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01.はめられた女たらし
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「ルベルス・フィッセル侯爵令息、貴様は彼女が私、この国の王太子とすでに婚約関係だと知っているだろう、それなのに閨を共にするとは!!」
目の前で怒り心頭な金髪碧眼のそこそこのイケメン面を眺めながらも未だ僕の頭はぼんやりしていた。
霧がかったような思考回路のまま見渡せば豪奢なベッドの上に一糸纏わぬ僕と女の子?がいた。
「えっ??だれぇ??」
朦朧としていたため思わず口から漏れたのは、甘えたような声だった。
その反応になぜか少し顔を赤らめた残念な金髪碧眼は続けた。
「この罪は償わせないといけない、追って沙汰をやるから覚えておけ!!」
言いたいことだけがなり立てると隣で裸で寝ていた女の子?の腕を無理やり引いて残念イケメンはドカドカと足音を立てて姿を消した。
「まっ、いっか……」
多分、本当は良くないけどその時の僕の頭はオフトゥンの誘惑に勝てなかったのでそのまま吸い込まれるように眠ってしまった。
しかし、まさかそれが地獄の始まりになるなんて知る由もなかった。
****
「なんてことをしてくれたんだ!!」
艶のある黒髪に碧眼の美形な僕の実兄レイモンド・フィッセルが普段の冷静さを完全に失った憤怒の表情で睨んでいる。
普段はクールだがとても優しい兄者の見たことない表情に恐怖して、なんとかいつもの兄者に戻したくて弁明しようと言葉をひねり出す。
「いや、本当に記憶がなくって……」
「それで許されるなら査問委員会はいらない。お前はよりにもよって、王太子殿下の婚約者に内約した女性に手をだしたのだ。今までの火遊びのようにはすまないぞ」
そう言って深いため息を吐いた兄者の眉間には深い皺が刻まれていた。
この国では女性は希少で人口比は男女9:1となっている。
そのため基本的に女性は保護対象であり、基本的には貴族の家で大切に養育された。
さらに、その女性と子を成せるのは王族または伯爵位までの上位貴族のみとなっていた。
なお、それ以外は一生婚姻も女性とも無縁になる。子供自体は女性が出産する以外でも子落としの大樹という木から生まれてくるので問題はないが、子落としの大樹は男子しか産み落とせない。
そのため、ほとんどの国民は大樹から生まれた男子であり、大樹から生まれた子は気まぐれに精霊に連れ去られるとされているため、基本的には平民や替えがきく役職にしかつくことができない決まりとなっている。
そして、その事情から王族以外は女性と婚姻できないのだが王都に住むうちのような高位貴族は女性の許可があれば行為に及べて、自身の子なら貰い受ける権利があった。
侯爵家の次男の僕は権利はあるが優先度は低いのだけれど、僕が母性をくすぐるピンクブロンドの艶々の髪にアレクサンドライトに例えられる美しい瞳の持ち主であったためめちゃくちゃモテモテで流されるままに、王都の大体全女性と寝たくらいモテた。
しかし、全ては女性が、同意の上ならある条件に当てはまる女性以外なら問題ないはずだった。
今回、兄者がキレているのは王太子に内約した女性、正確にはスミノフ侯爵令嬢に僕が手をだしたことが原因なのだが、それには僕は意を唱えたい。
なぜならスミノフ侯爵令嬢は申し訳ないが僕の好みでなかったのだ。
スミノフ侯爵令嬢は男性的ななんだろう、こうムキムキしたそこらの男より強そうな高身長の令嬢で女の子?という雰囲気なのだ。
僕が好む丸みのある女性的な令嬢ではなかった。
だから、誘われてもやんわり断るタイプのはずがなぜかベッドインしていたという状況に今だに疑問が残っていた。
「兄者、僕はスミノフ侯爵令嬢を抱いたりしません。でもなぜかあの日、王太子が踏み込んで来た時に閨を共にしていたのです」
泣きそうになりながら僕が告げると、兄者は沈黙して僕を観察するように見つめた。
「その言葉に嘘はないか??」
「はい!!僕は彼女が好みでないのです!!」
その言葉に、兄者はしばらく思案してから一言、神妙な面持ちで告げた。
「はめられたな」
目の前で怒り心頭な金髪碧眼のそこそこのイケメン面を眺めながらも未だ僕の頭はぼんやりしていた。
霧がかったような思考回路のまま見渡せば豪奢なベッドの上に一糸纏わぬ僕と女の子?がいた。
「えっ??だれぇ??」
朦朧としていたため思わず口から漏れたのは、甘えたような声だった。
その反応になぜか少し顔を赤らめた残念な金髪碧眼は続けた。
「この罪は償わせないといけない、追って沙汰をやるから覚えておけ!!」
言いたいことだけがなり立てると隣で裸で寝ていた女の子?の腕を無理やり引いて残念イケメンはドカドカと足音を立てて姿を消した。
「まっ、いっか……」
多分、本当は良くないけどその時の僕の頭はオフトゥンの誘惑に勝てなかったのでそのまま吸い込まれるように眠ってしまった。
しかし、まさかそれが地獄の始まりになるなんて知る由もなかった。
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「なんてことをしてくれたんだ!!」
艶のある黒髪に碧眼の美形な僕の実兄レイモンド・フィッセルが普段の冷静さを完全に失った憤怒の表情で睨んでいる。
普段はクールだがとても優しい兄者の見たことない表情に恐怖して、なんとかいつもの兄者に戻したくて弁明しようと言葉をひねり出す。
「いや、本当に記憶がなくって……」
「それで許されるなら査問委員会はいらない。お前はよりにもよって、王太子殿下の婚約者に内約した女性に手をだしたのだ。今までの火遊びのようにはすまないぞ」
そう言って深いため息を吐いた兄者の眉間には深い皺が刻まれていた。
この国では女性は希少で人口比は男女9:1となっている。
そのため基本的に女性は保護対象であり、基本的には貴族の家で大切に養育された。
さらに、その女性と子を成せるのは王族または伯爵位までの上位貴族のみとなっていた。
なお、それ以外は一生婚姻も女性とも無縁になる。子供自体は女性が出産する以外でも子落としの大樹という木から生まれてくるので問題はないが、子落としの大樹は男子しか産み落とせない。
そのため、ほとんどの国民は大樹から生まれた男子であり、大樹から生まれた子は気まぐれに精霊に連れ去られるとされているため、基本的には平民や替えがきく役職にしかつくことができない決まりとなっている。
そして、その事情から王族以外は女性と婚姻できないのだが王都に住むうちのような高位貴族は女性の許可があれば行為に及べて、自身の子なら貰い受ける権利があった。
侯爵家の次男の僕は権利はあるが優先度は低いのだけれど、僕が母性をくすぐるピンクブロンドの艶々の髪にアレクサンドライトに例えられる美しい瞳の持ち主であったためめちゃくちゃモテモテで流されるままに、王都の大体全女性と寝たくらいモテた。
しかし、全ては女性が、同意の上ならある条件に当てはまる女性以外なら問題ないはずだった。
今回、兄者がキレているのは王太子に内約した女性、正確にはスミノフ侯爵令嬢に僕が手をだしたことが原因なのだが、それには僕は意を唱えたい。
なぜならスミノフ侯爵令嬢は申し訳ないが僕の好みでなかったのだ。
スミノフ侯爵令嬢は男性的ななんだろう、こうムキムキしたそこらの男より強そうな高身長の令嬢で女の子?という雰囲気なのだ。
僕が好む丸みのある女性的な令嬢ではなかった。
だから、誘われてもやんわり断るタイプのはずがなぜかベッドインしていたという状況に今だに疑問が残っていた。
「兄者、僕はスミノフ侯爵令嬢を抱いたりしません。でもなぜかあの日、王太子が踏み込んで来た時に閨を共にしていたのです」
泣きそうになりながら僕が告げると、兄者は沈黙して僕を観察するように見つめた。
「その言葉に嘘はないか??」
「はい!!僕は彼女が好みでないのです!!」
その言葉に、兄者はしばらく思案してから一言、神妙な面持ちで告げた。
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