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14.男気溢れるビッチ氏と意外な真実と
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こちらについてどうしても気に入らない部分が多かったので書き直して展開に変更がありますので『15』を読む前に目を通し直して頂けますと幸いです。※15は22時更新です、当初の予定より遅れてすいません。
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そのやりとりを見ていて、気付いたことがあった。
ギムレット殿ともめている相手、隙間から姿は見えないがその声には聞き覚えがあった。婚約してから11年を共にしていた彼の声を忘れるはずはない。
「……ギムレット殿と話しているのはレイでござる」
そうして、涙が頬を伝うのが分かった。レイは『魅了』されていたとはいえ裏切った拙者を救おうとしてここまで来てくれたのだ。
(ならば、レイに拙者は謝りたい。許してもらえないだろうけど、それでも……)
「なるほど、カルナック公爵令息がここまできたのか。やっぱり彼はルッシーのこと今も諦めてないんだな……」
「……ビッチ氏、それはどういう意味でござるか??」
まるで、あのような酷いことをしてもレイが諦めないことをビッチ氏は予想していたような口ぶりだった。それに対してビッチは少し口をパクパクとさせてから。
「全ての真実はやっぱり契約上言えないみたい。ごめん。ただ俺はルッシーと彼を引き離すということが一番重要だと聞いていた。その理由は言えないみたいだけど……でも例え引き離されても彼はルッシーを追うって分かってたんだ。だって彼の目はまるで……俺の母さんみただったから」
ビッチ氏はそう言うと、押し黙る。
本当はその言葉に意味を確認したくもあったが、今は時間がなかった。下の会話が進む中でこのフロアへ誰かが向かっているような足音がしていたからだ。
「誰かこちらへ来ようとしているでようでござるな。ここは一旦隠れた方が良いやもしれぬ」
「そうだね。もう少し先にほぼ使われていない物置部屋があるよ、そこに一旦身を隠そう。あそこなら最悪ダクトもるからそこから外に出られるはずだ」
ビッチ氏の案内で、足音がこちらへ訪れるより先に物置に隠れた。ちょっと前世の小説やゲームのような展開で拙者の中でドキドキが止まらない。
物置部屋は、埃が積もっていて、中に入れば歩いた場所に足跡が付いた。どうやら長く誰も立ち入っていないらしい。
薄暗いが部屋の上にハメ殺しもとい嵌め殺しの窓があり、そこから外の光が入るので真っ暗ではない。
「とりあえず入ってこれないようにこれバリケードとして置いておこう♡」
そう言って、ビッチ氏は明かに重そうな机を軽々と入口のドアの前に置いた。あまりの逞しい姿にちょっとキュンとしてしまう。
「ごめんねルッシー。俺は淫魔だからネコ専門でタチは無理なんだ♡」
「あ、ご安心を。そういうつもりは皆無でござるので」
そうビッチ氏の言葉を緩くかわしながら、少し勢いよく寄りかかってしまったせいで棚から何かが床に落ちる。
ポスッ
とそこまで大きくない音を立てて落ちた。
「……わわ、これは……」
その何かを反射的に拾い上げたところ、どうやらアルバムのようなものだった。
この国では現代日本とは違い、科学の発展は目まぐるしくないがその代わりに魔法が発達しており、写真も魔法の力で取る念写機のようなものがある。
ただ、それは魔力が高い王侯貴族に普及してはいるが一般庶民などにはほぼ出回らないものだった。そう考えると何故、ここにそのような物があるのか疑問に思って、ページを開いてみたところで思わず硬直した。
「この人は……」
そこには、銀髪に紫の瞳をしている、レイにそっくりな人物が黒髪の妖艶な青年と写る古い写真があった。しかもその写真の青年は黒髪の赤ん坊を抱いている。
明かに、その写真に写る3人は夫婦であり赤ん坊とは親子のように見えた。
「……カルナック公爵令息にこの人そっくりだね」
「そうでござるな。ただ、この古さだと……カルナック公爵様の若い時ではなかろうか??」
つい先日まで、自身の義父になると信じて疑わなかったその人、レイにそっくりな現カルナック公爵の若い頃であれば辻褄が合う。
かの人は、何度も拙者を救おうと尽力してくださった恩人でもあり、とても穏やかな人格者でレイの母上とそれは仲睦まじい夫婦だったと記憶している。しかし、その写真にはかの人の明らかなる不貞が映し出されていて、しかもその子供までいたという事実にその他にも色々あった中で現実的に追いつけないでいた。
そんな拙者から該当の写真をひったくるように取ったビッチ氏は、写真の裏側を拙者に見せた。
