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08.親友の弟が想像と違い可愛すぎる(ギーレン(団長)視点)
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「ギーレン団長、例の男の案内を完了しました」
副団長であるヒューが報告しにきてたった一時間後、団長の執務室の外から元気なドナドナが響いてきた。ひとりは門番をしているフレディで、もうひとりは聞き覚えのないどこか少年らしさが残る幼い声だった。
「なんだ、お前らうるさいぞ!!」
隣で仕事をしていたヒューが扉を開いて怒鳴るがマイペースのフレディは気にしている素振りもなくとても艶々なピンクの髪をした思わず息を飲むような美少年を引きずってきていた。
その顔にどことなくレイに似た面影もあることで俺は彼が誰かを悟った。
「フレディ、なぜそいつ……いや、ルベルス・フィッセルをここへ連れて来た??」
王都からここまではとても遠い。しかも王家から隠すために慣れない荷馬車に積まれてくると聞いていた。だから今日は疲れているだろうと騎士宿舎で休ませるように指示を出していた。
つまり何もない日にしたのだ。無理をしても良いことはない。明日から諸々教えれば良いと考えていたのにフレディに詰問すると彼はいつもの緩い調子で返した。
「それは、こいつが逃げようとしてたんで捕まえてきたからですぅ」
「逃亡だと……」
それは想像の斜め上の内容だった。騎士団にとってそれがどれほどの罪になるのか、こいつは理解していないのだろうか、いくら騎士団に入りたくないからと言ってもやってよいことと悪いことがある。
騎士団としての示しもつかないので低い声でルベルスを見ながら問い詰める。
「それは本当か??」
「それは……」
「ギーレン団長、逃亡は騎士団でもっとも重い罪です。理由がなんであれ厳しく裁くべきです」
何故かルベルスの言葉を遮るようにヒューが言った。そこで直感的に何かがあると感じた俺は、少し考えてから答えた。
「そうだな、一度ケツを割って、もとり腹を割って話しをする必要がありそうだ……」
その言葉に満足そうにうなずくヒューと、その横で不満げに佇んでいるフレディと完全に怯えているルベルスという三者三様の反応を確認する。
(ヒューがいない場所につれて行って一旦話を聞くべきだな……)
「ケツを割る?えっ、ケツは既に割れてるのに割る??つまり3つになるの??」
かなり違う観点で怯えているルベルスを引きずって、俺は私室へ向かったが、その道中で恐怖に耐えられなかったらしいルベルスは気を失ってしまった。
会うまでは厳しくしてやろうとしたのに、なぜか恐ろしく庇護欲を掻き立てた。さらに先ほどからまるでスイートピーのような甘い香りがルベルスから漂ってくる。
気絶した体を抱き上げた時、思いのほかに軽いことにも驚いた。まるで内臓が入っていないような重さとその美しさはある種の毒のようで何かを考えそうになる思考を追い出しながら部屋へ連れて行って一度ベッドの上に優しく寝かせた。
(本当に逃亡したら罪に問うしかないが……しかし、レイの弟だ、この後は罰を与えたことにしてどこかに匿うべきだろうか……)
ルベルスが目を覚ました。
「さて、お前は騎士団の規律を乱した罰を受ける必要がある」
わざと脅すような言葉を選んだのは、騎士団内で有るので一応誰が聞いていても問題ないようにだったが、思った以上にルベルスは怯えている。
そして……。
「団長。すいません、僕はその、騎士道に背く行為をしました、とても反省しております……」
と罪を認める自供をはじめた。つまり騎士団が嫌で逃げたということだ。それは予測の範疇ではあるのだがなぜこんな短時間でそこまで考えたのかがわからない。
「そうか。しかし脱走は騎士団にとってもっとも恥ずべき罪だ。だから謝罪だけでは許されないことはわかるな??」
罪を認めたからにはもはや裁くしかない。とはいえ今の状況もあくまで脅しでこの後、ちゃんとネタばらしをしよう。
そう考えたのに、ルベルスは自らの左頬を差し出した。そして……
「はい、なのでその、暴力なら甘んじて受けます、ただ……」
無意識の上目遣いに今まで感じたことのあるのとは違う昂ぶりを感じていた。俺は相手に求められて行為に及ぶことしかなかった。それなのに、今目の前の子に対しては全く違う、雄の本能が刺激されるものを感じ始めていた。
しかし、レイの弟だ、やり過ごさないといけない。
「……お前が騎士団から逃げようとしたのは、王都の女性が恋しいからだろう??しかし、お前はもう王都へ戻ることはない。この辺境地で我々騎士団の一員として一生を奉仕することになる。そのためにはお前が逃げ出したいなどと思わないようにダンケツする必要があるのはわかるな??」
「で、でもだからって、あの僕は……」
「安心しろ。不思議なことに俺は魔性の男と言われている。一度でも俺と寝たものは女を恋しく思うことも無くなるそうだ、だから、お前ももう女のことは忘れてしまえ」
劣情をやりすごすためわざとらしく冗談を言ったのに、ルベルスは本当に泣いている。小さくって可愛い生き物をいじめているようで良心の呵責もあるが……。
「何それ怖い!!そんな扉開きたくないです!!」
泣きなが俺の胸を叩くが、そこに可愛さしかない。
(これは本当にまずい、お願いだこれ以上は……)
「団長を抱くなんて絶対にいやだ!!」
そう叫んだルベルスは本能的なのか無意識なのか、何故か俺のイチモツを掴んだのだ。その刺激に俺は忘れていた、雄としての本能を完全に呼び覚まされてしまった。
