73 / 74
70:閉ざされた街とついにスキルを使う時
しおりを挟む
棒の消毒作業を終えた拙者とレイは、そのままその棒をレイの魔法で格納してその足で店を出たのだが、そこでありえない光景を目にすることになった。
「嘘でござろう??」
先ほどまである程度の人でにぎわっていた通りから人が消えていた。そして、その代わりに明らかに何者かに荒らされたような略奪の跡が残されていた。
「これは……」
「少年、無事だったか」
といきなり尻から棒を出した人、もといダン殿がどこから出て来たか知らないが、こちらへやってきた。
「これは一体、何があったでござるか??」
「実はこの街に騎士どもが来て、戦いのための物資調達だと言いながら略奪していったんだ」
「騎士……帝国の??」
そう聞いたレイに対して、ダン殿は横に首を振りそして悲し気な顔で答えた。
「いや、違う。王国の連中、イスカリオテ侯爵家の騎士団だと聞いている」
「……イスカリオテ。まさか……」
レイの顔色が悪くなるのが分かる。それもそうだろう。レイのダッチワ〇フでソロプレイするようなご仁がいる家庭なのでその嫌な記憶が蘇れば当然怖いという気持ちが湧くのは仕方ない。
「レイ、大丈夫でござるよ、拙者がいるでござるから」
精一杯キリっとした顔をして、レイの手をはじめて拙者から握りしめた。しかし、推しの手を握るとか握手会くらいしか経験がないので内心で心臓がバクバクしていたけれど、それを悟られるのはクールではないので必死に我慢する。
「ルシオン。ありがとう。私もいつまでも逃げている訳にはいかない。落とし前はつけないといけない」
「レイ……」
思わずふたりで見つめ合いいい雰囲気になったその時……。
「くさぁああああああああ!!!うっ、悪い。俺はなんかそういう甘い空気が駄目なんだ。もっとこうシモいのは平気だけど青春真っ盛りの美しい恋愛とか無理なんだくそおおおおおおおおおっ!!ドラゴンバ〇ブふたりともぶち込んでやろうか!!!」
と空気をぶち壊す叫びをダン殿が上げた。間違いない。この尻から棒を産む人は某ふんどし履いた風属性の精霊タイプの人、いや竜族だと。
「いや、拙者まだそういう領域には達していないので結構でござる」
「私も、ルシオン以外に挿入するのもされるのもいやだ」
「よし、いやらしい空気に変わったな、これなら俺も空気が吸えるぜ」
色々、ぐちゃぐちゃになったが、一旦冷静に状況を整理した。
「……ルシオン、ここは危険だ。一旦家に戻ろう」
「今この辺りは通常魔法が使えないぜ。使えるのはスキルだけだ。イスカリオテの連中がこの辺の略奪のために魔法禁止の結界を張ってやがるからな」
魔法禁止の結界内ではスキル以外の魔法が使用できなくなることは、確かどこかで習ったことがあった。その魔法が張り巡らされた状態では通常魔法の瞬間移動は使用できない。
「ならば、イスカリオテの騎士をどうにかしないといけないようだが……」
あの後場所を移動して気付いたのはところどころでまだ騎士が略奪を繰り返していること、見つかればただではすまないこと、この場所を去るにはたったひとつしかないゲートをくぐる必要があるがそこのは沢山の騎士が配備されているという事実だった。
この状況の中で、いつも頼りになるレイが困ったような顔をしている。
その理由はレイのスキルによるものでもある。レイのスキルは実はまだ目覚めていない。この国で一番強い魔力を持つレイだがそれ故にスキルは不要だったこともあり今までそれを気にかけたことはなかったのだ。
「レイ大丈夫でござる。拙者に任せてくだされ。ダン殿がうみ……いや作った棒もあるので一度拙者の力を試させて頂きたい」
「ルシオン??」
拙者は隠れていた場所から歩み出て、騎士達の側へ歩み出た。
「なんだ、お前……んんっ??まさかルシオン殿下??」
こちらを見ている、騎士の前で拙者は静かに目を閉じる。……そして、
『スキル発動、魅了∞。コンサート開幕!!』
と自分でもどこから出たのかという位の綺麗な声、表現するなら普段の声がジャイア〇だとしたら、綺麗なジャイア〇位の差があるだろうくらい綺麗な声でそう叫び、脳内に鳴り響くメロディに合わせて拙者は踊りそして歌ったのだった。
「嘘でござろう??」
先ほどまである程度の人でにぎわっていた通りから人が消えていた。そして、その代わりに明らかに何者かに荒らされたような略奪の跡が残されていた。
「これは……」
「少年、無事だったか」
といきなり尻から棒を出した人、もといダン殿がどこから出て来たか知らないが、こちらへやってきた。
「これは一体、何があったでござるか??」
「実はこの街に騎士どもが来て、戦いのための物資調達だと言いながら略奪していったんだ」
「騎士……帝国の??」
そう聞いたレイに対して、ダン殿は横に首を振りそして悲し気な顔で答えた。
「いや、違う。王国の連中、イスカリオテ侯爵家の騎士団だと聞いている」
「……イスカリオテ。まさか……」
レイの顔色が悪くなるのが分かる。それもそうだろう。レイのダッチワ〇フでソロプレイするようなご仁がいる家庭なのでその嫌な記憶が蘇れば当然怖いという気持ちが湧くのは仕方ない。
「レイ、大丈夫でござるよ、拙者がいるでござるから」
精一杯キリっとした顔をして、レイの手をはじめて拙者から握りしめた。しかし、推しの手を握るとか握手会くらいしか経験がないので内心で心臓がバクバクしていたけれど、それを悟られるのはクールではないので必死に我慢する。
「ルシオン。ありがとう。私もいつまでも逃げている訳にはいかない。落とし前はつけないといけない」
「レイ……」
思わずふたりで見つめ合いいい雰囲気になったその時……。
「くさぁああああああああ!!!うっ、悪い。俺はなんかそういう甘い空気が駄目なんだ。もっとこうシモいのは平気だけど青春真っ盛りの美しい恋愛とか無理なんだくそおおおおおおおおおっ!!ドラゴンバ〇ブふたりともぶち込んでやろうか!!!」
と空気をぶち壊す叫びをダン殿が上げた。間違いない。この尻から棒を産む人は某ふんどし履いた風属性の精霊タイプの人、いや竜族だと。
「いや、拙者まだそういう領域には達していないので結構でござる」
「私も、ルシオン以外に挿入するのもされるのもいやだ」
「よし、いやらしい空気に変わったな、これなら俺も空気が吸えるぜ」
色々、ぐちゃぐちゃになったが、一旦冷静に状況を整理した。
「……ルシオン、ここは危険だ。一旦家に戻ろう」
「今この辺りは通常魔法が使えないぜ。使えるのはスキルだけだ。イスカリオテの連中がこの辺の略奪のために魔法禁止の結界を張ってやがるからな」
魔法禁止の結界内ではスキル以外の魔法が使用できなくなることは、確かどこかで習ったことがあった。その魔法が張り巡らされた状態では通常魔法の瞬間移動は使用できない。
「ならば、イスカリオテの騎士をどうにかしないといけないようだが……」
あの後場所を移動して気付いたのはところどころでまだ騎士が略奪を繰り返していること、見つかればただではすまないこと、この場所を去るにはたったひとつしかないゲートをくぐる必要があるがそこのは沢山の騎士が配備されているという事実だった。
この状況の中で、いつも頼りになるレイが困ったような顔をしている。
その理由はレイのスキルによるものでもある。レイのスキルは実はまだ目覚めていない。この国で一番強い魔力を持つレイだがそれ故にスキルは不要だったこともあり今までそれを気にかけたことはなかったのだ。
「レイ大丈夫でござる。拙者に任せてくだされ。ダン殿がうみ……いや作った棒もあるので一度拙者の力を試させて頂きたい」
「ルシオン??」
拙者は隠れていた場所から歩み出て、騎士達の側へ歩み出た。
「なんだ、お前……んんっ??まさかルシオン殿下??」
こちらを見ている、騎士の前で拙者は静かに目を閉じる。……そして、
『スキル発動、魅了∞。コンサート開幕!!』
と自分でもどこから出たのかという位の綺麗な声、表現するなら普段の声がジャイア〇だとしたら、綺麗なジャイア〇位の差があるだろうくらい綺麗な声でそう叫び、脳内に鳴り響くメロディに合わせて拙者は踊りそして歌ったのだった。
0
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て運命の相手を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
────────────
※感想、いいね大歓迎です!!
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる