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07.愛おしい人に着せたい服がある

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気絶したルカをベッドに寝かした後、俺には気になることがある。

「ルカを着替えさせてあげた方が良いよな……」

流石に旅の服装のままでは万が一ルカが、痛かったり寝苦しかったりしたら可哀そうだ。しかし、その、ずっと好きな人の服を無理やり脱がせたりして良いのだろうか?

それに、よく考えたらルカは気分がすぐれないと言っていたから湯あみもしばらくできないかもしれない。なら、俺がその手ずから拭いてあげても良いかもしれない……というかルカの白く美しい肌を他人が見たら間違いなく欲情するので俺だけがみたい。

(とりあえずルカの服を着替えさせよう)

そう考えた。しかし、何を着せよう。例えば俺の服をきせて彼シャツみたいにしても良いけれど、ずっとルカに着せたい服が実はあったりする……それは。

「この純白のドレスを着せてみたい」

ルカが男だとは分かっているが、折角これから一緒に暮らす、実質夫婦になるようなものなので式はしなくてもドレスを着せてこう、気分だけでも味わいたい。しかし、流石に無許可でそんなことをするのは倫理的にダメだともわかっている。

けれど、自身の欲求との板挟みの中でもだもだしていると、

「んんっ」

と色っぽい声を薔薇色の唇の隙間から上げて、ほんのり白い肌が上気した言い表せないくらい美しい大天使のようなルカ……そうだ、今度からルカエルと心の中で呼ぼう。

それくらいもう、一枚の宗教画レベルに尊いルカがその長い睫毛の茂みをうっすらと開く。ああ、そのアメジストのような瞳に俺だけを映して欲しい。

「あんぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」

しかし、その瞳と目が遭った瞬間、耳をつんざくような絶叫をあげた。何故だ?やましい感情が、悪魔のような邪悪な感情がバレたか?

「黙れ」

「あ、す、すいません。あ、あの、あああああ、殺さないでください、許してください。僕は死にたくないです、童貞を童貞をせめて捨てるまで生きたい、お願いです、殺さないでください」

ルカは何故か俺に対して命乞いばかりする。M疑惑が前に出たが、正直天使のようなルカ、穢れなきルカエルに対してそんなプレイをするのは嫌だ。

その白い肌を鞭で打つのとか痛々しい。むしろ傷があるなら俺が何をしてでも治したいくらいなのに。

「殺さない。大体お前は俺のものへいしだ、その血の一滴、髪の毛の1本残らず全て無駄にするつもりはない」

そう、その美しい全て、神が制作した最高傑作たるルカエルを殺すとか馬鹿としか思えない、がなんだかルカが真っ青になっている。むしろ真っ青とおりこして紙くらい元々白い肌が染まっていて唇が震えている。

(可哀そうに、どうしたのだろう?その唇をふさいであたためてあげたいな……)

「うう、い、生贄に捧げるのもお許しを、哀れな子羊をお許しください。へんきょうはくさま」

「違うギルと呼べ」

「ひゃい、だいまお、いえギル様、どうぞお怒りをお沈めください、何でも致しますから……」

「なんでも……ならば、お前に着せたい服があるがそれを着てもらえるか?」

どさくさだが仕方ない、なんだか会話が成り立ってない気もするがルカにウェディングドレスを着せたい。

「そんなことくらい喜んでします!!」

……喜んで。怯えているようだが、その言葉に少し心が軽くなるのが分かった。
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