10 / 68
07.社畜サラリーマンは帰れない事実を知る
しおりを挟む
「そういえば、仕事を投げ出してきてしまったので元の世界へ帰りたいのですが」
このままこの世界で生活する流れになっているが、自分としてはこんな意味の分からない生活を続けるつもりはない。特によく全裸に剥かれるタイプの世界は嫌だ。
「ん、ああ、すまない可愛い子ちゃん。元の世界へは帰ることは不可能だ。しかし、その分、余がこの先ずっと大切に大切にしよう」
「アッ……ワッ」
あっさりと元の世界へ帰れないと言われたことに動揺し、うっかり某ちいさくって可愛い存在のような声が漏れてしまった。
「可愛い子ちゃん可愛い。本当に可愛い子ちゃんはちいさくって可愛い」
いつの間にかまたきょりをつめた竜帝陛下に頬ずりされて表情が歪む。
「やめてください。本当のちいさくってかわいいやつに謝罪してください。私はただの草臥れた存在です。いや、そうじゃなく、どうして召喚できるのに帰れないのですか??」
いつものノリに流されかけたが、とても重要な部分なので元の話に戻す。
すると竜帝陛下ではなくヘイズが答えた。
「すごくややこしいのですが、この世界にある召喚用のゲートは一方通行なのですよーっ。そのため、異世界から召喚した場合、元の世界へ送り返すことができないのですよーっ。これについては次元が異なるのが原因のようで、低い次元から高い次元へは連れて行けるけれど、逆は不可能とされていますよーっ。無理に戻ろうとすると最悪世界が質量の関係で壊れちゃうので諦めてくださいですよーっ」
「ハァ??」
あまりのことに煽るタイプの某かわいい生き物みたいな声が漏れたが関係ない。
「いや、高次から低次になら行き放題ではないのですか??」
訳がわからなくなる私を竜帝陛下が膝の上に乗せて頭を撫でながら答えた。
「可愛い子ちゃん。たとえば目の前になんとかバニアの家族みたいな可愛い子がわちゃっと暮らす場所があるとして、そこに可愛い子ちゃんが行ったらどうなる??」
「……サイズ的に潰してしまうかと」
「そう。ちなみに今、可愛い子ちゃんは全部ちいさくって可愛いが、元の世界に戻る場合のサイズ感はゴジ◯の10倍程度のサイズ感になってしまうのだ」
要約すると一度この世界に来てしまうと元の世界では怪物サイズになってしまうらしい。
「……それはそれでありですね。あの会社を自らの足で潰すチャレンジができる」
力を手にすると人間がろくなことを考えない見本みたいなことを思わず口走る。
会社にあまり良い記憶はない。けれど、家を出た私に会社を辞める選択肢はなかった。ただ、それだけだ。
結果、その弱みにつけこまれて上司にいいようにされていたし、新人の高橋は仕事がわからないと言って全然仕事しないで大半を私に押し付けていた。
しかし、高橋自体が確か取引先のご令息であまり厳しいことが言えなかったのを思い出した。
(地獄だった……)
そこまで考えて田中のことを思い出した。田中は優秀なヤツで だったが、優秀すぎて周りに馴染めずにうちのチームに飛ばされた男だった。
『立花さんは働きすぎだ。そんなんじゃコスパも落ちるし良いことがない。なんならあの無能野郎に僕から言いましょうか??』
田中は私を唯一心配してくれた。最後に会った日、田中はこんなことを言っていた。
『もうすぐ、上司が代わります。そうしたらここをもっと働きやすく変えていきましょう。立花さんは自分を過小評価していますが、あなたは充分優秀な人だ』
「……田中もいるなら会社を潰すのはやめよう」
そう記憶から帰還して呟いた時、何故か竜帝陛下が今まで見たことのない邪悪な笑みを浮かべていた。
「可愛い子ちゃんがこんなに痛めつけられていたなんて……。あちらの世界は滅ぼした方が良いか??」
