神の化身に違いありません」

人外たちにこの世のものとは思えないと何度も褒め称えられるのは非常に複雑だし、すごく恥ずかしい。

そんなふたりをヘイズが制するように言った。

「はいはい、おふたりとも。ペット様が困ってるので本題に入って下さい」
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