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02.王太子の感情がわからなすぎる
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兄者は僕の顔を真剣なまなざしで見つめながら少しずつ考えながら話はじめた。
「確かに、スミノフ侯爵令嬢はお前より背が高いから好みではないだろうな。そして、その表情を見るに嘘もついていないようだ」
真剣な眼差しで僕を頭から足先まで見た後で、兄者は大きくため息をついた。
「……実はこの後、話そうと思っていたのだけれどお前に対して王太子殿下から処罰をさせろという申し出が来ている。それについてこちら側で厳重に処罰すると一旦保留にしている状態だが、スミノフ侯爵令嬢へは実はお咎めがまるでない状態なのは不審に思っていところだ」
兄者の言葉に思わず目を見開く。
いくら希少な女性とはいえスミノフ侯爵令嬢は、王太子を裏切ったことになるのだ。そうであれば通常は婚約者を外されて下位貴族に下げ渡されるのが慣習である中でそれがないというのは流石に不自然だってことは下半身特化型であまり賢くない僕でも分かった。
「それって……王太子とスミノフ侯爵令嬢が繋がっているってことですか??あ、そういえばあの日……確か、僕は……」
謎のベッドイン騒動の日の最後の記憶は、確かあんまり覚えてないけど誰かから渡された酒を飲んだ瞬間に激しい眠気に襲われて、気付いたらあの状態になっていたのだ。
その話を静かに聞いていた兄者はそれはもう見事なまでのため息をついてから、僕に対して悲しい眼差しを向けてきた。
「間違いない。完全にお前ははめられたな。けれど、その証拠は今すぐには出すことはできないだろう……」
兄者は僕と違い侯爵家の跡取りであり、とても頭が良くて普段はクールらしいけど弟の僕にとても優しい人だ。
母親の命を奪って生まれたことで、父親からは生まれた時から嫌われていた僕にとって唯一頼れる存在が兄者だけだった。
それはモテるのもあるけど、家に居場所がなくって女性の家にヒモのように転々と住み着いていた僕に対しても定期てきに援助やらなんなら、迷惑をかけているかもしれないからとその女性宅に出向いて諸々の補填をしてくれていたのも兄者だった。
つまりいままでに尻ぬぐいはぼぼ、兄者がしてくれていた。けれど今回はそれが難しいということがわかり、けれどいつもの自分が有罪な事案と違って無実であるため、やるせない気持ちになった。
「そんな……王太子なんかに差し出されたら僕どうなるんだろう……」
脳内に残念なイケメンの王太子の姿が浮かぶ。実は僕の亡くなった母は、現王妃様の妹にあたる。なので、僕とあいつは従兄弟なのだけれど、昔からあいつはなぜか事あるごとに僕に絡んでくる面倒な存在だった。
「……そうだな、あいつはルベルスが好きだから多分監禁されて……」
「いや、ちょっと待って兄者、何言ってんですか??あいつは僕のこと嫌いですよね??ウザ絡みしてくるし、なんならあいつが好きだった女の子だって何回か奪ってますし……」
兄者が当たり前のようにあり得なくて恐ろしいことを言うので叫んだが、それに対して呆れたように答えた。
「違う。お前が好きだからお前が好きな女性を誘惑して引き剥がそうとして失敗していただけだ。お前はあいつがお前をはじめて見た時何と言ったか覚えてないのか??」
その言葉に、宵の記憶は女性関連以外忘れてしまう質のため、適当に笑ってごまかそうとしたら兄者が何か可哀そうなものをみるような目をしながら続けた。
「お前を少女と誤解して『ぼくの妃になってほしい』って告白してきただろう……。それをお前が『うーん、かんがえとくね』って答えて、それから私が誤解を解くまでどれほど面倒だったか……」
「でも、兄者が誤解解いたなら、王太子も僕が男って分かったから問題ないのでは??」
兄者はあいつが僕のこと好きだなんて怖いこと言ってるけど、いままでのいざこざを考えれば恨まれてることはあっても好かれてなんかいないと思った。