(この可愛い子は俺の……嫁ちゃんだ)
副団長であるヒューが報告しにきてたった一時間後、団長の執務室の外から元気なドナドナが響いてきた。ひとりは門番をしているフレディで、もうひとりは聞き覚えのないどこか少年らしさが残る幼い声だった。
「なんだ、お前らうるさいぞ!!」
隣で仕事をしていたヒューが扉を開いて怒鳴るがマイペースのフレディは気にしている素振りもなくとても艶々なピンクの髪をした思わず息を飲むような美少年を引きずってきていた。
その顔にどことなくレイに似た面影もあることで俺は彼が誰かを悟った。
「フレディ、なぜそいつ……いや、ルベルス・フィッセルをここへ連れて来た??」
王都からここまではとても遠い。しかも王家から隠すために慣れない荷馬車に積まれてくると聞いていた。だから今日は疲れているだろうと騎士宿舎で休ませるように指示を出していた。
つまり何もない日にしたのだ。無理をしても良いことはない。明日から諸々教えれば良いと考えていたのにフレディに詰問すると彼はいつもの緩い調子で返した。
「それは、こいつが逃げようとしてたんで捕まえてきたからですぅ」
「逃亡だと……」
それは想像の斜め上の内容だった。騎士団にとってそれがどれほどの罪になるのか、こいつは理解していないのだろうか、いくら騎士団に入りたくないからと言ってもやってよいことと悪いことがある。
騎士団としての示しもつかないので低い声でルベルスを見ながら問い詰める。
「それは本当か??」
「それは……」
「ギーレン団長、逃亡は騎士団でもっとも重い罪です。理由がなんであれ厳しく裁くべきです」
何故かルベルスの言葉を遮るようにヒューが言った。そこで直感的に何かがあると感じた俺は、少し考えてから答えた。
「そうだな、一度ケツを割って、もとり腹を割って話しをする必要がありそうだ……」
その言葉に満足そうにうなずくヒューと、その横で不満げに佇んでいるフレディと完全に怯えているルベルスという三者三様の反応を確認する。
(ヒューがいない場所につれて行って一旦話を聞くべきだな……)
「ケツを割る?えっ、ケツは既に割れてるのに割る??つまり3つになるの??」
かなり違う観点で怯えているルベルスを引きずって、俺は私室へ向かったが、その道中で恐怖に耐えられなかったらしいルベルスは気を失ってしまった。
会うまでは厳しくしてやろうとしたのに、なぜか恐ろしく庇護欲を掻き立てた。さらに先ほどからまるでスイートピーのような甘い香りがルベルスから漂ってくる。
気絶した体を抱き上げた時、思いのほかに軽いことにも驚いた。まるで内臓が入っていないような重さとその美しさはある種の毒のようで何かを考えそうになる思考を追い出しながら部屋へ連れて行って一度ベッドの上に優しく寝かせた。
(本当に逃亡したら罪に問うしかないが……しかし、レイの弟だ、この後は罰を与えたことにしてどこかに匿うべきだろうか……)
ルベルスが目を覚ました。
「さて、お前は騎士団の規律を乱した罰を受ける必要がある」
わざと脅すような言葉を選んだのは、騎士団内で有るので一応誰が聞いていても問題ないようにだったが、思った以上にルベルスは怯えている。
そして……。
「団長。すいません、僕はその、騎士道に背く行為をしました、とても反省しております……」
と罪を認める自供をはじめた。つまり騎士団が嫌で逃げたということだ。それは予測の範疇ではあるのだがなぜこんな短時間でそこまで考えたのかがわからない。
「そうか。しかし脱走は騎士団にとってもっとも恥ずべき罪だ。だから謝罪だけでは許されないことはわかるな??」
罪を認めたからにはもはや裁くしかない。とはいえ今の状況もあくまで脅しでこの後、ちゃんとネタばらしをしよう。
そう考えたのに、ルベルスは自らの左頬を差し出した。そして……
「はい、なのでその、暴力なら甘んじて受けます、ただ……」
無意識の上目遣いに今まで感じたことのあるのとは違う昂ぶりを感じていた。俺は相手に求められて行為に及ぶことしかなかった。それなのに、今目の前の子に対しては全く違う、雄の本能が刺激されるものを感じ始めていた。
しかし、レイの弟だ、やり過ごさないといけない。
「……お前が騎士団から逃げようとしたのは、王都の女性が恋しいからだろう??しかし、お前はもう王都へ戻ることはない。この辺境地で我々騎士団の一員として一生を奉仕することになる。そのためにはお前が逃げ出したいなどと思わないようにダンケツする必要があるのはわかるな??」
「で、でもだからって、あの僕は……」
「安心しろ。不思議なことに俺は魔性の男と言われている。一度でも俺と寝たものは女を恋しく思うことも無くなるそうだ、だから、お前ももう女のことは忘れてしまえ」
劣情をやりすごすためわざとらしく冗談を言ったのに、ルベルスは本当に泣いている。小さくって可愛い生き物をいじめているようで良心の呵責もあるが……。
「何それ怖い!!そんな扉開きたくないです!!」
泣きなが俺の胸を叩くが、そこに可愛さしかない。
(これは本当にまずい、お願いだこれ以上は……)
「団長を抱くなんて絶対にいやだ!!」
そう叫んだルベルスは本能的なのか無意識なのか、何故か俺のイチモツを掴んだのだ。その刺激に俺は忘れていた、雄としての本能を完全に呼び覚まされてしまった。
(この可愛い子は俺の……嫁ちゃんだ)
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