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51:尻の異物とレイ救出大作戦07
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「ルシオン殿下、申し訳ございません。本来貴方に最後まで付き従い安全に小公爵様をお助けする予定でしたが、私はここでこの男を食い止めないといけません。だから……ここから逃げてください」
死亡フラグのようなセリフを言うレオンハルト殿に、一抹の不安を覚えた。しかし、ここでグダグダするのが得策ではないことは自分でもわかっていた。
『可愛いルシオン、行きなさい』
先ほどまで締め付けていた叔父上が珍しくちゃんとしたことを言った。ここに残っていても確かに何かできるわけではない。なら少しでもレイを見つけ出して戻ってこよう。
「レオンハルト殿……かたじけない」
そう礼をして、拙者は部屋を駆け出した。ギムレット殿が追いかけて来るかと思ったがその気配はない。
「レオンハルト殿がピンチでござる。早く、レイを見つけ出さないと……」
『可愛い可愛いルシオン、安心して。ちゃんとこちらの援軍は送ったからレオンハルトのこともあいつは強いからそう簡単に死んだりしない』
叔父上の口から珍しくレオンハルト殿への、信頼の言葉を聞いて少し驚いた。叔父上、というか帝国の竜の血を引いている人達は自分でなんでもできるので人に対しての関心が希薄であると聞いたことがある。
その人が、こんなに褒めるなんてレオンハルト殿は相当強い魔法使いなのだろう。
(ならば、きっと大丈夫)
少し自分を落ち着けたが先ほどいた部屋から遠くまでとりあえず走ってきたが、この屋敷は外観通りそこそこ広いようだ。ただ、帝国との会議を別所しているためか、ほとんどの人間が出払いこの屋敷に残っていないようなのは救いではある。
(しかし、この広大な屋敷からどうやってレイを探すべきか……)
『可愛い可愛いルシオン、こんな時は竜玉が力を貸してくれる、先ほどのように強く竜玉に力を入れてごらん』
レイの手がかりがなく困っていた拙者に、叔父上が微妙なことを提案してきた。ただ、竜玉という謎のアイテム?は今までも規格外の力を発揮してきたので叔父上の提案にのり尻に力をこめた。
『ん……っ、ルシオン、良い締め付けだね。素晴らしい。その締め付け、とても気持ち良かった。ほぼイキかけた』
(叔父上を気持ち良くさせるために行ったのではないのだが……)
『もちろん安心しておくれ、今ので竜玉が捜索モードに切り替わった。捜索モードになれば、探したい相手がいる場所が光り輝いて見える形で竜玉が導いてくれる。ただ、この捜索モードにはひとつ難点がある』
(難点はひとつだけですむのでござるか??すごく心配なのだが……)
『大丈夫、たったひとつ。竜玉は基本的に愛を糧として力を発揮するとてもロマンチックな物体なのだよ。だから捜索モードも相手が物凄くルシオンを想っていればすぐに見つかるし、想われていないと光が見えず捜索ができなくなるやもしれない』
つまり、レイが拙者を想う気持ちがあれば道を照らしてくれるが、それがなければ……。
(拙者はレイに酷いことをした男でござる。けれど、もしまだレイが拙者に謝る権利をくれるなら……どうかレイの居場所を教えてほしい)
そう祈りながら、愛するレイのことを思い出す。
いつも拙者に優しくしてくれたレイ、誰よりも拙者のことを心配してくれて、拙者のことを愛してくれた人。
その人を、『魅了』により裏切る結果になってしまい、謝る間もなく別たれた。
(レイ、どうか無事でいてほしい。レイが拙者のことを嫌いでもいいから、レイを助けさせてください)
そう強く願った瞬間、屋敷の中の一角がひときわ光り輝くのが見えた。それは廊下の突き当りに飾られている絵画からあふれ出している。
(どう見ても行き止まりに見えるが……)
『どうやら仕掛けがあるみたいだね』
叔父上にそう言われて絵画を見る。その絵画は前世でも見覚えがあった、間違いないレオナルドダヴィンチの『最後の晩餐』である。
その絵画に何かすることで隠し扉か何かが開くのかもしれないと仮定したがどうすればよいのかわからない。
『この絵画は『最後の晩餐』だね。キリスト教の聖書に登場するイエス・キリストの最後の晩餐を描いた作品です。『ヨハネによる福音書』の13章21節で語られている、イエス・キリストが刑に処される前夜に12人の弟子と共に夕食を摂った際に「12弟子の中の一人が私を裏切る」と予言するシーンが描かれている』
叔父上の説明をぼんやりと聞いていると、拙者はあることを思い出した。
(……この屋敷は元々、マグダラ男爵家の持ち物であったのでござるよね??)
