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37.番を竜玉に入れるタイプなのに仕事は出来る賢竜帝様(側近ガトー視点)

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「……そのような存在は私にはおりません」

「朕には未来が感覚で分かるものでな、その女はこうなる前に捉えてある。しかし、其方と関係ないならば、朕の愛する番のルーエリンに毒を盛り狂わせた女……、男爵令嬢ということになっていたが実際はお前たちに雇われた、確かローズベルという女を殺しても拷問しても問題ないということだな」

冷酷な笑みを浮かべた竜帝様に、今まで毅然とした態度だったかの令嬢の顔色が変わった。その体は小刻みにしかし震えている。

「先ほど女性には暴力を振るわないとおっしゃりませんでしたか??」

「それは刑が確定していない者に関してだ。かの女は朕の最愛に手を出したもの、愛おしい愛おしい番を害した証拠も見つかり罪は確定している。そして朕はこの国の最高権力者だ。罪人をどうするかは自由に決められる」

背筋が寒くなるような冷たく恐ろしい表情を浮かべているが、その手には、ルーエリン様入りの竜玉ドラゴンボールが大切に包まれている。

「愛おしいルーエリンを害した者だ、拷問して、ボロボロにして、苦役をかして、慰み者にしても朕の怒りはおさまらないだろう。朕が思いつく全ての地獄を味わわせてやりたい」

「……違います、ローズベルは何も悪くありません!!」

まるで血を吐くように叫んだ言葉に、竜帝様は余裕のある笑みを浮かべた。

「では、誰がルーエリンを呪った??朕は知っているんだ。ルーエリンはその魂ごと呪われて番が分からないようにされていた。その罪は誰が犯した??」

「……」

その質問に黙り込んだかの令嬢だったが、それを許すほど竜帝様は優しくはない。

「それもローズベルというあの女が行ったのだろう。ならば、さらに罪を重くして……」

「ローズベルは関係ありません。全ては私と同胞が行ったのです」

瞳にはいつの間にか涙が浮かんでいた。かの令嬢は罪を認めた。そしてぽつりぽつりと話はじめた。

「私達、蛇の血を引くものは生まれた時から竜人を憎むように教育されるのです。そして、長年の執念によりついに竜帝の番に番以外を番と思わせる呪いをかけることに成功しました。そう、貴方の番はずっと我々の手の中で数多の輪廻を苦しみながら過ごしたのです。その苦しみの手法は偽の番が、かの人の恋人のように振舞い弄び捨てる。心に大きな傷を負って精神的に壊れたところで殺すか自死に追い込むほど精神を壊したのです。それを繰り返すうちに例え竜帝の魂を同じくする者でも綻んで壊れていきました。そして、もうすぐかの魂は完全に壊れる予定でした。そうなれば竜帝様は番を失う、永遠に」

あまりに恐ろしい計画に、身震いが止まらないし正直少しマタタビフェロモンが怖くてでてしまったかもしれない。ちなみにマタタビフェロモンを意思に関係なく漏らすのはとても恥ずかしいのでこのことは全力で隠す予定だ。

オモマタタビしたなんて知れたら恥ずかしくて全裸で歩けなくなってしまう。

「……なるほど、番殺しを行おうとしていたのか」

「ひぃっ」

「こわっ」

「はわわ」

全身から迸るそれは紛れもない覇気で、その強さにかの令嬢、辺境伯様、そして私は慄いた。そしてすごく恥ずかしいけどまたオモマタタビしてしまった。ちょっといや、割と漏れた。

「そうだとしたら、死刑は生ぬるいな。朕はルーエリンに出会って分かったのだ。番とはやはり至高の存在だと。今までは国以外のことは全て心を殺せたが、ルーエリンを害し、魂まで殺そうとしたなどと聞いて許せるはずもない、同じ苦しみを与えるのが順当かもしれないな」

「わ、私には番などおりません。なので罰はすべて私が受けます」

「ははは、ルーエリンをシユを弄んだ者の意見が通るとでも??朕は知っている。かの女、ローズベルは其方の番だな」
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