59 / 74
56: 尻の異物の異常とレイ救出大作戦11
しおりを挟む
「可愛いルシオン……、ああ、やっぱり君が『浮気』なんてするはずない。『浮気』ではなくあのゴミクソハムシどもがルシオンを襲った、そう、それだけだったんだ。それなのに……」
「いや、それは違うでござるよ。拙者のせいで本当に面目次第も御座らぬ」
レイはとても憎々しげにそう言いながら、しかし、拙者を見る時ははにかむような甘い表情に変わる。
『強迫』とは特定のことに対して強く思い込んで嫌悪する魔法だとは聞いているのでどうやらレイは何か特定の事柄に対してそれが現れてしまっているはずだ。
(……レイの言動的には『浮気』に異様にこだわってるようにみえるでござるな……)
『そうだね、可愛いルシオン。多分彼はルシオンが『浮気』したという部分に『強迫』をかけられているようだね。しかし、彼の中で『ルシオンの裏切りはありえないこと』として処理された結果、浮気をした側が処断されたみたいだね』
叔父上の言葉になるほどと頷いた。だからレイはあんなに『浮気』を連呼したのかと納得した。
そして、ならばなるべく、例の魔法が解けるまではそれについて触れない方が良いなと納得したところで、レイがキョトンとした顔でこちらを見ている。
「どうしたでござるか??」
「いや、ルシオンは誰と話しているんだい??先ほどから妙にくぐもった男の声がするのだが……」
レイに指摘されるまで尻の中の叔父上(10回目)と会話するのがおかしいという常識を失っていた。
「い、いや、えっと……」
別にやましいことは1ミリもないが、ヤンデレモードなレイに尻の中に叔父上がいるという話をするべきか迷いが生じた。
いや、普通に考えたら尻の中に人がいるとかあり得ない話をするべきか本気で迷う。
(しかし、拙者はレイに誠実でありたい、だから……)
「……実は」
話しかけようとした時、強い振動と共に今までで一番元気な叔父上の声が響いた。
割と振動に慣れてきたので耐えきれたが中々に重い一撃でござった。
『初めまして、尻の中から失礼する。カルナック小公爵。僕は帝国で辺境伯をしているルシオンのおじしゃまの
アンドレイ・アンデレ・リゲルだ。いつも可愛い甥っ子が世話になっていたようだね』
多分、この先の人生でも中々聞くことのないだろう斬新な挨拶をした叔父上。
(これ大丈夫でござるか??)
「リゲル辺境伯閣下、初めまして。甥御さんとは結婚を前提に、甥御さんなので結婚を前提に交際をさせて頂いております」
しれっと拙者と婚約者アピールをするレイからは小泉構文ではあるが、先程のヤンデレみは消えていた。
やはり『浮気』が地雷なようだ。
『ああ、可愛い甥っ子からも貴殿の話は聞いている。大切に大切にしてほしい』
「ありがとうございます。しっかりルシオン様は私が保護監禁、いえ監禁して大切に安全を確保する所存でございます」
前言撤回、ばっちり病んでいた。
「レイ、保護監禁も監禁もよくないでござる」
「安心して、ちゃんとルシオンが幸せになれるふたりの終の住処にするからね、ああ、ルシオン、君が好きと言っていた異国の薄紅色の花を植えようか、庭に……」
そんな話をしていた時、再度爆音が響いた。そこで色々あって忘れていた大切なことを思い出した。
「あ、そうでござる。レイを助けに一緒に引率頂いたレオンハルト殿が大ピンチでござる!!
