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53:尻の異物とさよならしてレイ救出大作戦09
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「お久しぶりですね、ルシオン殿下、いや、今はただのルシオンか」
と言う聞き覚えのある、そして今物凄く聞きたくない声が、かくし扉の外、つまり拙者がやってきた廊下側から聞こえた。
「マグダラ男爵令息……」
そう拙者が答えた時、先ほどまでニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたマグダラ男爵令息の顔色が変わった。
「ちょ!!なにやってるの!?ここはトイレじゃないよ、えっ、何排出しようとしてるの??もしかして王族にとって貴族の屋敷は狭くてどこもトイレできるって誤解してるの??いくらバカでも嘘ありえないでしょう!!」
真っ青になるマグダラ男爵令息に拙者は現在の自分の状況を思い出す。
尻の中の叔父上(9回目)をドアストッパー叔父上にするために尻の中から出そうとしていたところを見られたのである。見た目だけなら完全にアレをしようとしている人である。
(まずい、このままでは拙者は人の屋敷の廊下で脱〇するタイプの美少年になってしまう。そんな変な性癖の美少年は色々だめでござる、まず人としての尊厳が即死してしまう……けど……)
コロリ
と音を立ててタイミングがいいのか悪いのか拙者の体外に排出された叔父上。コロコロと転がるそれは白い卵のような形をしている。それを見たくないのに思わず見てしまうというような顔でマグダラ男爵令息が眺めている。
『いや、おじしゃま的にはそんなルシオンも大好きだよ』
そう、尻の中にいた叔父上がしれっとどうでもようことをしゃべった。その様子にいままでドン引きしていただけのマグダラ男爵令息が叫ぶ。
「キェェェェェェッェェアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアア!!」
まぁ、尻の中から出てきた何かがしゃべったら誰だって発狂するだろう。あまりの出来事に拙者は完全に焦った。焦りすぎて、咄嗟に隠れたくなり急いで隠し部屋に向かってズボンを上げるのを忘れて駆け出していた。
「ちょ待てよ!!」
後ろからマグダラ男爵令息がキムタク氏のようなことを言いながら追って来ようとしたが、ドアストッパー叔父上が何かしているようでこちらにこれないらしい。
とりあえず羞恥心のまま拙者は奥の扉を開いた。鍵が閉まっているかと思ったがどうもこちらも外側からは簡単に開くらしくあっさりと中に入れた。
「はぁはぁ、とりあえず……」
拙者は人間としての尊厳を保つべくズボンを上げようとしたが、
「ルシオン」
ズボンを上げる前に目の前のレイが微動だにすることもなくこちらを見ていることに気付いた。その瞳孔は開いていて見ただけでとても興奮しているのが分かった。
「レイ、あの、これは……」
「レイモンド様、彼はまた懲りずに浮気したのですよ」
いきなり背後から現れたマグダラ男爵令息が先ほどまでの混乱を全てなかったことにしたような顔でしれっと拙者を浮気ものにしようとしている。
「なっ、何言っているでござるか!!拙者はただ……」
そこでフッと気付いた。ここでありのままに『尻の中の叔父上を排出していただけ』と答えた場合いらん誤解をうむ気しかしない。
大体、何故尻の中に叔父上が居たのかの説明からしないといけない。色々考えて黙り込んでしまった拙者にマグダラ男爵令息がさらにとんでもないことを言った。
「レイモンド様が居ないからって浮気しまくってたんですよ。こいつ超尻軽のビッチ野郎です。こんなヤツなんか忘れて、僕と幸せになりましょう」
そう言って、うっすら涙を浮かべながらレイモンドに縋りついた姿は、まさに妹が持っていた乙女ゲームのビッチヒドインのようだった。一応この世界でその役はビッチ氏だが、ビッチ氏はオタクに優しいタイプのギャルみたいな性格だったのでこういうあざとさはない。むしろ爽やかビッチだから比べてはいけない。
「なんでそんなウソを、拙者はただ、尻の中の異物を排出中にマグダラ男爵令息に追われてここまで逃げただけでござる!!」
すごくキリっとした感じで押し切ろうと言ってみたが自分でもわかる。これは全然だめなヤツである。
「尻の中に異物を挿れてるとか変態でしょう。ほら、こいつ性欲お化けでレイモンド様以外ともいっぱい浮気しまくってたんだよ、だから……」
マグダラ男爵令息がそうレイに畳みかけるように言った時、今まで黙っていたレイが拙者が見たことのないような怒りの表情を浮かべた。そして……。
