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01:全裸に首輪と鎖というエロ同人みたいな恰好をしている自分にドン引きしたでござる
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夢を見ていた。
ガタガタと悪路を進む馬車の中で、やっとのことで落ちた眠りが見せた浅い夢。
それは眩く光る棒を振る男の夢だった。小デブ体形にもかかわらず妙にキレのある動きで、黄色い光る棒を振り回している小太りの男に見覚えがあった。
(あれ、あの男は……拙者!!)
間違うはずはない。
あの異常に腹だけ膨らんだテディベアのようなフォルム。そして、生前の時代では既にテンプレですらなくなった昭和のオタクみのあるバンダナに穴あき手袋をして、ドデカく推しアイドルだった『ひよりん』のプリントされたTシャツに星騎士αのファンクラブの証である親衛隊のピンクの法被を着ているのは間違いなく拙者だった。
(なぜ、拙者が拙者を見ている??というかこれは夢で……)
ハッと目が覚めた。
そこは見慣れたひよりんグッズまみれの汚部屋ではなく、さらに薄汚くなんならなんか獣臭く薄暗い乗り物の中だった。
拙者は確かに小汚く見えるオタクでしたが、ひよりんに嫌われたりしないためにちゃんとイベント前には風呂に入り、制汗スプレー、ファ◯リーズ、ギャ◯ビィーを装備しておりましたから、見た目よりは臭くない、なんなら仲間の骨川氏に「清さんはフローラルでミントな香りがいたしますな」と言われていたので、この獣臭は拙者ではないはず。
そう思いながらも長年の性でついつい、においを確認してしまうのだけれど悪臭どころかひよりん位良い匂いがする。
(ひよりんのコラボ香水の残り香か??拙者あの希少品を使ったでござるか??)
などと考えつつ、しかし、今の場所がどこか分からない。
「何故、拙者がこのような場所に??しかしすごくガタガタしている……」
拙者は無駄に酔わない体質なので大丈夫そうだけれど、このガタガタは三半規管があまり強くないご仁なら酔うタイプかもしれない。
そんなことを考えて、無意識に立ち上がろうとした時、何かが引っかかりそのまま尻もちをついた。
そして、そこで気付いてしまう。
本来なら洋服があるから尻もちをついても、木本来の感触を尻が感じることがないはずなのに明らかに、木本来の感触が尻を伝わってきたのだ。
「ひゃぃ!!」
思わず女学生のような声がでてしまい、拙者的に物凄く不覚だったがそれだけで驚きは終わらなかった。何故か自分がまるでエロ同人のように全裸で首輪と鎖でつながれていることに気づいてしまったのだ。
「なっ!!なんでござるか??これどんな需要でござるか??」
間違えても自分は美しい容貌ではないはずだ。
自分で言うのは悲しいが仲間内では、みんなから『清さん』とか『画伯』の愛称で呼ばれるほど某放浪の天才画家にそっくりな顔立ちと体形だ。
何なら一度コミ〇でそのコスプレをふざけ半分でしたら、いつもの撮る側から撮られる側にジョブチェンジするくらいに大盛況になったことも思い出す。
むしろそんな拙者を全裸で首輪につなぐとかどんな異常性癖だと、声を大にして言いたい。
しかし、そこで嫌々みただらしないはずの体は適度に引き締まり、なにより肌の色がまるで推しアイドルだった『ひよりん』くらい白い。
いや、人種的にハリウッド女優張りの白さと弾力と美しさがあるし、なんと乳首の色がアイドルのようにピンク(これは彼の偏見でありピンクでないアイドルもいます)だったのだ。
「えっ、拙者どうしてこんなきれいな肌と乳首をしているでござるか??あのしまりのない高カロリーで低価格な食材によって生み出された悲しきオタクリーチャーボディーはどこへいったでござる??」
焦って周囲を見渡したことで、窓ガラスにそれはもう、妹の部屋に飾られていた2.5次元俳優バリの金髪碧眼の美青年が首輪をされて全裸の状態で映し出されているではないか。
「えっ、嘘、キモオタの拙者が、嘘でござる。こんなパリピリア充面とかありえないでござる!!」
『ところが、これが今世での君の姿なんだよ、ルシオン・クリスト・メビウス王子。いや、今はただのルシオン殿かな』
妙に明るい、例えるならスマホゲームの廃人である骨川氏がハマっていた某英霊が沢山出てくるゲームのろくでなしの魔術師くらいの軽いトーンで話しかけられた。
声豚ではないので拙者には刺さらないが、まぁイケボの部類であろう。
「拙者が王子??悪い冗談はやめて頂きたい。仮に王子だとしても裸の王子とかでござろう。いや王子とかおこがましいので豚とかでも良さげな……」
『ネタとかではなく、君は推しアイドルへの重課金生活の末、ある日彼女が一般男性と結婚するというニュースを見てしまい、今までの不摂生な生活も祟りショックで死んでしまったんだよ。そうしてそれを面白がもとい憐れんだ神、つまり僕によりこの異世界でイケメンの王子に生まれ変わったってわけさ』
いきなりラノベの冒頭のようなことを言われて正直半信半疑だったが、窓に映る美しい青年が自分と言われたら確かに今自分がイケメン王子であると認めざるおえないなとひとり納得した。しかし、だとしてどうしても引っかかることがあった。
「えっ!!推しが結婚してショック死とか拙者マンボウか!?しかし、転生したのがイケメン王子だとして、何故拙者は全裸に首輪とかいうエロ同人みたいな姿なんでござるか??」
ガタガタと悪路を進む馬車の中で、やっとのことで落ちた眠りが見せた浅い夢。
それは眩く光る棒を振る男の夢だった。小デブ体形にもかかわらず妙にキレのある動きで、黄色い光る棒を振り回している小太りの男に見覚えがあった。
(あれ、あの男は……拙者!!)
