【本編完結】変態王子は拗らせ獣人王子の時を止めてもふ逃げしましたが、発情した彼に責任を取らされました

ひよこ麺

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09:愛する貴方への誓いと木端微塵に粉砕した扉と(レオンハルト視点)

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「ルーン……」

理性を完全に失い、獣のように犯してしまった。しかも、行為前に気付いたがルーンは絶対に処女だった。アーサーとかいう恋人はいるみたいだけど、まだ、アーサーとは結ばれていない。

そうじゃなきゃ、あそこまで肛門括約筋が閉まっている訳がない。むしろアーサーという恋人により性の喜びを知っていると勘違いしていたルーンは完全無垢なる存在だった。

しかし、そのルーンを俺は……。

(なんてことをしてしまった。大切な番をこんな乱暴に……嫉妬にかられて暴言を吐く、理性を失い無理やり犯す……最低だ)

しかも、俺の記憶が正しければ理性を失った間に、俺は欲情丸出しの姿で校内を練り歩いた。つまり、間違いなく学園内では変態王子を部屋に連れ込んだ変態ネコ科王子として広まっているはずだ。正直死にたい。

しかし、だからといって今腕の中にいる、最愛のルーンを手放すことは最早、不可能だ。例えルーンから拒絶されても俺は……。

そんなことを考えながら、腕の中で目を瞑る美しい顔を見つめるだけで頬が緩む。何があっても、例え変態王子ズということになっても、誰から反対されても、ルーンのことは守りぬくと誓って左手の薬指を再び噛もうとしたが……。

「……跡が残っている」

間違いなく幼い頃につけた跡がそこに残されていた。つまり、あの日以降ずっとルーンは俺のものだったのだ。

「ははははは、なんで、俺は、なんで……」

何故、ちゃんと調べもせずに最愛の番を傷つけたのかと考えて、また死にたくなりかけたが、落ち込んでいる場合も泣いている場合でもない。

俺は全ての覚悟を決めた。

まずは、ドロドロになってしまっている、ルーンを綺麗に清めて柔らかな肌触りの良い服を着せて、腕枕をしながら、まだ目覚めないその顔をずっと眺めていた。

「んっ……」

長い黄金色の睫毛が震えて、ゆっくりと瞳が開く。その極上のサファイアに自分が映るだけで胸の中に泉が湧くようなそんな気持ちになる。

「おはよう、ルーン」

「……もふもふさん」

何故そこで、俺の名前ではなく例のもふもふという意味のわからない単語なんだと首を傾げたが、それよりにへらとでもいうように甘く微笑んでいるルーン。守りたいこの笑顔。

しかし、次の瞬間、何かに気付いたようにハッとした顔になりルーンは俺の腕から逃げるように起き上がろうとした……が。

「痛い!!ううっ、腰が……」

「すまない、その……昨日は無理をさせて……」

誠心誠意謝らないといけない。確かに先に手を出したのはルーンだが、それでもどちゃくそに犯したのは俺であり、結果今ルーンは腰が痛くて動けないわけで……。

「アレは、夢ではなかったのかい!!ううっ、婚前交渉なんて、どうしよう。私はもうお婿に行けなくなってしまった……いつか素敵な世界一のもふもふさんと結婚して、私ともふもふさんに似た、美しくも可愛いもふもふな子達と幸せな生活を送る予定だったのに、婚前交渉を婚約相手でもないもふもふさんとするなんて、そんな不誠実さでは将来の伴侶(仮)に申し訳ない」

がゲシュタルト崩壊しそうなことを言いながら、いきなりその瞳から真珠のような美しい涙を流すルーン。どうしょう、今まで何があっても涙を流したことのないルーンが弱っている。これはいけない、なんとしてもその涙を拭ってあげなければ。

そう思って、咄嗟に持っていたハンカチで涙を拭いながら、

「お婿に行けないなら、うちに嫁にくればいい」

などとぶっきらぼうに言ってしまったが、違う!!もっと優しい口調だ、そうしないとルーンが……。

「いいのかい??私は世界一美しい王子様だけど、貴国にとって特に何か利益のある王子ではないよ。私的には貴方は良いもふもふの持ち主だから割とノリ気だけれど……」

涙が秒で止まっているルーンが、まっすぐ見つめて来る。

世界で一番綺麗で可愛い。誰がこんな可愛い子を変態などと呼んだんだ。確かに狂った目つきで獣人を追い回していたし、俺の大切なところもなんか異様に触りたがっていたがこの子はただの天使だ。むしろルーンがどうしても変態なら変態と書いて「てんし」と読むはずだ。

余計なことを考えながらも、力強く頷く。もう絶対ルーンを傷つけない。

「いい!!お前、いや貴方さぇいれば何もいらない!!必ずを幸せにすると誓おう」

俺はルーンの手の甲具体的には左手の薬指の噛み跡に口づけを落とした。

どんな地獄からも必ずルーンを守りたい。きっと今日から俺達は学園で変態王子ズという売れないお笑い芸人みたいな名前で呼ばれたり、色々、後ろ指を指されるだろうし、接近禁止命令を破ったのだから間違いなく国同士のもめごとになるだろう。それでも俺はもう、この手を離すつもりは一切ない。絶対に絶対にルーンを幸せにする。

「セニョールレオン、本当に私でいいのかい??貴方は私にもふられて欲情しただけの哀れなネコ科だというのに……」

「哀れじゃない!!その貴方にはじめて会った幼い日、その日からずっと貴方だけが好きです。薬指の噛み跡、『番の証』を刻んだのは俺で……」

その言葉にルーンの瞳が大きく見開かれた。可愛い。世界一可愛い。下半身が重くなる。

あまりこういう話はしたくないが、ライオンの雄は1日に50回とか交尾をすることもあるので割と性欲は強い方だと自負しているが、流石に昨日沢山犯したのだからもう少し冷静でいられると信じていたけど、ああ、その顔はいけない。また抱き潰したくなる。

しかし、そんなことする訳にはいかないので必死に脳内でまたたびとちゅ~〇ネコ科の秘宝の在庫の数を数えて冷静になろうとしていた。そんな俺の気を知ってか知らずか、ルーンの愛らしい手が俺のゴツゴツした手を包み込んだ。柔らかいし良い匂いがする、これはまずい。具体的にはまた勃ちそうだ。

「貴方が、あの日の恩人のもふもふさんだったのかい!!」

そんな俺の葛藤は完全に無視して嬉しそうに笑った。その笑顔ちゅ~〇レス。秘宝でも買えない価値を噛みしめながら、ルーンを再び抱きしめようとした時、鍵を閉めていたはずの扉が木端微塵に粉砕した。鍵は全く役目を成さなかった。

そして、何かしらの恐ろしい力で無理やり破壊されたそこからふたりの男が入ってきた。

「貴様!!!俺の愚弟に何をした!!!(貴様!!!私の可愛い可愛い弟に何をした!!!)」

「殿下!!なぜ、なぜそのような変態を!!」
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