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41.愛する人の血塗れ魔王認定は辛い

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「任せて下さい!!お安い御用ですよ」

花が咲くような美しい笑顔のルカエル。可愛い。全てが花丸。そんなルカにギルっちと呼んでもらえたら幸せで死ねる。だから、そう言おうとした。

「じゃあ……ギルっ」

「大魔王様からまおっちとか可愛くないですか??」

(大魔王??ギルベルトからでなく、大魔王??)

最初全く思考が追いつかなかった。大好きな子に、大魔王と呼ばれるのが辛い、辛すぎる。

今まで大魔王とか呼ばれても死ぬほどどうでも良かったけど
ルカに呼ばれるのは辛い、ヤバイ一度泣いてから涙腺が弱くなってる、泣いちゃダメだ、情けない。

「気に入りませんでしたか」

天使が心配そうに聞いた。本当は肯定してあげたいが、そのあだ名は許容できない。

「すまない、それだけは却下したい」

「分かりました、えっとじゃあ、大魔王様じゃなく……」

そうだ、大魔王から離れてくれ。単純にギルっちと……。

「血塗れの印象が強いのでちまたんとかどうです??可愛くないですか??」

花も綻ぶ笑顔で心臓を二重に突いてきた。ルカの愛らしさと俺への認識の酷さ。

(つまり、俺はルカに血塗れ大魔王と認識されている??そんなヤツ好きになるなんてシオン大公みたいな変態以外居ないじゃないか、辛い)

ルカとの出会いからやり直したい、やり直したい。

「ギル様!?泣いていらっしゃるのですか!?はわわすいません、あ、これ、涙を拭いて下さい」

そう言って、ルカが泣いている俺にレースのハンカチを差し出した。

(優しいルカ、ルカは天使だ。天使……)

「あああ、ギ、ギル様、す、すいません!!」

しかし、ハンカチを渡したルカが瀕死みたいな顔をしている。

「どうかしたか??」

「僕、悪気はなくて、その……」

ひどく震えるルカになんだか余計に泣けてきた。涙を拭おうとハンカチを広げる、広げた……。

「これ……」

ドスケベな、下着。具体的にはなにひとつ守れないタイプの透けた布面積の少ないTバックレースの下着だった、しかし、なぜルカがこんなものを。

「すいません!!てかなんで僕の胸ポケットにパンツ入ってるの!?」

「あ、シオン大公の指示で、ルカっちを快楽堕ちさせる時にはかせるように準備させられたエッチな下着をルカのポケットにいれてました」

しれっとギルっちという男が言った。

待て、情報が多すぎて処理できないが、このパンツはルカのパンツじゃない、変態が準備した……。

「ひぃ、ギル様殺さないで」

「辛い、しにたい……」

その瞬間いろんな気持ちがない混ぜになり、泣いた。大号泣した。こんなに泣いたのは多分赤ん坊以来だ。

「ギル様、ごめんなさい。本当に嫌だったのですね、許してくれなくて良いですから泣き止んでください。よしよし」

泣きわめくダサい俺を、まるで聖母のような優しい顔をしたルカが優しく背中をトントンしてくれた。

(どうせ印象が血塗れ大魔王ならこれ以上酷いことにはならない。なら……)

やけっぱちで俺はルカにしがみついて泣いた。すごく良い匂いがして束の間の幸福が俺を包んでいた。
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