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19.いきなり断罪キャラがヒロインになるのは恐ろしすぎる
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「お嫁ちゃん、体の調子は……その、大丈夫だろうか??」
諸々の話合いについて一旦保留にしたことで、王太子やその他諸々を追い出した団長が、そのまま急いで僕を連れてやってきた団長の寝室で例のベッドに横たえられてそう言われる。
地味にまた、抱かれるのではなどと思っていた自分が恥ずかしいし、意外にもそれを嫌だとは思っていなかった自分の思考が怖くてその部分は一旦考えないようにした。
思わぬ事態に慌ただしくなったけれど、よく考えたら昨晩、団長によって僕は処女を散らした訳で、よく考えなくても僕の体はありえない筋肉が痛いし割としんどい状態だという事実に気付いた。
「……あまり大丈夫ではありません」
素直にそう答えると、まるで困った大型の犬のように団長はオロオロとしてから、僕の髪を撫でる。
「やはり辛かったな、すまない。こんな事態になってしまって、無理をさせてしまった」
「どうして団長が謝るのですか??これはどちらかというとうちと王家の問題ですし、団長は完全に巻き込まれて……」
その言葉にとても驚いたように団長が目を見開いていた。騎士団の団員のためなら尻すら貸す寛大で心優しい団長は僕のこともまだ入団まもないがそういうまるで家族のような観点で捉えてくれているようだから、自分とは全く関係ないのにそこまで気にかけてくれているのだろう。
(本当に、最初思っていた以上に心優しい人なんだな……騎士団全員にこういう優しさを示せる人だと思うと尊敬するよな……でも、これは僕と家族と王家の問題だしな……)
そこまで考えた時、何故か胸が少し痛い気がしたのはきっと気のせいだ。
「お嫁ちゃんは俺の家族だ。だから、気遣うのも心配するのも当たり前だ。むしろ、そうさせてほしい。後……その団長なんて他人行儀な呼び方もやめてほしい」
まるで愛する恋人にするように言った団長はそのまま僕を昨日のセクシャルな雰囲気とは違うとても真摯な表情で抱きしめた。
その厚い胸板の奧の心臓が早鐘を打っているのが分かった。まるで恋でもしているように。
「あ、でも、だんちょ、えっとその……」
「お嫁ちゃん。その……できれば旦那または名前で呼んでくれると嬉しいのだが……」
少し頬を赤らめながら言われた言葉の意味が最初理解できなかった。
「えっ、それは僕が団長と結婚するということですか!?」
団長はコクリと少し恥ずかしそうに頷いた。この国では男性がほとんどなので同性結婚は普通だ。むしろ王族以外は女性側の相当の希望がなければ普通に同性結婚することが多い。
ただ、先ほどの話からすると、団長は伴侶となる人物を絶対に孕ませられるタイプというとんでもない存在だ。もし僕が、団長の伴侶になった場合、間違いなく孕まされるという訳で……。
「あの、だん……さん、えっと、僕がもしその、貴方と結婚した場合、その……」
「ああ、ふたりの可愛い子供を授かる。個人的には美しいルベルスに似たら良いと思うが……」
幸せそうに家族計画を話す姿は非常にほほえましいが、僕はある恐ろしい事実に気付いていた。
「……あの、僕は普通に男なので、子供を産むときどうなるのですか??」
「ああ、それは尻から……」
団長が言葉を言い終わるより前に僕は発狂した。想像通りそうな答えが返ってきたと思ったのだ。
「いやだぁあああああああああああ!!そんなことしたら尻がふたつに割れます、割れてしまいます!!」
と錯乱のあまり、わけのわからないことを叫んで僕は、寝室から逃げ出した。
(このままではいけない、王家もだめだけど、ここもいけない!!)
しかし、行き場がないぞと思った時だった。
ドスっ!!
何か大きな衝撃が首筋に走る。その衝撃に僕はそのまま意識を失った。意識を失う寸前に、
「ごめんなさい。貴方に恨みはないけど私の幸せのためなのよ」
とどこか女性口調の低い男性の声がした気がしたが、それを考える間もなく完全に意識が途切れてしまった。
諸々の話合いについて一旦保留にしたことで、王太子やその他諸々を追い出した団長が、そのまま急いで僕を連れてやってきた団長の寝室で例のベッドに横たえられてそう言われる。
地味にまた、抱かれるのではなどと思っていた自分が恥ずかしいし、意外にもそれを嫌だとは思っていなかった自分の思考が怖くてその部分は一旦考えないようにした。
思わぬ事態に慌ただしくなったけれど、よく考えたら昨晩、団長によって僕は処女を散らした訳で、よく考えなくても僕の体はありえない筋肉が痛いし割としんどい状態だという事実に気付いた。
「……あまり大丈夫ではありません」
素直にそう答えると、まるで困った大型の犬のように団長はオロオロとしてから、僕の髪を撫でる。
「やはり辛かったな、すまない。こんな事態になってしまって、無理をさせてしまった」
「どうして団長が謝るのですか??これはどちらかというとうちと王家の問題ですし、団長は完全に巻き込まれて……」
その言葉にとても驚いたように団長が目を見開いていた。騎士団の団員のためなら尻すら貸す寛大で心優しい団長は僕のこともまだ入団まもないがそういうまるで家族のような観点で捉えてくれているようだから、自分とは全く関係ないのにそこまで気にかけてくれているのだろう。
(本当に、最初思っていた以上に心優しい人なんだな……騎士団全員にこういう優しさを示せる人だと思うと尊敬するよな……でも、これは僕と家族と王家の問題だしな……)
そこまで考えた時、何故か胸が少し痛い気がしたのはきっと気のせいだ。
「お嫁ちゃんは俺の家族だ。だから、気遣うのも心配するのも当たり前だ。むしろ、そうさせてほしい。後……その団長なんて他人行儀な呼び方もやめてほしい」
まるで愛する恋人にするように言った団長はそのまま僕を昨日のセクシャルな雰囲気とは違うとても真摯な表情で抱きしめた。
その厚い胸板の奧の心臓が早鐘を打っているのが分かった。まるで恋でもしているように。
「あ、でも、だんちょ、えっとその……」
「お嫁ちゃん。その……できれば旦那または名前で呼んでくれると嬉しいのだが……」
少し頬を赤らめながら言われた言葉の意味が最初理解できなかった。
「えっ、それは僕が団長と結婚するということですか!?」
団長はコクリと少し恥ずかしそうに頷いた。この国では男性がほとんどなので同性結婚は普通だ。むしろ王族以外は女性側の相当の希望がなければ普通に同性結婚することが多い。
ただ、先ほどの話からすると、団長は伴侶となる人物を絶対に孕ませられるタイプというとんでもない存在だ。もし僕が、団長の伴侶になった場合、間違いなく孕まされるという訳で……。
「あの、だん……さん、えっと、僕がもしその、貴方と結婚した場合、その……」
「ああ、ふたりの可愛い子供を授かる。個人的には美しいルベルスに似たら良いと思うが……」
幸せそうに家族計画を話す姿は非常にほほえましいが、僕はある恐ろしい事実に気付いていた。
「……あの、僕は普通に男なので、子供を産むときどうなるのですか??」
「ああ、それは尻から……」
団長が言葉を言い終わるより前に僕は発狂した。想像通りそうな答えが返ってきたと思ったのだ。
「いやだぁあああああああああああ!!そんなことしたら尻がふたつに割れます、割れてしまいます!!」
と錯乱のあまり、わけのわからないことを叫んで僕は、寝室から逃げ出した。
(このままではいけない、王家もだめだけど、ここもいけない!!)
しかし、行き場がないぞと思った時だった。
ドスっ!!
何か大きな衝撃が首筋に走る。その衝撃に僕はそのまま意識を失った。意識を失う寸前に、
「ごめんなさい。貴方に恨みはないけど私の幸せのためなのよ」
とどこか女性口調の低い男性の声がした気がしたが、それを考える間もなく完全に意識が途切れてしまった。
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