「ああ、やっぱりね。これ見てよ……」
こちらについてどうしても気に入らない部分が多かったので書き直して展開に変更がありますので『15』を読む前に目を通し直して頂けますと幸いです。※15は22時更新です、当初の予定より遅れてすいません。
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そのやりとりを見ていて、気付いたことがあった。
ギムレット殿ともめている相手、隙間から姿は見えないがその声には聞き覚えがあった。婚約してから11年を共にしていた彼の声を忘れるはずはない。
「……ギムレット殿と話しているのはレイでござる」
そうして、涙が頬を伝うのが分かった。レイは『魅了』されていたとはいえ裏切った拙者を救おうとしてここまで来てくれたのだ。
(ならば、レイに拙者は謝りたい。許してもらえないだろうけど、それでも……)
「なるほど、カルナック公爵令息がここまできたのか。やっぱり彼はルッシーのこと今も諦めてないんだな……」
「……ビッチ氏、それはどういう意味でござるか??」
まるで、あのような酷いことをしてもレイが諦めないことをビッチ氏は予想していたような口ぶりだった。それに対してビッチは少し口をパクパクとさせてから。
「全ての真実はやっぱり契約上言えないみたい。ごめん。ただ俺はルッシーと彼を引き離すということが一番重要だと聞いていた。その理由は言えないみたいだけど……でも例え引き離されても彼はルッシーを追うって分かってたんだ。だって彼の目はまるで……俺の母さんみただったから」
ビッチ氏はそう言うと、押し黙る。
本当はその言葉に意味を確認したくもあったが、今は時間がなかった。下の会話が進む中でこのフロアへ誰かが向かっているような足音がしていたからだ。
「誰かこちらへ来ようとしているでようでござるな。ここは一旦隠れた方が良いやもしれぬ」
「そうだね。もう少し先にほぼ使われていない物置部屋があるよ、そこに一旦身を隠そう。あそこなら最悪ダクトもるからそこから外に出られるはずだ」
ビッチ氏の案内で、足音がこちらへ訪れるより先に物置に隠れた。ちょっと前世の小説やゲームのような展開で拙者の中でドキドキが止まらない。
物置部屋は、埃が積もっていて、中に入れば歩いた場所に足跡が付いた。どうやら長く誰も立ち入っていないらしい。
薄暗いが部屋の上にハメ殺しもとい嵌め殺しの窓があり、そこから外の光が入るので真っ暗ではない。
「とりあえず入ってこれないようにこれバリケードとして置いておこう♡」
そう言って、ビッチ氏は明かに重そうな机を軽々と入口のドアの前に置いた。あまりの逞しい姿にちょっとキュンとしてしまう。
「ごめんねルッシー。俺は淫魔だからネコ専門でタチは無理なんだ♡」
「あ、ご安心を。そういうつもりは皆無でござるので」
そうビッチ氏の言葉を緩くかわしながら、少し勢いよく寄りかかってしまったせいで棚から何かが床に落ちる。
ポスッ
とそこまで大きくない音を立てて落ちた。
「……わわ、これは……」
その何かを反射的に拾い上げたところ、どうやらアルバムのようなものだった。
この国では現代日本とは違い、科学の発展は目まぐるしくないがその代わりに魔法が発達しており、写真も魔法の力で取る念写機のようなものがある。
ただ、それは魔力が高い王侯貴族に普及してはいるが一般庶民などにはほぼ出回らないものだった。そう考えると何故、ここにそのような物があるのか疑問に思って、ページを開いてみたところで思わず硬直した。
「この人は……」
そこには、銀髪に紫の瞳をしている、レイにそっくりな人物が黒髪の妖艶な青年と写る古い写真があった。しかもその写真の青年は黒髪の赤ん坊を抱いている。
明かに、その写真に写る3人は夫婦であり赤ん坊とは親子のように見えた。
「……カルナック公爵令息にこの人そっくりだね」
「そうでござるな。ただ、この古さだと……カルナック公爵様の若い時ではなかろうか??」
つい先日まで、自身の義父になると信じて疑わなかったその人、レイにそっくりな現カルナック公爵の若い頃であれば辻褄が合う。
かの人は、何度も拙者を救おうと尽力してくださった恩人でもあり、とても穏やかな人格者でレイの母上とそれは仲睦まじい夫婦だったと記憶している。しかし、その写真にはかの人の明らかなる不貞が映し出されていて、しかもその子供までいたという事実にその他にも色々あった中で現実的に追いつけないでいた。
そんな拙者から該当の写真をひったくるように取ったビッチ氏は、写真の裏側を拙者に見せた。
「ああ、やっぱりね。これ見てよ……」
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