社畜サラリーマン、異世界で竜帝陛下のペットになる

ひよこ麺

文字の大きさ
上 下
8 / 68

07.社畜サラリーマンは悪夢から目覚めるなり全裸にされる※(11/1 12:20修正)

しおりを挟む
※微弱にエロ表現があります。また、一度修正中に公開しておりました、すいません。

「なぁああああああああ!!」

目が覚めると同時に、自分の真ん前に竜帝陛下の美麗な顔面がほぼゼロ距離にあった。その事態に思わず変な声が漏れてしまった。

あまりのことに驚いて火事場の馬鹿力クラスで思いっきり竜帝陛下を押してしまい焦るが、体幹がおかしい竜帝陛下には1ミリもダメージは入っていない。

むしろ、「じゃれているのか??可愛い子ちゃんは本当に可愛いな……」など到底理解できない発言をされて正気度が著しく減った気がした。

「可愛い子ちゃん、怖い夢を見ていたのかな??大丈夫、余が落ち着くまで側にいよう」

息がかかるほど近い距離で顔面偏差値がカンストした人物に甘い言葉を囁かれるという乙女ならたまらない状況も世間の荒波に揉まれた草臥れたサラリーマンには響かない。

思わず死んだ魚のような目になるが、それすらも「ああ、綺麗な瞳だ。この世界ではあまり見ない色だがとても美しい」と言って顔にキスの雨を降らされたので虚無に近い心境になっていた。

「あの、やめてください。割と不快です」

素直に心のままに言葉にする。流石に直接的な拒絶は竜帝陛下とて傷つくとも思ったが、全く堪えた様子はなかった。それどころか……、

「塩対応の可愛い子ちゃんも可愛いな。ああ、この可愛い表情を異世界人風に言うならば写真におさめたい。可愛い子ちゃんの可愛い写真をたくさん撮りたい。とって"D"にあげたてこの可愛いさをこの世界に発信し……」

「ちょっと待ってください、それは肖像権侵害です。後、"D"ってなんです??」

「肖像権??ああ、可愛い子ちゃん、安心していい。可愛い子ちゃんの尊厳も権利も余が守ろう。いや、余が全てを保有しているから問題ない。ちなみに"D"は元々ドラゴンムームー、竜のつぶやきと呼ばれるサービスで通称Dと呼ばれている。しかし、世の持ち物だからこの機会にSHIDURUに改名しても良いかもしれぬな」

「絶対やめてくださいね、そして、今気づきましたが、なぜ私はまた全裸になっているのですか??」

会話中に気付いたが、寝る前は着ていたはずのバスローブがなくなり、再び私は全裸にされていた。さらに竜帝陛下もなぜか全裸という全てにおいてカオスな状況であったあげくに、先ほどから下半身付近に違和感がある。なんというかとても大きい何かが尻に当たっている感じがしているのだが正体は怖すぎて確認はしない。

「ああ、『異世界人のきもち』によると、『異世界人が不安な気持ちの時は優しく抱きしめて互いの体温を分け合うと安心する』と書かれていた。さらに『そのためにはお互いをより近くに感じるように裸で抱き合うのが良い』と書かれていたのだ」

全く悪気がないという微笑みを浮かべているが、完全に地獄絵図だ。私は急いでその腕から身を捩ってなんとか逃げ出そうとしたが、完全にホールドされていて逃げることができなかった。

「いやだ、裸で抱き合うなんて……それにさっきから直接あたってるのも嫌だ……」

自分でも恥ずかしくなるようなか細い声で抗議をすると、竜帝陛下は不思議そうに首を傾げた。

「……『異世界人』はこうすると落ち着くのではないか??しかし、可愛い子ちゃんは抱き合うのは苦手なのか??」

そう言って、私を抱く力を少し緩めたので何とかその腕の中から逃れることができた。そのまま、竜帝陛下から人ひとり分程度離れてから答えた。

「……苦手です。人と触れ合うこと自体があまり好きじゃない」

「可愛い子ちゃん……」

何か言いたげに私の頬にその大きな手が遠慮がちに触れた、その時だった。

部屋のドアが勢いよく空いて、ひとりの人物が部屋の中に入ってきたのが分かった。

「ラム陛下、異世界人が可愛いのは分かりますが仕事してくださいよーっ」

そう言って今の状況も雰囲気もぶち壊すようにやってきたのは、ロングの銀髪に糸目の男だった。少し気の抜けるようなしゃべり方だが、その細い目の先は全く笑っていない。

「仕事なら今まで5千年以上、ずっと真面目にやってきただろうヘイズ。少し休ませろ」

「そう言われましても、竜帝陛下の稟議が必要なものがたくさんあるのですよーっ」

困ったようにヘイズと呼ばれた男が答えるのを見て、急に会社のことを思い出した。

(そういえば、あれから、元の世界はどうなったんだろう……まだ二日しかたってないから特に何かある訳ではないと思うが……)
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...