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32.冷血小公爵は終わりのない夢の中で……※
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※直接的な描写はありませんが少しだけ注意が必要です。
「マティアス……もっと……」
「姫君……」
自身の喉から自然と漏れる甘ったるい声色にも最早、嫌悪感は抱かなくなっていた。あの日から全てが驚くほど満たされている。
マティアスの背に腕をまわして、甘えるように腰を揺らしながら最奥を貫かれて歓喜するように声を上げて果てる。
それを永遠に繰り返す日々に生産性などはない。けれど、壊れた機械か何かのように僕はそれを繰り返し、マティアスもそんな繰り返しを許し続けてくれている。
時間がすでに意味をなさなくなったふたりだけの王国で、永遠に繰り返される営み。
(……僕は、同じことを繰り返しルールに沿って行うことが好きだった)
幼い頃から、得体の知れない新しいことが怖いと思う性質だった。けれど、『騎士』になるためとそれを我慢してきた。
(僕は、シンプルな服より、繊細な装飾のある服が好きで、剣より刺繍が好きだった)
けれど、『騎士』であるためにそれらを忘れていた。
(僕は、『姫』のために全てを投げ打つ覚悟をしていたが、『姫』から打ち捨てられた)
けれど、『騎士』をやめたことで壊れて『姫』になった。
多くのことはなにひとつ僕の望み通りにずっとならなかったが、マティアスが僕の『騎士』が壊れた僕に与えてくれたこの王国では、いままで望み続けてきたものが全て叶った。
「フレデリック様、どうしましたか??」
急にマティアスが心配そうにそう聞いてきた。この男は不遜なくらいの自身かかと思えば酷く自虐的な内面を抱えている。その相対する壊れた心を僕はやっと理解できるようになった。
だから、にっこりと微笑み抱き着いた彼の耳元で囁く。
「幸せを噛みしめているんだ」
その言葉に、ゆっくりとベッドに体を押し倒される。
「本当に貴方は、俺を煽るのが上手だ」
マティアスの瞳に獣が宿る。ぎらついた狂気に満ちたその獣がずっと怖かったが今はそれすら愛おしい。
呼吸すら奪うような激しい口づけを受け入れながら舌を絡め合えば、相手の呼吸を奪い合うような貪るようなキスになる。
「っ……あっ」
酸欠になり頭がぼんやりした頃、糸を描きながら名残惜しそうに離れる。
「本当は、俺は貴方があの日、『落伍騎士』にされることを知っていたんです。知っていながらあの残酷な瞬間を止めなかった」
それは突然の罪の告白だった。
少し前の僕ならマティアスを責めたかもしれない。けれど、僕はあまりにもマティアスに近付きすぎてしまった。だから……。
「途中から気付いていたよ。お前は僕を手に入れるためならたとえ地獄にだって恐れなく来る男だから……」
オルペウスのように勝算などなくても、地獄の果てまで逃げようがどこまでも、この男が僕を追ってくることが泣きたいくらいに分かってしまった。
「はい。たとえ地獄の果てでも貴方が居るなら堕ちていくでしょう」
(……そう、だから)
一糸まとわぬ姿でお互いが絡み合う。これがひと時のまやかしでもならばその一瞬一瞬で離れたりしないように。
「……姫君、あなたは今幸せですか??」
そう問いかけたマティアスに僕は曖昧な笑みだけを浮かべ返した。
「マティアス……もっと……」
「姫君……」
自身の喉から自然と漏れる甘ったるい声色にも最早、嫌悪感は抱かなくなっていた。あの日から全てが驚くほど満たされている。
マティアスの背に腕をまわして、甘えるように腰を揺らしながら最奥を貫かれて歓喜するように声を上げて果てる。
それを永遠に繰り返す日々に生産性などはない。けれど、壊れた機械か何かのように僕はそれを繰り返し、マティアスもそんな繰り返しを許し続けてくれている。
時間がすでに意味をなさなくなったふたりだけの王国で、永遠に繰り返される営み。
(……僕は、同じことを繰り返しルールに沿って行うことが好きだった)
幼い頃から、得体の知れない新しいことが怖いと思う性質だった。けれど、『騎士』になるためとそれを我慢してきた。
(僕は、シンプルな服より、繊細な装飾のある服が好きで、剣より刺繍が好きだった)
けれど、『騎士』であるためにそれらを忘れていた。
(僕は、『姫』のために全てを投げ打つ覚悟をしていたが、『姫』から打ち捨てられた)
けれど、『騎士』をやめたことで壊れて『姫』になった。
多くのことはなにひとつ僕の望み通りにずっとならなかったが、マティアスが僕の『騎士』が壊れた僕に与えてくれたこの王国では、いままで望み続けてきたものが全て叶った。
「フレデリック様、どうしましたか??」
急にマティアスが心配そうにそう聞いてきた。この男は不遜なくらいの自身かかと思えば酷く自虐的な内面を抱えている。その相対する壊れた心を僕はやっと理解できるようになった。
だから、にっこりと微笑み抱き着いた彼の耳元で囁く。
「幸せを噛みしめているんだ」
その言葉に、ゆっくりとベッドに体を押し倒される。
「本当に貴方は、俺を煽るのが上手だ」
マティアスの瞳に獣が宿る。ぎらついた狂気に満ちたその獣がずっと怖かったが今はそれすら愛おしい。
呼吸すら奪うような激しい口づけを受け入れながら舌を絡め合えば、相手の呼吸を奪い合うような貪るようなキスになる。
「っ……あっ」
酸欠になり頭がぼんやりした頃、糸を描きながら名残惜しそうに離れる。
「本当は、俺は貴方があの日、『落伍騎士』にされることを知っていたんです。知っていながらあの残酷な瞬間を止めなかった」
それは突然の罪の告白だった。
少し前の僕ならマティアスを責めたかもしれない。けれど、僕はあまりにもマティアスに近付きすぎてしまった。だから……。
「途中から気付いていたよ。お前は僕を手に入れるためならたとえ地獄にだって恐れなく来る男だから……」
オルペウスのように勝算などなくても、地獄の果てまで逃げようがどこまでも、この男が僕を追ってくることが泣きたいくらいに分かってしまった。
「はい。たとえ地獄の果てでも貴方が居るなら堕ちていくでしょう」
(……そう、だから)
一糸まとわぬ姿でお互いが絡み合う。これがひと時のまやかしでもならばその一瞬一瞬で離れたりしないように。
「……姫君、あなたは今幸せですか??」
そう問いかけたマティアスに僕は曖昧な笑みだけを浮かべ返した。
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めっちゃ面白そうな設定でわくわくしてます。応援してます。
コメントを頂きありがとうございます。
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コメント失礼します
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コメントを頂きありがとうございます。
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コメント頂きありがとうございます。
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