「レオンハルト??魔法師団長殿か、何故……」
「詳しい説明は後でいたす、とりあえず先程の部屋に……」
そう考えた時、尻の中の叔父上(11回目)が今までにないほど振動した。
「おじう……ぇ、戯れがすぎますぞ」
立っているのも辛い振動に涙目になる。
しかし、叔父上からの反応がない。さらに振動もピタリと止まる。
「どういうことでござるか??」
「いや、それは違うでござるよ。拙者のせいで本当に面目次第も御座らぬ」
レイはとても憎々しげにそう言いながら、しかし、拙者を見る時ははにかむような甘い表情に変わる。
『強迫』とは特定のことに対して強く思い込んで嫌悪する魔法だとは聞いているのでどうやらレイは何か特定の事柄に対してそれが現れてしまっているはずだ。
(……レイの言動的には『浮気』に異様にこだわってるようにみえるでござるな……)
『そうだね、可愛いルシオン。多分彼はルシオンが『浮気』したという部分に『強迫』をかけられているようだね。しかし、彼の中で『ルシオンの裏切りはありえないこと』として処理された結果、浮気をした側が処断されたみたいだね』
叔父上の言葉になるほどと頷いた。だからレイはあんなに『浮気』を連呼したのかと納得した。
そして、ならばなるべく、例の魔法が解けるまではそれについて触れない方が良いなと納得したところで、レイがキョトンとした顔でこちらを見ている。
「どうしたでござるか??」
「いや、ルシオンは誰と話しているんだい??先ほどから妙にくぐもった男の声がするのだが……」
レイに指摘されるまで尻の中の叔父上(10回目)と会話するのがおかしいという常識を失っていた。
「い、いや、えっと……」
別にやましいことは1ミリもないが、ヤンデレモードなレイに尻の中に叔父上がいるという話をするべきか迷いが生じた。
いや、普通に考えたら尻の中に人がいるとかあり得ない話をするべきか本気で迷う。
(しかし、拙者はレイに誠実でありたい、だから……)
「……実は」
話しかけようとした時、強い振動と共に今までで一番元気な叔父上の声が響いた。
割と振動に慣れてきたので耐えきれたが中々に重い一撃でござった。
『初めまして、尻の中から失礼する。カルナック小公爵。僕は帝国で辺境伯をしているルシオンのおじしゃまの
アンドレイ・アンデレ・リゲルだ。いつも可愛い甥っ子が世話になっていたようだね』
多分、この先の人生でも中々聞くことのないだろう斬新な挨拶をした叔父上。
(これ大丈夫でござるか??)
「リゲル辺境伯閣下、初めまして。甥御さんとは結婚を前提に、甥御さんなので結婚を前提に交際をさせて頂いております」
しれっと拙者と婚約者アピールをするレイからは小泉構文ではあるが、先程のヤンデレみは消えていた。
やはり『浮気』が地雷なようだ。
『ああ、可愛い甥っ子からも貴殿の話は聞いている。大切に大切にしてほしい』
「ありがとうございます。しっかりルシオン様は私が保護監禁、いえ監禁して大切に安全を確保する所存でございます」
前言撤回、ばっちり病んでいた。
「レイ、保護監禁も監禁もよくないでござる」
「安心して、ちゃんとルシオンが幸せになれるふたりの終の住処にするからね、ああ、ルシオン、君が好きと言っていた異国の薄紅色の花を植えようか、庭に……」
そんな話をしていた時、再度爆音が響いた。そこで色々あって忘れていた大切なことを思い出した。
「あ、そうでござる。レイを助けに一緒に引率頂いたレオンハルト殿が大ピンチでござる!!
「レオンハルト??魔法師団長殿か、何故……」
「詳しい説明は後でいたす、とりあえず先程の部屋に……」
そう考えた時、尻の中の叔父上(11回目)が今までにないほど振動した。
「おじう……ぇ、戯れがすぎますぞ」
立っているのも辛い振動に涙目になる。
しかし、叔父上からの反応がない。さらに振動もピタリと止まる。
「どういうことでござるか??」
0
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

35歳からの楽しいホストクラブ
綺沙きさき(きさきさき)
BL
『35歳、職業ホスト。指名はまだ、ありません――』
35歳で会社を辞めさせられた青葉幸助は、学生時代の後輩の紹介でホストクラブで働くことになったが……――。
慣れないホスト業界や若者たちに戸惑いつつも、35歳のおじさんが新米ホストとして奮闘する物語。
・売れっ子ホスト(22)×リストラされた元リーマン(35)
・のんびり平凡総受け
・攻めは俺様ホストやエリート親友、変人コック、オタク王子、溺愛兄など
※本編では性描写はありません。
(総受けのため、番外編のパラレル設定で性描写ありの小話をのせる予定です)

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない
迷路を跳ぶ狐
BL
自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。
恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。
しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる