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62:ヤンデレ強化とかいう怖い話
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「ルシオンの尻の中から取り除かれたものを他人に渡すなんてだめだ、ルシオンの全てを渡したくない」
ヤンデレと化したレイが焦点の合わない目でこちらを見つめている。
拙者の尻の中の玉を取り合うふたりの泥仕合が幕を開けようとした時だった。
「レイモンド、やめなさい」
そう言って、カルナック公爵が部屋を訪れた。どうやらレオンハルト殿と一緒に部屋に来ていたようだが、尻の中の玉を取り合うあまりに視界に入っていなかったらしい。
「しかし、父上。最愛の人の一部を他人に渡したいと思いますか??」
汚れなき眼でそう言い切るレイ。しかし、その理論だと拙者の排泄物、分泌液まで対象となる気がしてちょっとこわ過ぎるのでござるが……。
「やめなさい。お前の発言にルシオンがドン引きしている。そもそも、お前を助けるために辺境伯閣下はお力添え下さり意識を失われているのだ。だから、大人しくルシオンの尻の中の……何かをレオンハルト師団長に渡さなければいけない」
流石、父親だけあって息子にピシっと言って聞かせてくださりカルナック公爵への印象がグンとよくなったところで、レオンハルト殿が畳みかけた。
「そうです。私の主は誰よりもルシオン殿下と小公爵様との幸せを願い、御身を犠牲にされたのです。だから、ルシオン殿下の尻の中の玉を返却頂きたく」
(尻の中の玉というと物凄く、某妖怪の好物である尻子玉みがあるのだが、むしろ河童殿も緑色の顔面をされているので竜族の子孫疑惑が微レ存あるのでは)
「ルシオン、カッパどのとは君を奪いに来る存在か??ああ、そいつも君の尻の中をねらっているのか??ルシオンが美しく可愛いからみんなしてその尻の中を狙うのか??」
独り言を口にしていたらしい拙者に、レイが険しい顔で言った。レイの『浮気』に関する強迫が解けていない状態であるのが大変ややこしい気がしてきた。
「その、カルナック公爵、レオンハルト殿。そもそもレイは今『強迫』の状態異常のままでござる。これが解ければ問題ないと思うのだが……」
そうすれば、『強迫』によりヤンデレ化したレイが元に戻り正常な判断力を取り戻すし、そもそもこのままではレイがいつ発作的な衝動に駆られてしまうかもわからない。
しかし、その言葉にふたりの表情が暗くなる。
「それが出来れば良いのだが、『強迫』も『暗示』もほぼ禁忌の魔法でそれを取り除くにはさらに強い力で上書きをしないといけないのだ。しかし、それほどの力の使い手はレオンハルト師団長くらいしかいないが……」
「つまり、他の事柄で上書きすれば良いということでござるか……」
ただ、それでは根本的な解決になっていない気がした。
「一応、私は上書きすることができなくもないが、その場合、『強迫』よりやっかいな状態になる可能性があって……」
レオンハルト殿が大変言い難そうに言った。むしろレオンハルト殿はどんな能力を持っているというのか……。レイにかけさえるつもりはないが大変気になった。
「レオンハルト殿のその能力はどういったものでござるか??」
「それは……『執着』というもので相手の心の中にある……」
「あっ、だめでござるね。それ今レイにかけたら尻子玉の件がもっとややこしくなるし、ヤンデレにバフがかかってしまうでござる。とりあえず、拙者は一旦お花を摘んで参るのでその後にもう少し良い策を考えさせていただこう」
とりあえず、尻の中のそれを渡すために、今度はしっかり厠に向かう。この間のように時間がないとはいえ人の家で催した人と勘違いされたくはなかった。
「ルシオン、私も一緒に行こう」
何故か一緒についてこようとしたレイに拙者は笑顔で首を横に振る。
「流石に連れションは微妙でござる」
「違うよ、むしろ個室にふたりで……」
「絶対だめでござる。まだ拙者とレイは清い関係でござるから」
「清くない関係でもトイレの個室にふたりで入るのはだめだ」
カルナック公爵が拙者達に突っ込んだところでとりあえず、ひとり厠へ行った。
カルナック公爵邸の厠は婚約者時代によく来ていたので、慣れた場所だった。地味にこの世界は厠が前世より発達しておらずウォシュレット機能付きの温座が懐かしい気持ちになりながらまず尻の中のそれを取り出そうと指を挿れた、が……。
「うっ……んっ、思ったより……ふかぃ」
だいぶ奥に入っていたみたいで簡単にとることができない。
「……これは、何か潤滑油が必要か??」
そう考えた時、個室の下に空いていた隙間から潤滑油として使用されている椿油の瓶が差し込まれた。
「えっ??だ、誰かいるでござるか??レイ??」
しかし、誰も答えない。代わりに1枚の紙が差し込まれた。
『レオンハルトです。声を出すと小公爵様に気付かれますのでメモで失礼します』
という返事が書かれていた。
ヤンデレと化したレイが焦点の合わない目でこちらを見つめている。
拙者の尻の中の玉を取り合うふたりの泥仕合が幕を開けようとした時だった。
「レイモンド、やめなさい」
そう言って、カルナック公爵が部屋を訪れた。どうやらレオンハルト殿と一緒に部屋に来ていたようだが、尻の中の玉を取り合うあまりに視界に入っていなかったらしい。
「しかし、父上。最愛の人の一部を他人に渡したいと思いますか??」
汚れなき眼でそう言い切るレイ。しかし、その理論だと拙者の排泄物、分泌液まで対象となる気がしてちょっとこわ過ぎるのでござるが……。
「やめなさい。お前の発言にルシオンがドン引きしている。そもそも、お前を助けるために辺境伯閣下はお力添え下さり意識を失われているのだ。だから、大人しくルシオンの尻の中の……何かをレオンハルト師団長に渡さなければいけない」
流石、父親だけあって息子にピシっと言って聞かせてくださりカルナック公爵への印象がグンとよくなったところで、レオンハルト殿が畳みかけた。
「そうです。私の主は誰よりもルシオン殿下と小公爵様との幸せを願い、御身を犠牲にされたのです。だから、ルシオン殿下の尻の中の玉を返却頂きたく」
(尻の中の玉というと物凄く、某妖怪の好物である尻子玉みがあるのだが、むしろ河童殿も緑色の顔面をされているので竜族の子孫疑惑が微レ存あるのでは)
「ルシオン、カッパどのとは君を奪いに来る存在か??ああ、そいつも君の尻の中をねらっているのか??ルシオンが美しく可愛いからみんなしてその尻の中を狙うのか??」
独り言を口にしていたらしい拙者に、レイが険しい顔で言った。レイの『浮気』に関する強迫が解けていない状態であるのが大変ややこしい気がしてきた。
「その、カルナック公爵、レオンハルト殿。そもそもレイは今『強迫』の状態異常のままでござる。これが解ければ問題ないと思うのだが……」
そうすれば、『強迫』によりヤンデレ化したレイが元に戻り正常な判断力を取り戻すし、そもそもこのままではレイがいつ発作的な衝動に駆られてしまうかもわからない。
しかし、その言葉にふたりの表情が暗くなる。
「それが出来れば良いのだが、『強迫』も『暗示』もほぼ禁忌の魔法でそれを取り除くにはさらに強い力で上書きをしないといけないのだ。しかし、それほどの力の使い手はレオンハルト師団長くらいしかいないが……」
「つまり、他の事柄で上書きすれば良いということでござるか……」
ただ、それでは根本的な解決になっていない気がした。
「一応、私は上書きすることができなくもないが、その場合、『強迫』よりやっかいな状態になる可能性があって……」
レオンハルト殿が大変言い難そうに言った。むしろレオンハルト殿はどんな能力を持っているというのか……。レイにかけさえるつもりはないが大変気になった。
「レオンハルト殿のその能力はどういったものでござるか??」
「それは……『執着』というもので相手の心の中にある……」
「あっ、だめでござるね。それ今レイにかけたら尻子玉の件がもっとややこしくなるし、ヤンデレにバフがかかってしまうでござる。とりあえず、拙者は一旦お花を摘んで参るのでその後にもう少し良い策を考えさせていただこう」
とりあえず、尻の中のそれを渡すために、今度はしっかり厠に向かう。この間のように時間がないとはいえ人の家で催した人と勘違いされたくはなかった。
「ルシオン、私も一緒に行こう」
何故か一緒についてこようとしたレイに拙者は笑顔で首を横に振る。
「流石に連れションは微妙でござる」
「違うよ、むしろ個室にふたりで……」
「絶対だめでござる。まだ拙者とレイは清い関係でござるから」
「清くない関係でもトイレの個室にふたりで入るのはだめだ」
カルナック公爵が拙者達に突っ込んだところでとりあえず、ひとり厠へ行った。
カルナック公爵邸の厠は婚約者時代によく来ていたので、慣れた場所だった。地味にこの世界は厠が前世より発達しておらずウォシュレット機能付きの温座が懐かしい気持ちになりながらまず尻の中のそれを取り出そうと指を挿れた、が……。
「うっ……んっ、思ったより……ふかぃ」
だいぶ奥に入っていたみたいで簡単にとることができない。
「……これは、何か潤滑油が必要か??」
そう考えた時、個室の下に空いていた隙間から潤滑油として使用されている椿油の瓶が差し込まれた。
「えっ??だ、誰かいるでござるか??レイ??」
しかし、誰も答えない。代わりに1枚の紙が差し込まれた。
『レオンハルトです。声を出すと小公爵様に気付かれますのでメモで失礼します』
という返事が書かれていた。
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