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16.いきなり現れたその人は……
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拙者は夢を見ていた。それは生まれ変わった後の幼少時代の夢だった。
拙者の今生の両親は、仲が悪くいつも口論を繰り返していた。幼い拙者はそれを当たり前のように遠くから見ていた。
遠いから声はよく聞こえない。漏れ聞こえる僅かな内容が耳に入る。
「……は余の子ではないだろう??」
「なんど…………!!……は、……」
「嘘をつくな!!」
繰り返される罵倒の応酬に怯えていると、後ろから抱きしめられて耳をふさがれた。
「ルシオン殿下、聞いてはいけません」
その優しい声に振り返ろうとしたが……、そこで夢から覚醒した。
目覚めたそこは、大きな天蓋付ベットの上というなんか想像と全く違う部屋でござった。というかここはどこだろう、拙者の記憶が正しければ確か黒いマスクの人に攫われてここに来たはずなのだが……。
そこまで考えた時、部屋のドアが開いて可愛らしいメイドさん♂が入ってきた。そして拙者の顔を見るなり急に涙をこぼしてそのまま部屋を出て行ってしまった。
「えっ、これなんというドッキリでごさるか??」
意味がわからず唖然としていると、それから秒と立たずに思い切り扉が開いてみたことない人が部屋に飛び込んできた。
その人は、長身で筋肉質で銀髪に青い瞳をしたイケメンだった。
そのイケメンが、大粒の涙をこぼしながら拙者をそれはそれは強い力で抱きしめたのだ。つまり……
「グエッ!!」
華奢な拙者はその圧に潰されて、潰されたカエルのような呻きを上げることになってしまった。そんな拙者の様子に、イケメンは気付く様子もなく頬ずり地獄を味わう羽目になった。
助けてほしくて周囲を見るが、周りもみんな何故か涙を流して、
「良かった」
「一時はどうなるかと思った」
などと口々に言っていたが、その中に見覚えのある人物が居ることに気付いた。間違いない、そこに居たのは見覚えのある黒髪に赤い瞳の魔法師団長、レオンハルト殿だった。
「な、なんでレオンハルト殿がいるでござるか??レオンハルト殿、このイケメンの拙者を絞め殺そうとしている人は誰でござるか??」
とりあえず周りが全く拙者の状態に気付いていないので訴えるようにそう叫ぶと、レオンハルト殿はスペースキャットみたいな顔をしてから、「はっ」としたようになり、急いでイケメンを止めた。
「アンドレイ様、そのように強く抱きしめたらルシオン様が窒息されてしまいます。ただでさぇ王城ではルシオン様の扱いは望ましくないものでございましたのでとても繊細で華奢な方なので……」
その名を聞いた時、拙者に電撃が走った。拙者は父方の親類との交流は僅かながらになったが母方、つまり帝国側の親類とはほとんど没交渉だった。
それは母上が拙者に対して愛情がないため、母上にとって大切な帝国側の家族との接触を好まないためだと思ってきた。
実際、一度も拙者は帝国へ行ったこともあちら側の祖父母、つまり現帝国の皇帝陛下と妃殿下にお会いしたこともない。
ただ、隣国については重要なためある程度の知識は身に着けていて、皇族の名前と肖像画から顔も一通り覚えていた。
その中で王国と隣国の国境線の帝国側の広大な土地を領地として持っていて、王国からすれば大変恐ろしい隣国の英雄で銀色の髪に青い瞳をしたご仁は『銀色の悪魔』と渾名されている、アンドレイ・アンデレ・リゲルことリゲル辺境伯の名前も勿論知識として知っているし、かの人が母上の弟君であり、拙者からみたら叔父であるということも知ってはいた、知ってはいたが……。
「可哀そうなルシオン。ああ、何故こんなひどいことをされないといけないのだ。やはり兄上は無理やりでも離婚させて帝国へ帰らせるべきだったのだ。大体、あのクソ王も王国もこちらが本気になれば木っ端みじんにできるのだから我慢などさせる必要はなかった」
「あ、その、話が進み過ぎて読者の方々同様に拙者も何を言っているのか分からない状態でござるが、ご仁は、そのリゲル辺境伯でござるか??」
首をコテンと傾げる。美少年のその姿に何故か余計泣いてしまう叔父上、そして……。
「そんな他人行儀に呼ぶのはおやめ。ルシオン、おじちゃまとかおじたんとかこうなんか親し気に呼んでほしい」
といきなり難易度ルナティックなことを言われる、元コミュ障のドルオタの拙者の運命やいかに……。とりあえず無難な呼び方をしよう。
「そ、そのおじしゃま……あっ」
噛んでしまった。叔父様と言おうとしておじしゃまとか幼児みたいな呼び方をしてしまった。あまりの恥ずかしさに消えたいと思ったが……。
「おじしゃま……いいな、うん。最高だ。僕がルシオンのおじしゃまだよ可愛い可愛いルシオン、心配しないでね、あんなクソみたいな国は、兄上を救出したらおじしゃまがちょっと捻って滅ぼしてあげるからね」
物凄い無邪気な笑顔で恐ろしいことを言うその人に思わず震えて助けてほしいという眼差しをレオンハルト殿に向けたが、無表情に少し困ったような顔をしているが助けてくれる気配はなかった。
