婚約破棄された冷血小公爵はライバルの最狂ヤンデレ騎士にらちかんされました

ひよこ麺

文字の大きさ
上 下
4 / 33

03.冷血小公爵様は奇妙な疼きに襲われる※

しおりを挟む
※まだ本格的ではないですが少しセクシュアルなところがあります。ご注意ください。


マティアスに言われて気付いたのが、その部屋の中にある多くの物、例えば調度品から家具に至るまで幼い頃にマティアスに『好きだ』と話したものばかりで驚愕した。

「この部屋にあるものは……どうして」

「フレデリック様をにするために、貴方の好きなものだけを集めました」

普段のマティアスは凛々しい騎士の模倣のような男なのだが明かに様子がおかしい。

「……覚えていたのか」

考え事をしているうちにどこからか無表情な使用人達が現れてベッドに付属しているタイプの机に飲み物が置かれていた。

「貴方の言葉はすべて覚えています。……建国記念パーティーでお疲れでしょう??これをお飲みください」

そう言って差し出されたのは金縁のついた白いカップに入れられたホットミルクだった。幼い頃好きだったそれは懐かしいにおいがして美味しそうに湯気を立てていた。

今日1日まともに食事も飲み物も口に出来ていなかったことに今更気づいた。

「いただこう」

カップを受け取り口をつける。

「??」

しかし、想像とはミルクの風味とは違う奇妙な味がした。その味は全く知らない味で何か分からなかったため表情がわずかに歪む。

「特別なミルクにはちみつをとかしたのですがお口にあいませんでしたか??」

「……いや、大丈夫だ」

表現し難いような独特の味だったが、思った以上に飢餓状態だった僕はそれすら飲み干した。

その時に気付くべきだったのだが、それを飲み干す僕を見つめるマティアスが恍惚の表情でこちらを見ていたことに……。

ミルクを飲み干すと、軽食も出された。それらは特に変わった味はせず、むしろ僕の好みの物や味付けがされていた。

食べ終わったことで少し冷静さをとりもどしたため、マティアスを牽制する目的もこめて言葉を紡いだ。

「ごちそうさまでした。……ところで卿と不本意だが婚姻するということらしいがはたとえ権利を失おうとも『騎士』であり『姫』になるつもりはない」

挑むような言葉と眼差しを向ける。

幼い頃のマティアスは僕が強く望んだり嫌だと言えば強硬するようなことがなかったことを思い出したためでもあった。だいぶ様子はおかしく成長したが根本的には昔の優しいマティアスでもあると先ほどの様子から感じたためだったが、その考えが甘かったことをこの後、痛感することになる。

今まで、狂気的だが実害の無かったマティアスが、突然、僕をうつ伏せの状態でベッドの上に押し倒したのだ。

「何をする!!」

痛みはないが、マティアスの様子がよくわからない状態に屈服されたことが屈辱的で抵抗を試みたが叶わない。そんな僕の耳元に熱い吐息と共にうっとりとしたバリトンの声が響いた。

「ああ、とても気高い薔薇だ。やはり貴方こそ俺の求める姫君だ。しかし、あまりにも美しいくて手折ってでも俺だけのものにしたくなるな……」

ひどく物騒な言葉にギョッとして首だけ横に向けると、黄金を高熱で溶かした時のようなドロっとした狂った眼差しと目が合ってしまった。

「まずい」と思ったが、時すでに遅く簡単に上半身に纏っていた衣服を剥ぎ取られてしまった。

その結果、剥き出しになった僕の背中を熱い手が妙にゾワゾワするように撫でた。

「何て滑らかな肌だ……ここに沢山の証を刻みつけたい」

「……何をする気だ……」

低い声で威嚇するように言うが、それに対してマティアスが嬉しそうに喉元でクックと低く笑うような声が聞こえるだけだった。

そして、その吐息が首筋に近付いたかと思うと湿った感覚がした。それがマティアスの唇でそのままチュっというリップ音を立てた。

「なっ……」

驚く僕など気付かないようにその後も何度も何度も同じ場所に舌を這わせられたりキスを繰り返される。吸ったり舐めたりを繰り返されるとなぜか次第に妙な感覚が体に生まれたのがわかった。

「やめぇ……っ…あっ」

「首筋が弱いのかな??ああ、薔薇が咲いた、真っ赤な薔薇……俺が貴方を手に入れた証……もっともっとたくさん咲かせたい……色々なところにたくさん……刻みたい」

そういうなり、顔をマティアスに横向きに固定される。無理やりの姿勢が苦しくて声が出なくなってしまったが、僕の様子に気付くこともなく、苦しさからこぼれてしまった生理的な涙すらマティアスはまるで甘露ででもあるようにねっとりと舐め取った。

(……反撃しないと)

なんとか抵抗するために足を勢いよく曲げて攻撃をはかるが、なぜか鉄を蹴ったような痛みが走る。

「いたっ」

「ああ、姫君、だめですよ。貴方の柔肌が傷ついてしまう、すぐに手当てをしないと」

顔を拘束していた手は離されたが、そのまま纏っていたズボンと下着も一緒に剥ぎ取られることになり、生まれたままの姿がマティアスに晒されてしまい赤面する。

うつ伏せのため、一番みせたくないものは見せずに済んだがそれでも無防備に尻を晒している状態であり、起き上がろうと試みるが起き上がることはできなかった。

「痛いですか??」

そう言われて先ほど負傷し腫れた部分を押された。本来なら痛みに顔をしかめる場面のはずだが、

「っあ……」

となぜか痛みと同時に奇妙な疼きが体に走った。その感覚は知っている。しかし、なぜ痛みでその感覚が想起するのか分からず戸惑う。

(ちがう、この感覚は……)

「……みたいですね」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

処理中です...