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58.母なるリア(側近ガトー視点)
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蛇は勿論我々もその声の主を見た。そこにはひとりの美しい人が立っていた。性別は分からないけれどなんとなく私にも竜帝様にもうっすら似ている感じがした。
その姿を見るなりいきり立っていた、蛇達がまるで私にマタタビを浴びせられたネコ科達のようにひれ伏した。
「「父なるイグ、母なるリア」」
一種宗教のようにそう言ってなんならあの冷たい爬虫類みが強い蛇達が涙を浮かべながらその存在にひれ伏している。さっきの変態蛇竜神がイグだとしたら、この人は『母なるリア』なのかもしれない。
とても悲し気な憂いのあるその瞳には多くの苦悩があるような、ちょっと常人には理解しがたいような雰囲気がある。
「……なるほど、まだ首領の番がいたのか」
カオロが警戒したようにつぶやいたその言葉に、リア様は首を横に振る。
「イグ様とは番ではありません。むしろ番が永遠に失われた者同士だったので手を取り合ったに過ぎません」
それは胸を引き裂くような悲しい言葉だった。番を永遠に失った竜神も竜人も正気では生きていけなくなる。あるものは邪竜に堕ちるとも、あるものは永遠の孤独の中で狂って彷徨い続けるとも聞いたことがある。
その話を幼いながら聞いた時はオモマタタビを朝から晩までしてしまい、ネコ科に周囲を囲まれて大変恥ずかしいしもふもふしていた記憶がある。
「そして、僕は争うつもりもありません。みんな、イグ様は失われたのです。もう全てやめましょう」
「しかし、竜人への恨みが……」
ナーガは涙ぐみながらそう言いましたが、リア様はその体を優しく抱きしめて何かささやきました。その瞬間、彼は地面にひれ伏して慟哭しました。
ちょっと、あまりの超展開に意味が分からず無意識にまたオモマタタビしてしまった。ここにはミケくらいしかいないバレないと思ったが……。
「マタタビ神さまぁああああっ!!」
嬉しそうに駆け寄ろうとしたマヌルによりバレた。駆け寄ろうしているが、その体をカオロがすごい顔で後ろから抱きしめている。我が親類ながらちょっと意味が分からなかったので後でそれについては小一時間ほど問い詰めよう。
「……貴方が、戦の意思がないことは分かった。けれど、我々は蛇により多くの被害を被った」
「そうですね。僕の子供たちはイグ様の命で蛇の権限を取り戻すためにとても酷いことをしてきました。そして、それを僕は止められなかった」
その美しい瞳から涙をこぼす姿は、ピエタ象の聖母にも似た美しさで見る者の胸を掻きむしるような感覚がした。
「違う、悪いのは我々だけだ。リア様はいつも我々を止めようとしてくださった」
「そうだ、けれど身重でいつも大半いらっしゃったので体調的に色々難しかったのだ!!」
「我々をどうしても構わない。リア様だけは、我々の母上だけは殺さないでほしい」
その場にいた、蛇達全てが咽び泣きながらリア様を守ろうと懇願している。竜帝様はその様子を見つめながら何かを考えているようだった。
そんな竜帝様に、リア様がとても悲し気な笑みを浮かべながら言いました。
「いいえ、我々は彼らにとても酷いことをしたのです。その罪は僕とイグ様のもの。罰するならすべてこの僕が背負います」
その姿を見るなりいきり立っていた、蛇達がまるで私にマタタビを浴びせられたネコ科達のようにひれ伏した。
「「父なるイグ、母なるリア」」
一種宗教のようにそう言ってなんならあの冷たい爬虫類みが強い蛇達が涙を浮かべながらその存在にひれ伏している。さっきの変態蛇竜神がイグだとしたら、この人は『母なるリア』なのかもしれない。
とても悲し気な憂いのあるその瞳には多くの苦悩があるような、ちょっと常人には理解しがたいような雰囲気がある。
「……なるほど、まだ首領の番がいたのか」
カオロが警戒したようにつぶやいたその言葉に、リア様は首を横に振る。
「イグ様とは番ではありません。むしろ番が永遠に失われた者同士だったので手を取り合ったに過ぎません」
それは胸を引き裂くような悲しい言葉だった。番を永遠に失った竜神も竜人も正気では生きていけなくなる。あるものは邪竜に堕ちるとも、あるものは永遠の孤独の中で狂って彷徨い続けるとも聞いたことがある。
その話を幼いながら聞いた時はオモマタタビを朝から晩までしてしまい、ネコ科に周囲を囲まれて大変恥ずかしいしもふもふしていた記憶がある。
「そして、僕は争うつもりもありません。みんな、イグ様は失われたのです。もう全てやめましょう」
「しかし、竜人への恨みが……」
ナーガは涙ぐみながらそう言いましたが、リア様はその体を優しく抱きしめて何かささやきました。その瞬間、彼は地面にひれ伏して慟哭しました。
ちょっと、あまりの超展開に意味が分からず無意識にまたオモマタタビしてしまった。ここにはミケくらいしかいないバレないと思ったが……。
「マタタビ神さまぁああああっ!!」
嬉しそうに駆け寄ろうとしたマヌルによりバレた。駆け寄ろうしているが、その体をカオロがすごい顔で後ろから抱きしめている。我が親類ながらちょっと意味が分からなかったので後でそれについては小一時間ほど問い詰めよう。
「……貴方が、戦の意思がないことは分かった。けれど、我々は蛇により多くの被害を被った」
「そうですね。僕の子供たちはイグ様の命で蛇の権限を取り戻すためにとても酷いことをしてきました。そして、それを僕は止められなかった」
その美しい瞳から涙をこぼす姿は、ピエタ象の聖母にも似た美しさで見る者の胸を掻きむしるような感覚がした。
「違う、悪いのは我々だけだ。リア様はいつも我々を止めようとしてくださった」
「そうだ、けれど身重でいつも大半いらっしゃったので体調的に色々難しかったのだ!!」
「我々をどうしても構わない。リア様だけは、我々の母上だけは殺さないでほしい」
その場にいた、蛇達全てが咽び泣きながらリア様を守ろうと懇願している。竜帝様はその様子を見つめながら何かを考えているようだった。
そんな竜帝様に、リア様がとても悲し気な笑みを浮かべながら言いました。
「いいえ、我々は彼らにとても酷いことをしたのです。その罪は僕とイグ様のもの。罰するならすべてこの僕が背負います」
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