このままこの世界で生活する流れになっているが、自分としてはこんな意味の分からない生活を続けるつもりはない。特によく全裸に剥かれるタイプの世界は嫌だ。
「ん、ああ、すまない可愛い子ちゃん。元の世界へは帰ることは不可能だ。しかし、その分、余がこの先ずっと大切に大切にしよう」
「アッ……ワッ」
あっさりと元の世界へ帰れないと言われたことに動揺し、うっかり某ちいさくって可愛い存在のような声が漏れてしまった。
「可愛い子ちゃん可愛い。本当に可愛い子ちゃんはちいさくって可愛い」
いつの間にかまたきょりをつめた竜帝陛下に頬ずりされて表情が歪む。
「やめてください。本当のちいさくってかわいいやつに謝罪してください。私はただの草臥れた存在です。いや、そうじゃなく、どうして召喚できるのに帰れないのですか??」
いつものノリに流されかけたが、とても重要な部分なので元の話に戻す。
すると竜帝陛下ではなくヘイズが答えた。
「すごくややこしいのですが、この世界にある召喚用のゲートは一方通行なのですよーっ。そのため、異世界から召喚した場合、元の世界へ送り返すことができないのですよーっ。これについては次元が異なるのが原因のようで、低い次元から高い次元へは連れて行けるけれど、逆は不可能とされていますよーっ。無理に戻ろうとすると最悪世界が質量の関係で壊れちゃうので諦めてくださいですよーっ」
「ハァ??」
あまりのことに煽るタイプの某かわいい生き物みたいな声が漏れたが関係ない。
「いや、高次から低次になら行き放題ではないのですか??」
訳がわからなくなる私を竜帝陛下が膝の上に乗せて頭を撫でながら答えた。
「可愛い子ちゃん。たとえば目の前になんとかバニアの家族みたいな可愛い子がわちゃっと暮らす場所があるとして、そこに可愛い子ちゃんが行ったらどうなる??」
「……サイズ的に潰してしまうかと」
「そう。ちなみに今、可愛い子ちゃんは全部ちいさくって可愛いが、元の世界に戻る場合のサイズ感はゴジ◯の10倍程度のサイズ感になってしまうのだ」
要約すると一度この世界に来てしまうと元の世界では怪物サイズになってしまうらしい。
「……それはそれでありですね。あの会社を自らの足で潰すチャレンジができる」
力を手にすると人間がろくなことを考えない見本みたいなことを思わず口走る。
会社にあまり良い記憶はない。けれど、家を出た私に会社を辞める選択肢はなかった。ただ、それだけだ。
結果、その弱みにつけこまれて上司にいいようにされていたし、新人の高橋は仕事がわからないと言って全然仕事しないで大半を私に押し付けていた。
しかし、高橋自体が確か取引先のご令息であまり厳しいことが言えなかったのを思い出した。
(地獄だった……)
そこまで考えて田中のことを思い出した。田中は優秀なヤツで だったが、優秀すぎて周りに馴染めずにうちのチームに飛ばされた男だった。
『立花さんは働きすぎだ。そんなんじゃコスパも落ちるし良いことがない。なんならあの無能野郎に僕から言いましょうか??』
田中は私を唯一心配してくれた。最後に会った日、田中はこんなことを言っていた。
『もうすぐ、上司が代わります。そうしたらここをもっと働きやすく変えていきましょう。立花さんは自分を過小評価していますが、あなたは充分優秀な人だ』
「……田中もいるなら会社を潰すのはやめよう」
そう記憶から帰還して呟いた時、何故か竜帝陛下が今まで見たことのない邪悪な笑みを浮かべていた。
「可愛い子ちゃんがこんなに痛めつけられていたなんて……。あちらの世界は滅ぼした方が良いか??」
88
お気に入りに追加
592
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます


【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる