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11.ファーストキスに怯える天使

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その後、ベッドの上にドレスを着たルカを抱き上げて運んだ。まるで羽のように軽い体に心配になりながらも、だからこそ俺が守って大切にしないととさらなる誓いを立てた。

「あれ?へんき……ギル様。ベッドで行うのですか?」

びっくりしたように問うルカに、逆に面食らう。ベッド以外で初夜って、まさか青姦や、SMプレイなどを所望していたりしないだろうか……。いやだとしてもはじめてくらいはノーマルなのが俺は良い。

それにルカはやたら童貞を主張するが、そもそもルカは童貞であり処女だ。性行為自体はじめてなのだからそんな特殊なことはルカが望んでもまだしてはいけない。

「そうだ。外などのような特殊な場所では行わない」

「ええ。でも汚れちゃいますよね?」

そう言ったルカの顔が心なしか紅潮して見えた。

(そんなことを気にしていたのか、ルカ、ルカエルはやはり天使だ、ああ、もう全部抱きしめて無茶苦茶にしたい、無茶苦茶にしたい。)

「いくら汚れても、汚してもかまわない。また洗えば問題ないからな」

「……そうですか、ギル様が良いなら僕は素直に従います」

リピートアフターミー。「僕は素直に従います」完全なる同意だ。その美しい身の全てを預けてくれるということか……。

「ありがとう。大丈夫怖くない」

そうなるべく優しく微笑むとルカがブルブル震えている。なんだかよく見る光景だ。そんなルカのバラ色の唇に自身の唇を重ねた。

(ずっと願ってきた、ずっと……)

そう思い可愛いルカがどんな顔でキスされているか見たくなり、瞳を開いた……が。

(えっ、なんでルカは目を開いたまま固まっている?あ、もしかしてキスもはじめてだったのかもしれない。可愛いな。ルカエルまじ天使だな)

そう思い、その可愛い口の中に舌を入れようとしたのだが……何故か物凄い本気で開かないように口を閉じているルカによりうまくいかない。

仕方ないので、ルカの脇腹の辺りをくすぐるように撫でる。

「んんっ!!」

体を捩っているルカ。しかし口は閉ざされたまま。真っ赤な顔をしながら必死に口を開かないようにしている。

(なぜ?あ、やっぱり初めては恥ずかしいのだな……しかし俺も限界だ。ルカを味わいたい)

仕方ないので奥の手として、その鼻をふさぐ。そうすれば呼吸ができなくなるのでルカは自然に口を開かざる得ない。

「ぶはぁ」

今だ。ルカの口が空いた瞬間を狙い、顎を上向きにして目にもとまらぬ早業で俺は舌を滑り込ませた。
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