間違うはずはない。
あの異常に腹だけ膨らんだテディベアのようなフォルム。そして、生前の時代では既にテンプレですらなくなった昭和のオタクみのあるバンダナに穴あき手袋をして、ドデカく推しアイドルだった『ひよりん』のプリントされたTシャツに星騎士αのファンクラブの証である親衛隊のピンクの法被を着ているのは間違いなく拙者だった。
(なぜ、拙者が拙者を見ている??というかこれは夢で……)
ハッと目が覚めた。
そこは見慣れたひよりんグッズまみれの汚部屋ではなく、さらに薄汚くなんならなんか獣臭く薄暗い乗り物の中だった。
拙者は確かに小汚く見えるオタクでしたが、ひよりんに嫌われたりしないためにちゃんとイベント前には風呂に入り、制汗スプレー、ファ◯リーズ、ギャ◯ビィーを装備しておりましたから、見た目よりは臭くない、なんなら仲間の骨川氏に「清さんはフローラルでミントな香りがいたしますな」と言われていたので、この獣臭は拙者ではないはず。
そう思いながらも長年の性でついつい、においを確認してしまうのだけれど悪臭どころかひよりん位良い匂いがする。
(ひよりんのコラボ香水の残り香か??拙者あの希少品を使ったでござるか??)
などと考えつつ、しかし、今の場所がどこか分からない。
「何故、拙者がこのような場所に??しかしすごくガタガタしている……」
拙者は無駄に酔わない体質なので大丈夫そうだけれど、このガタガタは三半規管があまり強くないご仁なら酔うタイプかもしれない。
そんなことを考えて、無意識に立ち上がろうとした時、何かが引っかかりそのまま尻もちをついた。
そして、そこで気付いてしまう。
本来なら洋服があるから尻もちをついても、木本来の感触を尻が感じることがないはずなのに明らかに、木本来の感触が尻を伝わってきたのだ。
「ひゃぃ!!」
思わず女学生のような声がでてしまい、拙者的に物凄く不覚だったがそれだけで驚きは終わらなかった。何故か自分がまるでエロ同人のように全裸で首輪と鎖でつながれていることに気づいてしまったのだ。
「なっ!!なんでござるか??これどんな需要でござるか??」
間違えても自分は美しい容貌ではないはずだ。
自分で言うのは悲しいが仲間内では、みんなから『清さん』とか『画伯』の愛称で呼ばれるほど某放浪の天才画家にそっくりな顔立ちと体形だ。
何なら一度コミ〇でそのコスプレをふざけ半分でしたら、いつもの撮る側から撮られる側にジョブチェンジするくらいに大盛況になったことも思い出す。
むしろそんな拙者を全裸で首輪につなぐとかどんな異常性癖だと、声を大にして言いたい。
しかし、そこで嫌々みただらしないはずの体は適度に引き締まり、なにより肌の色がまるで推しアイドルだった『ひよりん』くらい白い。
いや、人種的にハリウッド女優張りの白さと弾力と美しさがあるし、なんと乳首の色がアイドルのようにピンク(これは彼の偏見でありピンクでないアイドルもいます)だったのだ。
「えっ、拙者どうしてこんなきれいな肌と乳首をしているでござるか??あのしまりのない高カロリーで低価格な食材によって生み出された悲しきオタクリーチャーボディーはどこへいったでござる??」
焦って周囲を見渡したことで、窓ガラスにそれはもう、妹の部屋に飾られていた2.5次元俳優バリの金髪碧眼の美青年が首輪をされて全裸の状態で映し出されているではないか。
「えっ、嘘、キモオタの拙者が、嘘でござる。こんなパリピリア充面とかありえないでござる!!」
『ところが、これが今世での君の姿なんだよ、ルシオン・クリスト・メビウス王子。いや、今はただのルシオン殿かな』
妙に明るい、例えるならスマホゲームの廃人である骨川氏がハマっていた某英霊が沢山出てくるゲームのろくでなしの魔術師くらいの軽いトーンで話しかけられた。
声豚ではないので拙者には刺さらないが、まぁイケボの部類であろう。
「拙者が王子??悪い冗談はやめて頂きたい。仮に王子だとしても裸の王子とかでござろう。いや王子とかおこがましいので豚とかでも良さげな……」
『ネタとかではなく、君は推しアイドルへの重課金生活の末、ある日彼女が一般男性と結婚するというニュースを見てしまい、今までの不摂生な生活も祟りショックで死んでしまったんだよ。そうしてそれを面白がもとい憐れんだ神、つまり僕によりこの異世界でイケメンの王子に生まれ変わったってわけさ』
いきなりラノベの冒頭のようなことを言われて正直半信半疑だったが、窓に映る美しい青年が自分と言われたら確かに今自分がイケメン王子であると認めざるおえないなとひとり納得した。しかし、だとしてどうしても引っかかることがあった。
「えっ!!推しが結婚してショック死とか拙者マンボウか!?しかし、転生したのがイケメン王子だとして、何故拙者は全裸に首輪とかいうエロ同人みたいな姿なんでござるか??」
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