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32.狂気のお部屋拝見で分かった真実(ルカ視点)

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「……ベルっち、でもそんなことしたらベルっちが危なくならない??」

「いいよ。どうせ大公様のこと嫌いだし」

ベルっちがむしろせいせいしたとでも言うように吐き捨てた。僕からするとシオン大公様はこんなに嫌われる人ではないし、むしろ学生時代は助けてもらったこともあるのでなんだか、ちょっと複雑な気持ちになる。

まぁ、ベルっち曰く僕にみさく〇語を話させるくらい堕落させる気だったという、驚愕の話をされたけれど、それでもまだ信じられない部分はある。

「ベルっち、大公様と仲が悪いの??もしかしてパワハラとか受けたりしたの??」

「パワハラよりはセクハラかな。あの人、黒髪で黒目が好きだけど、黒髪で赤目も好きだし、悪魔っぽい容姿の人間見ると鼻血吹いて興奮する変質者だし……」

「えっ??黒髪、黒目??悪魔……さっきも教えてくれたけど、大公様は大魔王様へんきょうはくさまが好みなんだね……」

「……微妙に信じられないの??そうだ、証拠を見せる」

そう言ったベルっちが僕の手を引いて、部屋を出た。お城の中は荘厳なゴシック風で例えるなら悪魔城みたいな暗さがあるというか……何だろう、中二病っぽいんだよな。例えば壁掛けの絵画とかさ、一時期流行った見ると不幸になるとか言う首の長い女の人の絵とか、怖い系の絵画が飾られている。

表向き紳士だったシオン大公様の意外な趣味に、「人類みんな、みんな、変態さ」と誰かに言われて納得したのを思い出した。僕だって、童貞脱退に夢中な素直な変態だからな。せめて擦れない変態でいたい。

そうして、一際おどろおどろしい部屋に連れてこられた。そこはアンチクロスとか牛の頭の骨とかが飾られた扉のある部屋で、完全に患われていることが分かる。

「なるほど、入り口だけでもすごいオーラがありますね」

「……中はもっとひどいですよ」

そう言って開かれた扉の先の光景に思わず、絶句する、なぜならそこには……。

大魔王様へんきょうはくさまが壁一面に、えっ、これ……」

「ストーカールーム。気持ち悪いよね」

なんだろう、見てはいけないもの見た感覚がすごいする反面、僕はシオン大公の正体に気付いてしまった。これはストーカーというよりも……

「ガチ恋、強火担の同担拒否……」

「ルカっち、その呪文なに??」

訝しい顔でベルっちに見られている。僕はサブカルクソ野郎だったことがあるので知っている。間違いない、シオン大公様派ストーカーというより完全なるだ。ストーカーっていっているけどストーカーだったら多分辺境伯様の持ち物とかパクリそうだけど、部屋にあるのは辺境伯様の姿絵ばかりだし、なんなら自作と思われる缶バッチやアクリルスタンドや、抱き枕まである。これは間違いなく辺境伯様のファン、それも行き過ぎたファンだ。

「いや、うーん。ストーカーでは多分ないよ、困った人なのは間違いないけど……」

僕は大魔王様へんきょうはくさま担当ではない。というか全女性担でしかない。男性担にはならないので、その辺りを理解してもらえばワンチャン、シオン大公様も理解してくれるかもしれない。僕はちょっとした突破口を見つけた気持ちになった。
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