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18.団長の事実が恐ろしすぎる
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王太子がドヤ顔で言った言葉が理解できず思わずあたまのわるい人のイラストみたいな顔になる僕だったけれど、他の人達はなんか理解しているみたいで神妙な顔つきになった。
「……王太子殿下。確かに辺境伯家には特殊な力がありますが、それと『奇跡の子』は関係ありません」
と団長が言いきった上で、腕の中の僕が見えないようにさらに強く抱きしめられる。団長の逞しい胸筋に完全に押し付けられているため物理的に身動きが取れない。
「そんなはずがあるか!!『男女問わず孕ませられる』その力は、『奇跡の子』を判別できるからだろう!!」
それでもはっきり聞こえるような大きな声で、王太子が告げた辺境伯家の特殊な力には驚いた。
もしそれが事実なら、団長と行為をしたのでもしかしたらワンチャン孕んでしまった可能性があるということだ。
その事実に無意識に自身の臍の下あたりを撫でていると、その様子に気付いた団長が耳元で僕にだけ聞こえるように甘く囁く。
「大丈夫。ちゃんとお嫁ちゃんの意思を確認しない段階で孕ませたりはしないよ。勿論、お嫁ちゃんが望めばいつでもその中にふたりの可愛い子を孕ませよう」
といって僕にだけ見えるように妖艶な笑みを浮かべて首筋にキスをされた。その今の場にそぐわない色香に尻の穴がキュンとした気がしたけれど気のせいだと思いたい。
「おい!!辺境伯令息、ルベルス、『奇跡の子』を離せ!!」
そう怒鳴って今にも向かってきそうな王太子はなんとか胃痛さんに抑えられているようだったが、その様子も気にせず団長は淡々と言った。
「……つまり王太子殿下は『奇跡の子』を判別できるから男でも孕ませられるとお思いということなのですね。しかし、それは事実ではなく憶測です」
「そんな言葉が信じられるか!!ならば証拠を出せ!!」
意味の分からない因縁をつけて激昂する王太子に内心で、『あーあ、これ断罪フラグ完全に立ったよな』などと考えていた時だった。
「殿下、辺境伯令息の言葉は真実でございます」
とても野太い声で、しかしどこか女性的なしゃべり方で答えた人がいた。僕が王太子の後ろから現れたその姿を見た時、思わず「あっ!!」と声を上げてしまった。
王太子に声を掛けたその人物は、僕を陥れた疑惑の人であり王太子の婚約者でもあるスミノフ侯爵令嬢だった。
「……アレクサンドラ、どういうことだ??」
低い声で聞き返した王太子に、スミノフ侯爵令嬢は沈黙した。
(人がいっぱいで収拾がつかなくなってきたな……)
僕が完全に心が離れかけた時、それを察したように団長がいった。
「今の状態ではまともな話し合いになりません。ここは一旦仕切り直しましょう」
団長の提案に意外にも一番断罪、もとい頭に血が上っていただろう王太子も大人しく従ったことには驚いた。しかし、それが、予期せぬ事態になるなどこの時の僕は知る由もなかった。
「……王太子殿下。確かに辺境伯家には特殊な力がありますが、それと『奇跡の子』は関係ありません」
と団長が言いきった上で、腕の中の僕が見えないようにさらに強く抱きしめられる。団長の逞しい胸筋に完全に押し付けられているため物理的に身動きが取れない。
「そんなはずがあるか!!『男女問わず孕ませられる』その力は、『奇跡の子』を判別できるからだろう!!」
それでもはっきり聞こえるような大きな声で、王太子が告げた辺境伯家の特殊な力には驚いた。
もしそれが事実なら、団長と行為をしたのでもしかしたらワンチャン孕んでしまった可能性があるということだ。
その事実に無意識に自身の臍の下あたりを撫でていると、その様子に気付いた団長が耳元で僕にだけ聞こえるように甘く囁く。
「大丈夫。ちゃんとお嫁ちゃんの意思を確認しない段階で孕ませたりはしないよ。勿論、お嫁ちゃんが望めばいつでもその中にふたりの可愛い子を孕ませよう」
といって僕にだけ見えるように妖艶な笑みを浮かべて首筋にキスをされた。その今の場にそぐわない色香に尻の穴がキュンとした気がしたけれど気のせいだと思いたい。
「おい!!辺境伯令息、ルベルス、『奇跡の子』を離せ!!」
そう怒鳴って今にも向かってきそうな王太子はなんとか胃痛さんに抑えられているようだったが、その様子も気にせず団長は淡々と言った。
「……つまり王太子殿下は『奇跡の子』を判別できるから男でも孕ませられるとお思いということなのですね。しかし、それは事実ではなく憶測です」
「そんな言葉が信じられるか!!ならば証拠を出せ!!」
意味の分からない因縁をつけて激昂する王太子に内心で、『あーあ、これ断罪フラグ完全に立ったよな』などと考えていた時だった。
「殿下、辺境伯令息の言葉は真実でございます」
とても野太い声で、しかしどこか女性的なしゃべり方で答えた人がいた。僕が王太子の後ろから現れたその姿を見た時、思わず「あっ!!」と声を上げてしまった。
王太子に声を掛けたその人物は、僕を陥れた疑惑の人であり王太子の婚約者でもあるスミノフ侯爵令嬢だった。
「……アレクサンドラ、どういうことだ??」
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(人がいっぱいで収拾がつかなくなってきたな……)
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「今の状態ではまともな話し合いになりません。ここは一旦仕切り直しましょう」
団長の提案に意外にも一番断罪、もとい頭に血が上っていただろう王太子も大人しく従ったことには驚いた。しかし、それが、予期せぬ事態になるなどこの時の僕は知る由もなかった。
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