『ああ、そうだが……』
拙者は前世に見たダビンチ〇ードの特番か何かを思い出していた。その中で語られていたある仮説を思い出したのだ。
死亡フラグのようなセリフを言うレオンハルト殿に、一抹の不安を覚えた。しかし、ここでグダグダするのが得策ではないことは自分でもわかっていた。
『可愛いルシオン、行きなさい』
先ほどまで締め付けていた叔父上が珍しくちゃんとしたことを言った。ここに残っていても確かに何かできるわけではない。なら少しでもレイを見つけ出して戻ってこよう。
「レオンハルト殿……かたじけない」
そう礼をして、拙者は部屋を駆け出した。ギムレット殿が追いかけて来るかと思ったがその気配はない。
「レオンハルト殿がピンチでござる。早く、レイを見つけ出さないと……」
『可愛い可愛いルシオン、安心して。ちゃんとこちらの援軍は送ったからレオンハルトのこともあいつは強いからそう簡単に死んだりしない』
叔父上の口から珍しくレオンハルト殿への、信頼の言葉を聞いて少し驚いた。叔父上、というか帝国の竜の血を引いている人達は自分でなんでもできるので人に対しての関心が希薄であると聞いたことがある。
その人が、こんなに褒めるなんてレオンハルト殿は相当強い魔法使いなのだろう。
(ならば、きっと大丈夫)
少し自分を落ち着けたが先ほどいた部屋から遠くまでとりあえず走ってきたが、この屋敷は外観通りそこそこ広いようだ。ただ、帝国との会議を別所しているためか、ほとんどの人間が出払いこの屋敷に残っていないようなのは救いではある。
(しかし、この広大な屋敷からどうやってレイを探すべきか……)
『可愛い可愛いルシオン、こんな時は竜玉が力を貸してくれる、先ほどのように強く竜玉に力を入れてごらん』
レイの手がかりがなく困っていた拙者に、叔父上が微妙なことを提案してきた。ただ、竜玉という謎のアイテム?は今までも規格外の力を発揮してきたので叔父上の提案にのり尻に力をこめた。
『ん……っ、ルシオン、良い締め付けだね。素晴らしい。その締め付け、とても気持ち良かった。ほぼイキかけた』
(叔父上を気持ち良くさせるために行ったのではないのだが……)
『もちろん安心しておくれ、今ので竜玉が捜索モードに切り替わった。捜索モードになれば、探したい相手がいる場所が光り輝いて見える形で竜玉が導いてくれる。ただ、この捜索モードにはひとつ難点がある』
(難点はひとつだけですむのでござるか??すごく心配なのだが……)
『大丈夫、たったひとつ。竜玉は基本的に愛を糧として力を発揮するとてもロマンチックな物体なのだよ。だから捜索モードも相手が物凄くルシオンを想っていればすぐに見つかるし、想われていないと光が見えず捜索ができなくなるやもしれない』
つまり、レイが拙者を想う気持ちがあれば道を照らしてくれるが、それがなければ……。
(拙者はレイに酷いことをした男でござる。けれど、もしまだレイが拙者に謝る権利をくれるなら……どうかレイの居場所を教えてほしい)
そう祈りながら、愛するレイのことを思い出す。
いつも拙者に優しくしてくれたレイ、誰よりも拙者のことを心配してくれて、拙者のことを愛してくれた人。
その人を、『魅了』により裏切る結果になってしまい、謝る間もなく別たれた。
(レイ、どうか無事でいてほしい。レイが拙者のことを嫌いでもいいから、レイを助けさせてください)
そう強く願った瞬間、屋敷の中の一角がひときわ光り輝くのが見えた。それは廊下の突き当りに飾られている絵画からあふれ出している。
(どう見ても行き止まりに見えるが……)
『どうやら仕掛けがあるみたいだね』
叔父上にそう言われて絵画を見る。その絵画は前世でも見覚えがあった、間違いないレオナルドダヴィンチの『最後の晩餐』である。
その絵画に何かすることで隠し扉か何かが開くのかもしれないと仮定したがどうすればよいのかわからない。
『この絵画は『最後の晩餐』だね。キリスト教の聖書に登場するイエス・キリストの最後の晩餐を描いた作品です。『ヨハネによる福音書』の13章21節で語られている、イエス・キリストが刑に処される前夜に12人の弟子と共に夕食を摂った際に「12弟子の中の一人が私を裏切る」と予言するシーンが描かれている』
叔父上の説明をぼんやりと聞いていると、拙者はあることを思い出した。
(……この屋敷は元々、マグダラ男爵家の持ち物であったのでござるよね??)
『ああ、そうだが……』
拙者は前世に見たダビンチ〇ードの特番か何かを思い出していた。その中で語られていたある仮説を思い出したのだ。
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