「……許さない」
と低い声で一言発したのだった。
と言う聞き覚えのある、そして今物凄く聞きたくない声が、かくし扉の外、つまり拙者がやってきた廊下側から聞こえた。
「マグダラ男爵令息……」
そう拙者が答えた時、先ほどまでニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたマグダラ男爵令息の顔色が変わった。
「ちょ!!なにやってるの!?ここはトイレじゃないよ、えっ、何排出しようとしてるの??もしかして王族にとって貴族の屋敷は狭くてどこもトイレできるって誤解してるの??いくらバカでも嘘ありえないでしょう!!」
真っ青になるマグダラ男爵令息に拙者は現在の自分の状況を思い出す。
尻の中の叔父上(9回目)をドアストッパー叔父上にするために尻の中から出そうとしていたところを見られたのである。見た目だけなら完全にアレをしようとしている人である。
(まずい、このままでは拙者は人の屋敷の廊下で脱〇するタイプの美少年になってしまう。そんな変な性癖の美少年は色々だめでござる、まず人としての尊厳が即死してしまう……けど……)
コロリ
と音を立ててタイミングがいいのか悪いのか拙者の体外に排出された叔父上。コロコロと転がるそれは白い卵のような形をしている。それを見たくないのに思わず見てしまうというような顔でマグダラ男爵令息が眺めている。
『いや、おじしゃま的にはそんなルシオンも大好きだよ』
そう、尻の中にいた叔父上がしれっとどうでもようことをしゃべった。その様子にいままでドン引きしていただけのマグダラ男爵令息が叫ぶ。
「キェェェェェェッェェアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアア!!」
まぁ、尻の中から出てきた何かがしゃべったら誰だって発狂するだろう。あまりの出来事に拙者は完全に焦った。焦りすぎて、咄嗟に隠れたくなり急いで隠し部屋に向かってズボンを上げるのを忘れて駆け出していた。
「ちょ待てよ!!」
後ろからマグダラ男爵令息がキムタク氏のようなことを言いながら追って来ようとしたが、ドアストッパー叔父上が何かしているようでこちらにこれないらしい。
とりあえず羞恥心のまま拙者は奥の扉を開いた。鍵が閉まっているかと思ったがどうもこちらも外側からは簡単に開くらしくあっさりと中に入れた。
「はぁはぁ、とりあえず……」
拙者は人間としての尊厳を保つべくズボンを上げようとしたが、
「ルシオン」
ズボンを上げる前に目の前のレイが微動だにすることもなくこちらを見ていることに気付いた。その瞳孔は開いていて見ただけでとても興奮しているのが分かった。
「レイ、あの、これは……」
「レイモンド様、彼はまた懲りずに浮気したのですよ」
いきなり背後から現れたマグダラ男爵令息が先ほどまでの混乱を全てなかったことにしたような顔でしれっと拙者を浮気ものにしようとしている。
「なっ、何言っているでござるか!!拙者はただ……」
そこでフッと気付いた。ここでありのままに『尻の中の叔父上を排出していただけ』と答えた場合いらん誤解をうむ気しかしない。
大体、何故尻の中に叔父上が居たのかの説明からしないといけない。色々考えて黙り込んでしまった拙者にマグダラ男爵令息がさらにとんでもないことを言った。
「レイモンド様が居ないからって浮気しまくってたんですよ。こいつ超尻軽のビッチ野郎です。こんなヤツなんか忘れて、僕と幸せになりましょう」
そう言って、うっすら涙を浮かべながらレイモンドに縋りついた姿は、まさに妹が持っていた乙女ゲームのビッチヒドインのようだった。一応この世界でその役はビッチ氏だが、ビッチ氏はオタクに優しいタイプのギャルみたいな性格だったのでこういうあざとさはない。むしろ爽やかビッチだから比べてはいけない。
「なんでそんなウソを、拙者はただ、尻の中の異物を排出中にマグダラ男爵令息に追われてここまで逃げただけでござる!!」
すごくキリっとした感じで押し切ろうと言ってみたが自分でもわかる。これは全然だめなヤツである。
「尻の中に異物を挿れてるとか変態でしょう。ほら、こいつ性欲お化けでレイモンド様以外ともいっぱい浮気しまくってたんだよ、だから……」
マグダラ男爵令息がそうレイに畳みかけるように言った時、今まで黙っていたレイが拙者が見たことのないような怒りの表情を浮かべた。そして……。
「……許さない」
と低い声で一言発したのだった。
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