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11.社畜サラリーマンは奇妙な夢を見る
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意識を失った後、夢の中に居るのが分かった。
その夢の中の私は人生で一度だって居たことがないような絢爛豪華な部屋の中に居た。遠い昔に母に連れられて行った某高級ホテルのスイートルームよりも広く、装飾過多で今の私には落ち着ける気はしない場所だった。
けれど、その絢爛豪華な部屋に私は何故かなつかしさを感じた。
まるで、自分の部屋であるように全ての場所にあるものも、部屋のお気に入りの場所も即座に理解できた。
そして、同じようの驚いたのが装飾過多な姿見に映し出された自身の全体像だった。
そこには見慣れた黒髪に死んだ魚の目をしたサラリーマンは居ない。この世界の誰よりも見事なまさに黄金を切り出したような鮮やかな金髪に、竜帝陛下と並んでも遜色がないような美しい金の瞳をしたけれど少し傲慢そうな姿の絶世の美形が映し出されたのだ。
(誰だこれ……)
「……本当に最悪だ」
その人物は自然としゃべりだした。
「父上と母上はどうしてあいつをあんなヤツを弟として認めろというんだ。どこの女の子かもわからない私生児なんか!!」
そうして、近くにあった花瓶を手に取り勢いよく投げつけた。金属製のそれは割れることはなかったが銀の一部が凹んだ気がする。
なんてもったいないことをすると内心で思ったが、この体の人物は気にしていないようだった。
「おい」
「は、はいお坊ちゃま」
見るからに弱弱しい雰囲気の銀髪に糸目の召使の少年を呼びつけるとまた自然と言葉が紡がれた。この少年には見覚えがある気が何故かした。
「あの私生児の誕生日がもうすぐだったな。丁度良いからあいつにプレゼントを渡してやろうと思うんだ」
言葉には毒があるし、心が乱れていたがこの傲慢そうな人物はどうやらそこまで邪悪ではないようだ。何故なら彼の心の声が私にはハッキリ聞こえたからだ。
(でも、僕はこの公爵家の跡取りだからな。誇り高いものとして自分より目下のものには施しをやる必要があるだろう)
そこでどうも彼はツンデレタイプなのかもなと変な納得をした。
「あ、あの」
「そこで、何を贈るのが適切だ??僕には平民や下級貴族の欲しがるようなものが分からないからな」
(つまり、プレゼントに何を買えばよいか聞きたかったと、そう言うことか……)
「あ、それでしたら良い物があります」
おどおどしながらも、召使いの少年はある珍しい異国のお菓子の話を始めた。その話に納得したように、彼は頷く・
「うむ。そばボーロというのか。面白い。それに合いそうなよい茶葉と贈ろうか」
「あ、そうしたら、その異国のお茶で麦茶というものがございまして……」
などと妙に親近感のある食べ物の話をしていて変な気分になったが、あの召使いの少年の態度に私は違和感を感じた。
この視線の持ち主の人物は気にしていないが、私には彼が彼に対して恐れと憎悪を両方抱いているように感じたのだ。
「よし、ではそれを贈ってやろう」
彼がそう答えた時、確かに召使いの少年が一瞬邪悪な笑みを浮かべたのが分かった。
その夢の中の私は人生で一度だって居たことがないような絢爛豪華な部屋の中に居た。遠い昔に母に連れられて行った某高級ホテルのスイートルームよりも広く、装飾過多で今の私には落ち着ける気はしない場所だった。
けれど、その絢爛豪華な部屋に私は何故かなつかしさを感じた。
まるで、自分の部屋であるように全ての場所にあるものも、部屋のお気に入りの場所も即座に理解できた。
そして、同じようの驚いたのが装飾過多な姿見に映し出された自身の全体像だった。
そこには見慣れた黒髪に死んだ魚の目をしたサラリーマンは居ない。この世界の誰よりも見事なまさに黄金を切り出したような鮮やかな金髪に、竜帝陛下と並んでも遜色がないような美しい金の瞳をしたけれど少し傲慢そうな姿の絶世の美形が映し出されたのだ。
(誰だこれ……)
「……本当に最悪だ」
その人物は自然としゃべりだした。
「父上と母上はどうしてあいつをあんなヤツを弟として認めろというんだ。どこの女の子かもわからない私生児なんか!!」
そうして、近くにあった花瓶を手に取り勢いよく投げつけた。金属製のそれは割れることはなかったが銀の一部が凹んだ気がする。
なんてもったいないことをすると内心で思ったが、この体の人物は気にしていないようだった。
「おい」
「は、はいお坊ちゃま」
見るからに弱弱しい雰囲気の銀髪に糸目の召使の少年を呼びつけるとまた自然と言葉が紡がれた。この少年には見覚えがある気が何故かした。
「あの私生児の誕生日がもうすぐだったな。丁度良いからあいつにプレゼントを渡してやろうと思うんだ」
言葉には毒があるし、心が乱れていたがこの傲慢そうな人物はどうやらそこまで邪悪ではないようだ。何故なら彼の心の声が私にはハッキリ聞こえたからだ。
(でも、僕はこの公爵家の跡取りだからな。誇り高いものとして自分より目下のものには施しをやる必要があるだろう)
そこでどうも彼はツンデレタイプなのかもなと変な納得をした。
「あ、あの」
「そこで、何を贈るのが適切だ??僕には平民や下級貴族の欲しがるようなものが分からないからな」
(つまり、プレゼントに何を買えばよいか聞きたかったと、そう言うことか……)
「あ、それでしたら良い物があります」
おどおどしながらも、召使いの少年はある珍しい異国のお菓子の話を始めた。その話に納得したように、彼は頷く・
「うむ。そばボーロというのか。面白い。それに合いそうなよい茶葉と贈ろうか」
「あ、そうしたら、その異国のお茶で麦茶というものがございまして……」
などと妙に親近感のある食べ物の話をしていて変な気分になったが、あの召使いの少年の態度に私は違和感を感じた。
この視線の持ち主の人物は気にしていないが、私には彼が彼に対して恐れと憎悪を両方抱いているように感じたのだ。
「よし、ではそれを贈ってやろう」
彼がそう答えた時、確かに召使いの少年が一瞬邪悪な笑みを浮かべたのが分かった。
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