「まぁ、何にしてもお前をどこか安全なところに避難させないと、王太子に監禁されて一生出れないだろうからそれを阻止すべく、お前を辺境の地の騎士団に入団させるつもりだ」
「確かに、スミノフ侯爵令嬢はお前より背が高いから好みではないだろうな。そして、その表情を見るに嘘もついていないようだ」
真剣な眼差しで僕を頭から足先まで見た後で、兄者は大きくため息をついた。
「……実はこの後、話そうと思っていたのだけれどお前に対して王太子殿下から処罰をさせろという申し出が来ている。それについてこちら側で厳重に処罰すると一旦保留にしている状態だが、スミノフ侯爵令嬢へは実はお咎めがまるでない状態なのは不審に思っていところだ」
兄者の言葉に思わず目を見開く。
いくら希少な女性とはいえスミノフ侯爵令嬢は、王太子を裏切ったことになるのだ。そうであれば通常は婚約者を外されて下位貴族に下げ渡されるのが慣習である中でそれがないというのは流石に不自然だってことは下半身特化型であまり賢くない僕でも分かった。
「それって……王太子とスミノフ侯爵令嬢が繋がっているってことですか??あ、そういえばあの日……確か、僕は……」
謎のベッドイン騒動の日の最後の記憶は、確かあんまり覚えてないけど誰かから渡された酒を飲んだ瞬間に激しい眠気に襲われて、気付いたらあの状態になっていたのだ。
その話を静かに聞いていた兄者はそれはもう見事なまでのため息をついてから、僕に対して悲しい眼差しを向けてきた。
「間違いない。完全にお前ははめられたな。けれど、その証拠は今すぐには出すことはできないだろう……」
兄者は僕と違い侯爵家の跡取りであり、とても頭が良くて普段はクールらしいけど弟の僕にとても優しい人だ。
母親の命を奪って生まれたことで、父親からは生まれた時から嫌われていた僕にとって唯一頼れる存在が兄者だけだった。
それはモテるのもあるけど、家に居場所がなくって女性の家にヒモのように転々と住み着いていた僕に対しても定期てきに援助やらなんなら、迷惑をかけているかもしれないからとその女性宅に出向いて諸々の補填をしてくれていたのも兄者だった。
つまりいままでに尻ぬぐいはぼぼ、兄者がしてくれていた。けれど今回はそれが難しいということがわかり、けれどいつもの自分が有罪な事案と違って無実であるため、やるせない気持ちになった。
「そんな……王太子なんかに差し出されたら僕どうなるんだろう……」
脳内に残念なイケメンの王太子の姿が浮かぶ。実は僕の亡くなった母は、現王妃様の妹にあたる。なので、僕とあいつは従兄弟なのだけれど、昔からあいつはなぜか事あるごとに僕に絡んでくる面倒な存在だった。
「……そうだな、あいつはルベルスが好きだから多分監禁されて……」
「いや、ちょっと待って兄者、何言ってんですか??あいつは僕のこと嫌いですよね??ウザ絡みしてくるし、なんならあいつが好きだった女の子だって何回か奪ってますし……」
兄者が当たり前のようにあり得なくて恐ろしいことを言うので叫んだが、それに対して呆れたように答えた。
「違う。お前が好きだからお前が好きな女性を誘惑して引き剥がそうとして失敗していただけだ。お前はあいつがお前をはじめて見た時何と言ったか覚えてないのか??」
その言葉に、宵の記憶は女性関連以外忘れてしまう質のため、適当に笑ってごまかそうとしたら兄者が何か可哀そうなものをみるような目をしながら続けた。
「お前を少女と誤解して『ぼくの妃になってほしい』って告白してきただろう……。それをお前が『うーん、かんがえとくね』って答えて、それから私が誤解を解くまでどれほど面倒だったか……」
「でも、兄者が誤解解いたなら、王太子も僕が男って分かったから問題ないのでは??」
兄者はあいつが僕のこと好きだなんて怖いこと言ってるけど、いままでのいざこざを考えれば恨まれてることはあっても好かれてなんかいないと思った。
「まぁ、何にしてもお前をどこか安全なところに避難させないと、王太子に監禁されて一生出れないだろうからそれを阻止すべく、お前を辺境の地の騎士団に入団させるつもりだ」
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