「いや、話が脱線しておりますが一体これはどういうことなのか、そのご説明願いたい」
拙者の今生の両親は、仲が悪くいつも口論を繰り返していた。幼い拙者はそれを当たり前のように遠くから見ていた。
遠いから声はよく聞こえない。漏れ聞こえる僅かな内容が耳に入る。
「……は余の子ではないだろう??」
「なんど…………!!……は、……」
「嘘をつくな!!」
繰り返される罵倒の応酬に怯えていると、後ろから抱きしめられて耳をふさがれた。
「ルシオン殿下、聞いてはいけません」
その優しい声に振り返ろうとしたが……、そこで夢から覚醒した。
目覚めたそこは、大きな天蓋付ベットの上というなんか想像と全く違う部屋でござった。というかここはどこだろう、拙者の記憶が正しければ確か黒いマスクの人に攫われてここに来たはずなのだが……。
そこまで考えた時、部屋のドアが開いて可愛らしいメイドさん♂が入ってきた。そして拙者の顔を見るなり急に涙をこぼしてそのまま部屋を出て行ってしまった。
「えっ、これなんというドッキリでごさるか??」
意味がわからず唖然としていると、それから秒と立たずに思い切り扉が開いてみたことない人が部屋に飛び込んできた。
その人は、長身で筋肉質で銀髪に青い瞳をしたイケメンだった。
そのイケメンが、大粒の涙をこぼしながら拙者をそれはそれは強い力で抱きしめたのだ。つまり……
「グエッ!!」
華奢な拙者はその圧に潰されて、潰されたカエルのような呻きを上げることになってしまった。そんな拙者の様子に、イケメンは気付く様子もなく頬ずり地獄を味わう羽目になった。
助けてほしくて周囲を見るが、周りもみんな何故か涙を流して、
「良かった」
「一時はどうなるかと思った」
などと口々に言っていたが、その中に見覚えのある人物が居ることに気付いた。間違いない、そこに居たのは見覚えのある黒髪に赤い瞳の魔法師団長、レオンハルト殿だった。
「な、なんでレオンハルト殿がいるでござるか??レオンハルト殿、このイケメンの拙者を絞め殺そうとしている人は誰でござるか??」
とりあえず周りが全く拙者の状態に気付いていないので訴えるようにそう叫ぶと、レオンハルト殿はスペースキャットみたいな顔をしてから、「はっ」としたようになり、急いでイケメンを止めた。
「アンドレイ様、そのように強く抱きしめたらルシオン様が窒息されてしまいます。ただでさぇ王城ではルシオン様の扱いは望ましくないものでございましたのでとても繊細で華奢な方なので……」
その名を聞いた時、拙者に電撃が走った。拙者は父方の親類との交流は僅かながらになったが母方、つまり帝国側の親類とはほとんど没交渉だった。
それは母上が拙者に対して愛情がないため、母上にとって大切な帝国側の家族との接触を好まないためだと思ってきた。
実際、一度も拙者は帝国へ行ったこともあちら側の祖父母、つまり現帝国の皇帝陛下と妃殿下にお会いしたこともない。
ただ、隣国については重要なためある程度の知識は身に着けていて、皇族の名前と肖像画から顔も一通り覚えていた。
その中で王国と隣国の国境線の帝国側の広大な土地を領地として持っていて、王国からすれば大変恐ろしい隣国の英雄で銀色の髪に青い瞳をしたご仁は『銀色の悪魔』と渾名されている、アンドレイ・アンデレ・リゲルことリゲル辺境伯の名前も勿論知識として知っているし、かの人が母上の弟君であり、拙者からみたら叔父であるということも知ってはいた、知ってはいたが……。
「可哀そうなルシオン。ああ、何故こんなひどいことをされないといけないのだ。やはり兄上は無理やりでも離婚させて帝国へ帰らせるべきだったのだ。大体、あのクソ王も王国もこちらが本気になれば木っ端みじんにできるのだから我慢などさせる必要はなかった」
「あ、その、話が進み過ぎて読者の方々同様に拙者も何を言っているのか分からない状態でござるが、ご仁は、そのリゲル辺境伯でござるか??」
首をコテンと傾げる。美少年のその姿に何故か余計泣いてしまう叔父上、そして……。
「そんな他人行儀に呼ぶのはおやめ。ルシオン、おじちゃまとかおじたんとかこうなんか親し気に呼んでほしい」
といきなり難易度ルナティックなことを言われる、元コミュ障のドルオタの拙者の運命やいかに……。とりあえず無難な呼び方をしよう。
「そ、そのおじしゃま……あっ」
噛んでしまった。叔父様と言おうとしておじしゃまとか幼児みたいな呼び方をしてしまった。あまりの恥ずかしさに消えたいと思ったが……。
「おじしゃま……いいな、うん。最高だ。僕がルシオンのおじしゃまだよ可愛い可愛いルシオン、心配しないでね、あんなクソみたいな国は、兄上を救出したらおじしゃまがちょっと捻って滅ぼしてあげるからね」
物凄い無邪気な笑顔で恐ろしいことを言うその人に思わず震えて助けてほしいという眼差しをレオンハルト殿に向けたが、無表情に少し困ったような顔をしているが助けてくれる気配はなかった。
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