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プロローグ
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「余の可愛い子ちゃん、本当に可愛い、この世界で一番可愛い」
「竜帝陛下……私は30歳の社畜サラリーマンで、童貞魔法使いで1ミリも可愛い要素がありません」
そう言って、私を膝にのせてまるで仔猫をあやすように髪を撫でながら頬摺りをしてくる人物。
黒髪に黄金色の瞳のとても美しいその人は、頭に人外の証である象牙のような2本の角の生えている。
私を猫っ可愛がりして甘やかすこの姿からは想像できないが、彼はこの世界の支配者である竜帝陛下だ。
私は現在この竜帝陛下に飼育されている。
「いや、可愛い。どこからどう見てもこの世界、いやあちらの世界を含めても一番可愛いことは間違いないぞ」
何かのスイッチが入ったらしくさらに激しく頬摺りされた。
「ちょっと、やめてくださぃ」
必死に押し返したが体幹というか何かが根本から違うためまるでダメージが入らない。
そんな私に対して、『おお、よしよし、じゃれているのか??』などと言われる始末だ。
(何をしても言っても無駄だな)
そう諦めていると、さらにこの竜帝陛下はとんでもない発言をする。
「可愛い子ちゃん、いや、私のシヅルンは可愛いすぎる。可愛すぎて思わず定期的にシヅルン吸いをしたくなる」
完全に頭のおかしい発言をして竜帝陛下は、私の腹に顔を埋めた。
流石に服は着ているがさながら愛猫、愛犬など毛がふさふさしたペットにするような行動をヒト型同士、しかも片方がくたびれた社畜サラリーマンにされたら絵面が悪い。
その証拠に御付きの竜人たちは完全に目を逸らしている。
大体、私からはうっかりしたら加齢臭が漂っている可能性がある年齢の成人男性である。良い匂いがするはずがないのだ。
(むしろ竜帝陛下の方がとても良い匂いがする)
嗅いだことがないが、某ゴージャスな姉妹さんはこういう香りがするかもしれないというくらいに、ファビュラスと表現したくなるような匂いがずっと体からしているが、行っている行動が行動なのでとても恥ずかしくなり抵抗をする。
「やめって、やめろ!!」
フーッと威嚇するように今までより強く押し付けられた頭を押し返したが、むしろ頭にに生えている象牙のようなツノのとんがっているところに刺さって、指先が切れた。
「っ……」
思わず小さく呻いた瞬間、「スーッスーッ、はぁこの芳しいにおいが癖になる」など私の腹に顔を埋めていた竜帝陛下が突然ガバりと顔を上げた。
突然の行動に固まる私の指を何の躊躇もなく口の中に含んだのだ。
「なっ、なにを……」
「すまない、可愛い子ちゃん。余が不注意だったばかりに痛い想いをさせて本当にすまない」
困り眉の2m近い背丈の美丈夫人外に言われて、どう反応して良いか分からないが嫌な気持ちがしなくなってきている自分に気付いてしまった。
(つい数か月前まではこんなことになるとは想像すらできなかったのに……)
ただの家族と会社に恵まれなかったよく居る社畜童貞魔法使いが、物凄く不本意な理由でこの国に召喚された時は絶望した。
しかし、竜帝陛下に愛でられ磨かれ今までされたことのない溺愛をされるなど想像していなかった。
しかも、この異常な状況に慣れしまうなど……。
「竜帝陛下……、もう痛くありません」
「よかった。後、竜帝陛下ではなくラム様と呼ぶように言ったはずだか??それに何があっても余は可愛い子ちゃんが健やかに幸せに暮らせるようにすると誓おう、誰よりも愛おしいシヅル」
竜帝陛下の優しい言葉とあたたかい体温がじんわりと心と体を満たすのが分かった。
(この感情はなんだろう……)
「竜帝陛下……私は30歳の社畜サラリーマンで、童貞魔法使いで1ミリも可愛い要素がありません」
そう言って、私を膝にのせてまるで仔猫をあやすように髪を撫でながら頬摺りをしてくる人物。
黒髪に黄金色の瞳のとても美しいその人は、頭に人外の証である象牙のような2本の角の生えている。
私を猫っ可愛がりして甘やかすこの姿からは想像できないが、彼はこの世界の支配者である竜帝陛下だ。
私は現在この竜帝陛下に飼育されている。
「いや、可愛い。どこからどう見てもこの世界、いやあちらの世界を含めても一番可愛いことは間違いないぞ」
何かのスイッチが入ったらしくさらに激しく頬摺りされた。
「ちょっと、やめてくださぃ」
必死に押し返したが体幹というか何かが根本から違うためまるでダメージが入らない。
そんな私に対して、『おお、よしよし、じゃれているのか??』などと言われる始末だ。
(何をしても言っても無駄だな)
そう諦めていると、さらにこの竜帝陛下はとんでもない発言をする。
「可愛い子ちゃん、いや、私のシヅルンは可愛いすぎる。可愛すぎて思わず定期的にシヅルン吸いをしたくなる」
完全に頭のおかしい発言をして竜帝陛下は、私の腹に顔を埋めた。
流石に服は着ているがさながら愛猫、愛犬など毛がふさふさしたペットにするような行動をヒト型同士、しかも片方がくたびれた社畜サラリーマンにされたら絵面が悪い。
その証拠に御付きの竜人たちは完全に目を逸らしている。
大体、私からはうっかりしたら加齢臭が漂っている可能性がある年齢の成人男性である。良い匂いがするはずがないのだ。
(むしろ竜帝陛下の方がとても良い匂いがする)
嗅いだことがないが、某ゴージャスな姉妹さんはこういう香りがするかもしれないというくらいに、ファビュラスと表現したくなるような匂いがずっと体からしているが、行っている行動が行動なのでとても恥ずかしくなり抵抗をする。
「やめって、やめろ!!」
フーッと威嚇するように今までより強く押し付けられた頭を押し返したが、むしろ頭にに生えている象牙のようなツノのとんがっているところに刺さって、指先が切れた。
「っ……」
思わず小さく呻いた瞬間、「スーッスーッ、はぁこの芳しいにおいが癖になる」など私の腹に顔を埋めていた竜帝陛下が突然ガバりと顔を上げた。
突然の行動に固まる私の指を何の躊躇もなく口の中に含んだのだ。
「なっ、なにを……」
「すまない、可愛い子ちゃん。余が不注意だったばかりに痛い想いをさせて本当にすまない」
困り眉の2m近い背丈の美丈夫人外に言われて、どう反応して良いか分からないが嫌な気持ちがしなくなってきている自分に気付いてしまった。
(つい数か月前まではこんなことになるとは想像すらできなかったのに……)
ただの家族と会社に恵まれなかったよく居る社畜童貞魔法使いが、物凄く不本意な理由でこの国に召喚された時は絶望した。
しかし、竜帝陛下に愛でられ磨かれ今までされたことのない溺愛をされるなど想像していなかった。
しかも、この異常な状況に慣れしまうなど……。
「竜帝陛下……、もう痛くありません」
「よかった。後、竜帝陛下ではなくラム様と呼ぶように言ったはずだか??それに何があっても余は可愛い子ちゃんが健やかに幸せに暮らせるようにすると誓おう、誰よりも愛おしいシヅル」
竜帝陛下の優しい言葉とあたたかい体温がじんわりと心と体を満たすのが分かった。
(この感情はなんだろう……)
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