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22.白薔薇のお姫様とかいう暗黒歴史(ルカ視点)

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「ルカ、好きだ、ずっとお前だけが好きなんだ、

「なんで、僕の黒歴史をギル様がご存じなのですか!?」

大魔王様へんきょうはくさまがなぜ、僕の最悪の漆黒黒歴史を知っているんだろう。あまりの事態に声が裏返る。

僕の家は男ばかりの三兄弟で、僕は末っ子。母は女の子が欲しかったと嘆き悲しみ、僕はこの容姿のせいで特定の時期まで女装させられてお茶会を連れまわされていた。

その際に、母親に「白薔薇のお姫様」と言って色々な人に紹介されていた。それが原因で学生時代いじめにあったんだよな。貴族の学校は基本男子校か女子校と性別で別れていたから、男だらけの男子校で昔女装していた「白薔薇のお姫様」だってバレて、そのせいで異常に僕はいじめられたのだ。

(嫌な記憶だよな……大魔王様へんきょうはくさまも僕をいじめていたひとりだったと思ったけど……)

どうやら違うみたいだ。今思い出してもだいぶ嫌ないじめだったよな。

剣術の授業とか顔以外の見えないところボコボコにされて、酷いヤツは僕の服を脱がして全裸にして侮辱したり、僕の乳首とか何故か舐めたり、あげく僕のアナルに何か挿れようとする嫌がらせもあった。尻はだめだよ、最悪すごい事故になるもの。けれど、その度に機嫌が悪い大魔王様へんきょうはくさまとその仲間の人達来て、いじめっ子はみんな蜘蛛の子を散らす感じで逃げて行ったな。

それ以外にも、

「お前見ていると動悸が酷くなり精神がおかしくなる」とか「お前のせいで目覚めたからケツで責任とれ」とか「天使みたいな顔して、本当は沢山の男を誑かしてるんだろう??」とか「ターコイズのお前女なんだろう??」とか身に覚えのない罪をよく着せられたな。やっぱりナンパっぽいところが騎士っぽい人達には嫌われていたのかもしれない。

「15年間お前が好きだ。ずっとずっとただ、お前だけが好きだ」

そう、真剣に告白された。どうしよう、でもこれってある意味チャンスかもしれない。何度も言うが僕は童貞脱退が目的だ。ならば、ここは大魔王様へんきょうはくさまに嫌われないように媚びて、結果的にここから抜けだしたい訳だ。

だから、つまり、大魔王様へんきょうはくさまがもし僕を好きなら、申し訳ないけどその感情を利用させてもらえば……。

とも考えたけど15年間も好きな人にそういう打算的なことされたら、可哀そうだよな。うん、ここは……

「あの、ギル様、僕は、まだよくギル様を知りません。だから、もう少し、もう少しちゃんとお付き合いしてから答えても良いですか??」

男の大魔王様へんきょうはくさまを好きになるかは、僕ノンケだと思うから確率的には低いと思うけど、ちゃんと考えてみよう。そう答えたら、いままで恐ろしい形相だった大魔王様へんきょうはくさまがとても柔らかく笑う。

「ああ、分かった。ルカ、お前の言葉を信じる」

(この人、本当に僕のこと好きなんだな……)

その時、僕は気付くべきだった。15年間も同じ人間を愛しているという人間の恐ろしい執念とか諸々に、そして、この答えが後ほど大変な事態の遠因になることを……。
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