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24.目覚めたら知らないところにいて……(ルカ視点)
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「目が覚めたかい、ルカ」
「貴方は……」
目覚めた僕の眼前に居たのはよく知っている人だったけれど、彼がここにいる理由がわからない。
「シオン大公様??」
「そうだよ、久しぶりだな。やはり君は麗しいな。ふふふ、君が彼を魅了したのもよくわかるよ」
そう言って目を細める。シオン大公様は、銀色の髪に深い蒼の瞳をした美男子だ。正直な話、僕が女の子ならキャーキャー言うレベルのとても整った顔立ちをしている。月の王子様とか氷の貴公子とか言われそうな物凄い超絶レベルのイケメンだ。
そんな本物のイケメンに美しいとか言われても実は1ミリも嬉しくない。だって僕は自分が彼と並んだ場合、月とスッポン、真珠と鼻くそくらい違うことがちゃんとわかっている。
「ルカ、君を助けに来たんだ。僕の家においで。この国に居場所がないならば、公国で面倒をみてあげよう」
美しい双眸を細めた。その表情も学生時代によく見たものだ。それなのに何故かずっと胸騒ぎが止まらない。大体僕は先ほどまで辺境伯様の城にいたのに、今どこに居るのだろうか。
「あの、ここはどこですか??」
首を傾げる、先ほどから乗り物に乗せられて移動しているということだけが分かった。つまり僕は辺境伯様の城から攫われたということになる。もっというと今思い出したけどシオン大公様の国であるフルー公国とうちの国で戦争が起きていたはずだ。そうだとしたら今の僕の状態はとてもまずいはずだ。
「ここは乗り物の中さ。もうすぐ国境を越えて我が国へ入るだろう」
そう答えたその声、仕草は優雅でそつがない。けれど何かとても違和感がある。その違和感の正体が僕には分からない。ただ、シオン大公様について、僕は昔から気になっていたことがあった。
(この人は、僕を好きだとか可愛いとか在学中から言っていたけど、そういう人にありがちな襲おうとするムーブが一切なかったんだよな)
大体の僕にいじめや興味を持っていた学生時代の人達は、僕を襲うか、あるいは軽いスキンシップとかで体を触ったりしたり、いじめたりしていたが、この人、シオン大公様は昔からただ笑顔で僕の手助けをしたりしてくれた、してくれたけど、そこにいつも違和感があった。
その違和感と今抱いている違和感はよく似ている。なんだろう例えるなら、「この人は、本当に僕を好きなのだろうか」という恋する乙女みたいな違和感だ。
僕を好きという割に、シオン大公様の瞳はいつも冷えて見えた。冷たい印象のある人だけれどだからって恋する相手を目の前にすればもう少し感情が動きそうだが、彼はそういう雰囲気がない。
(むしろ、たまに僕を……)
「さぁ、国境を越えたよ、ルカ。ようこそフルー公国へ」
そう微笑んで、シオン大公様は言った。それが地獄への入り口だったなんてその時は考えてもいなかった。
「貴方は……」
目覚めた僕の眼前に居たのはよく知っている人だったけれど、彼がここにいる理由がわからない。
「シオン大公様??」
「そうだよ、久しぶりだな。やはり君は麗しいな。ふふふ、君が彼を魅了したのもよくわかるよ」
そう言って目を細める。シオン大公様は、銀色の髪に深い蒼の瞳をした美男子だ。正直な話、僕が女の子ならキャーキャー言うレベルのとても整った顔立ちをしている。月の王子様とか氷の貴公子とか言われそうな物凄い超絶レベルのイケメンだ。
そんな本物のイケメンに美しいとか言われても実は1ミリも嬉しくない。だって僕は自分が彼と並んだ場合、月とスッポン、真珠と鼻くそくらい違うことがちゃんとわかっている。
「ルカ、君を助けに来たんだ。僕の家においで。この国に居場所がないならば、公国で面倒をみてあげよう」
美しい双眸を細めた。その表情も学生時代によく見たものだ。それなのに何故かずっと胸騒ぎが止まらない。大体僕は先ほどまで辺境伯様の城にいたのに、今どこに居るのだろうか。
「あの、ここはどこですか??」
首を傾げる、先ほどから乗り物に乗せられて移動しているということだけが分かった。つまり僕は辺境伯様の城から攫われたということになる。もっというと今思い出したけどシオン大公様の国であるフルー公国とうちの国で戦争が起きていたはずだ。そうだとしたら今の僕の状態はとてもまずいはずだ。
「ここは乗り物の中さ。もうすぐ国境を越えて我が国へ入るだろう」
そう答えたその声、仕草は優雅でそつがない。けれど何かとても違和感がある。その違和感の正体が僕には分からない。ただ、シオン大公様について、僕は昔から気になっていたことがあった。
(この人は、僕を好きだとか可愛いとか在学中から言っていたけど、そういう人にありがちな襲おうとするムーブが一切なかったんだよな)
大体の僕にいじめや興味を持っていた学生時代の人達は、僕を襲うか、あるいは軽いスキンシップとかで体を触ったりしたり、いじめたりしていたが、この人、シオン大公様は昔からただ笑顔で僕の手助けをしたりしてくれた、してくれたけど、そこにいつも違和感があった。
その違和感と今抱いている違和感はよく似ている。なんだろう例えるなら、「この人は、本当に僕を好きなのだろうか」という恋する乙女みたいな違和感だ。
僕を好きという割に、シオン大公様の瞳はいつも冷えて見えた。冷たい印象のある人だけれどだからって恋する相手を目の前にすればもう少し感情が動きそうだが、彼はそういう雰囲気がない。
(むしろ、たまに僕を……)
「さぁ、国境を越えたよ、ルカ。ようこそフルー公国へ」
そう微笑んで、シオン大公様は言った。それが地獄への入り口だったなんてその時は考えてもいなかった。
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