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66.真贋の判定基準はとても気持ち悪いか否か

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「……あの……」

「ああ、僕の伯父、つまりルキウスの伯父でもある、プロキオン王国のベルダンディ公爵だ。魔法解析がとても得意な御方でギルフェルの状態を確認して頂いたのだよ」

ベルダンディ公爵の名前は聞いたことがある。確か現在プロキオン王国の宰相も務めている方で、確かルカとシオン大公の母、前大公夫人の兄であると。だからかもしれないがとてもシオン大公に似ている。

ルカはもう少し優し気な雰囲気と紫の瞳をしているのだけれど、もう少し冷たいけれど外観だけなら天使っぽい一族だ。そう、見た目だけは嫌いではない。

「なるほど、私のルーカスよりは悪魔度が下がるが、確かに魔王っぽい外観だ」

「いえ、ルーカス陛下は性格が優しいので外観にもその優しい感じが出てますが、ギルフェルはとぎすまされた刃の美しいその切っ先によく似……」

「そのネタは2回目だから却下だ。後、美しいのはルカだ。俺は美しくない」

そう言った俺の顔を4つのアイスブルーの瞳が見ている。非常に居心地が悪い。

「うむ。彼は性格が可愛いようだ。うちの息子に少し似ているかもしれない」

「ええ、グレッグはもう少しこう、幼いじゃないですか。チワワっぽいというか。ギルフェルは気高い魔王なので違います。解釈違いです」

色々限界オタクのようなことを言っているシオン大公を生ぬるく見つめつつ、それより今一番会いたい人がいない事実に胸騒ぎを覚えた。

「ルカは??ルカはどこに……」

その言葉にシオン大公とベルダンディ公爵が複雑な顔をしている。

「ルキウスは、今アクアマリン伯爵家に帰っているよ。ただ……」

「望まない婚約をさせられたらしい。私達も今さっき君の部下のサファイア侯爵令息から聞いたところだ。これについては私も甥っ子を救うために助力をさせてもらう。シオンから聞いたがあまりにもルキウスが可哀そうで今すぐアクアマリン伯爵家を火の海にしたい気持ちを抑えている」

「なるほど、ベルダンディ公爵様。俺もアクアマリン伯爵家は火の海にしたいので、全く同じ気持ちです。シオン大公よりも貴方の方が気が合いそうだ」

ベルダンディ公爵と握手を交わす。大切なものを連れ去った無礼な家は焼き討ちに限る。

「落ち着いてください、伯父上もギルフェルも。確かに私も水で館を流してアクアマリン伯爵家の土地を一度洗い流してリセットしたいくらいにはイライラしていますが、それではいけません。確実にルキウスを取り戻すためにも一度、国王陛下に謁見をしに行きませんか??ルキウスが生きていたのですから、我々は弟を、家族を解放してもらうべきだ」

いつもの信じがたい発言が嘘のようにまともなことを言うシオン大公にもしかして、偽物ではと一瞬思ってしまった。だから、本物か確認してみることにした。

「シオン大公、お前は俺のどこが好きなんだ」

あまりしたくない質問だが、これで大体ヤツかどうかはわかる。とても気持ち悪かったらシオン大公だ。その質問に凄く嬉しそうにシオン大公は笑ってからとても早口に言った。

「えっ、ギルフェルいきなりどうしたの??ついに私の積年の気持ちが実るの??それはもうね、まずその美しい魔王のような気高い姿、私が好むすべての悪魔の頂点に立つに相応しいその姿、ああ、監禁して鎖で縛りつけて気高いブラックダイヤモンドを砕きたい、そう砕いて私だけを……」

「とても気持ち悪い。間違いない。シオン大公か。あまりにまともな発言をしたので一瞬偽物かと思った」
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